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ジュリアの懺悔3
――少女だったあの頃、私たちは無自覚に、彼女と彼にとって本当に残酷なことをしました。その罪を忘れるために、かけがえのない思い出と一緒に、少女の日の「夢」だったと記憶を書き換えてしまうのは、寂しいのです。
荻野真咲がいない世界。
世界規模のメインストーリーを失い、世界中のあちこちで真咲に代わる「主人公」が産まれ、オムニバス的に小規模な「物語」が乱立する特異な世界。
この日本における新たな「主人公」は、牧野皐月。水妖精ティオトリオと契約し、一級魔法少女・真鶴メイとして魔物を祓う少女。私より一つ歳上の、生真面目で、正義感溢れる「正しい人」でした。
彼女を主人公とする、女児向けアニメのそれのようでいてそうでもない「物語」において、私は「語り手」と呼ばれていました。結果として、どうやら私だけが、あの「物語」の全貌を把握しているのです。




