表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/27

25.ガンさんの評価は?

翔から再度、付き合おうと言われた光は、何と返事をするのか?長い苦しみの答えは出るのか?ガンさんが見た翔の評価はどうなのか?

 25.ガンさんの評価は

「もう一度、俺と付き合ってください。」

 光は、息を吞んで翔の言葉を聞いた。広崎先輩にも言われていたが、翔がそう言うことは予想はあった。しかし、直接言われると、やはり衝撃だった。

「もう一度、つき合う?本気で言ってるの?」

 思わず口から出てしまった。

「ああ、本気だ。調子のいいことを言っているみたいだけど違う。俺は、キミにひどいことをしてしまったけど、おかげで分かったんだ。俺には、光しかいないんだって、もう、こんなことにはならない。約束する。信じてほしい。」

 真っ直ぐに光を見つめる翔は、真剣だった。確かにそうかもしれない。翔はもう、過ちを犯さないかもしれない。でも、

「・・・違うと思う。」

 ボソッと光が呟く。

「違う?何が?」

 翔が、驚いたように反応する。

「うん。何もかも違うよ。私たちが、もう一度付き合ったって、元通りにはならない。翔は、もう私のことを好きじゃないよ。杉本さんとのことは間違いなんかじゃなかった。さっき自分で言ってたでしょ、このまま結婚するのかな?って思ってたって、偶然、そのタイミングで杉本さんが現れたけど、杉本さんが他の男の人に目移りせずに、今も翔と付き合っていたら?もう一度、私と付き合おうなんて言った?}

「うっ。そっそれは・・・」

 翔は、言葉を詰まらせた。

「こんな結果になったから、間違いだなんて思ったけど、あの時の翔の気持ちは、間違いじゃない。自分で言ってた通り、翔の気持ちは終わってたんだよ。あの時、私を見下したように勝利宣言をする杉本さんの後ろで決まり悪そうにコソコソと隠れていたあなた。会社のみんなから誤解されて、悪者扱いされていた私を避けるように無視したあなた。全部、忘れられない。私にしたことは、間違いなんかじゃない。そんな人のそばになんて、いたくない。うっ、ひくっ、えぐっ。」

 途中から涙が溢れて、言い終わった後は嗚咽が止まらなかった。


「おい、お前、もう帰れ。二度とこの娘の前に現れるな。」

 ガンさんだ。いつの間にかガンさんが席を立って、こっちに来ていた。

「分かっただろう。もう終わったんだ。」

 ガンさんにそう促されて、ガタガタと翔が、席を立って去って行く。ガンさんも元の自分の席に戻って隣から声をかけてきた。

「お前は泣いてていいぞ。俺が最後まで見届けてやる。気にしなくていい。ここは、みんなが泣くところだ。どうして、こんな病気になったんだろう。なんでこんな苦しいんだろう。これから、どうなるんだろう。どうしよう。そうやって、みんな自分や家族の答えのない苦しみや悲しみで泣くんだ。」

 ガンさんの言葉が、一つ一つ沁みていく。気のせいかガンさんの声も涙声に聞こえる。

 そうして、ひとしきり泣いた後

「い、岩村さん。私、あれでよかったんでしょうか?」

 鼻をすすりながら、光が言うと、

「何を言ってんだ。俺なんかに、そんなことわかるもんか。でもなあ、分かることもあるぞ。お前は、一生懸命に頑張っている。だから、今回のことが、もしも、よくなかったとしても、お前は、よかったことにできるだろう。俺が見てきたお前は、そういうヤツだ。」

「うう、うわぁ~。」

 思いがけないガンさんの優しい言葉に声を上げて泣いてしまった。

「よ、よせよ。俺が泣かしたみたいじゃないか」

 急にガンさんが狼狽えだした。それが、おかしくって、笑ってしまった。

「ふふっ、何ですか?さっきは、泣いていけって言ったのに」

 完全に泣き笑いだ。

「泣いたり笑ったり、忙しいヤツだな。」

呆れたようにガンさんが言う。ただ、その声は優しくて、また泣いてしまう。本当に泣いたり笑ったり、私は忙しい。翔とのことがあってから、泣いて、傷ついて、辛かったり、落ち込んだりして、誰も信じられなくなった。前は、そのことでいっぱいだったが、今は違う。ずっと支えてくれた健太兄、裕子さん、力をくれた美咲ちゃんや子供柔道教室の子供達。みんなのおかげで、笑えることがあった。こうなったことは残念だけど、こうなったおかげで新しい出会いがあった。

特に転職してからは、一つ一つの悲しみがそぎ落とされていくように、お母さんのことも広崎先輩のことも変化していった。そして、今日の翔とのことだ。岩村さんと警備職場のみんなには、感謝しかない。ようやく何かが終わった気がした。

 ひとしきり泣いた後、涙が止まり、泣いて笑って、スッキリした気持ちで席を立った。ガンさんの席の方へ回り、お礼を言うと、

「また、仕事でな」

 とだけ言ってくれた。ガンさんらしい、本当に最後まで見守ってくれたんだ。ぺこりと頭を下げて店を出た。この後は、健太兄の家に行って報告をするつもりだ。


 光が去った後、

「ガンさん」

 と誰かがガンさんに声をかけた。

「!クロさん。」

黒田だった。

「人が悪いなあ、いたのかい。」

「いいえ、今、仕事が終わったんですよ。どうです?一杯行きませんか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ