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20.その頃の黒田さん

翔が立ち去った後、光の知らないところで、事務所では、いろいろなことが分かっていた。

 20.その頃の黒田さん

 光との話を終えて、黒田は、まず野間弟を呼んだ。

「野間さん、さっきは新村さんを助けて下さってありがとうございました。」

 急に黒田に呼ばれて、野間弟は何かと思ったようだが、そう話を切り出されると

「ああ、いや」

 と、横を向いて頬を赤らめた。

 ・・・えっ!そのリアクションに黒田は、驚いて

「野間さん、もしかして、新村さんのこと?」

 と、さらに聞いてみた。職場にいるだけで最低限の業務しかしない、全く喋らない野間弟が、恋をしている!!!これは、見逃せない。しかし、野間弟は、途端に逃げるように背を向けて出ていこうとする。

 しまった!急ぎすぎた。黒田は、慌てて

「あ、ちょっと新村さんから、新村さんが野間さんの気に障るようなことをしたんじゃないか?と聞いたんだけど?・・・」

 と、言いかけたところ、

「気,,気に障るなんて、とんでもない。あんなにガンダムに詳しくて的確にセリフを言える人は、いないです。」

 野間弟は、出て行きかけたのを戻ってきて、興奮してまくし立てた。興奮しているから、黒田に掴みかかってきそうだ。距離が近い。

「ま、まあ、落ち着いて、話を聞かせてください。さあ、掛けて」

 と、まずは野間弟を座らせて、じっくりと話を聞くことに成功した。黒田の心のニヤニヤが止まらない。

 野間弟は、興奮しながら、ガンダムを見ていたら、光がピッタリのタイミングでそのシーンのセリフを言ったことに驚いたことを話し始めた。

「新村さんは、僕と完全にシンクロしてたんです。(ボウヤやだからさ)って僕もあの時に心の中で言ってたんです。」

「で、そこから、新村さんが気になっていったと?」

 興奮して話す野間弟に引き気味になりながら、黒田は続きを促す。

「はい、新村さんは、仕事に一生懸命で岩村さんに厳しく言われても文句も言わないし、優しいんです。僕にも他の人みたいに嫌味なことを言ったりしません。」

 ・・・そりゃあ、新村さんは後輩だし、わきまえている人がから余計なことを言うわけないし、野間弟と接点のないように私がシフトを組んでるからね。と黒田は思いつつ、

「そうやって新村さんを見守っていてくれているから、さっきの時は、すぐに助けに出てくれたんですね。」

 と、聞いた。

「はい、見舞いの男が新村さんに絡んでいて、新村さんが困っている様子だったから、何だこいつと思って、排除しました。」

「排除って、まあ、とにかく、ありがとう。新村さんも助けてもらったと言っていたし、ガンダムのことは、野間さんの気に障ることでは無かったと分かったら、安心するでしょう。野間さんから、怒ってないって言ったら?」

 と、促すと、野間弟は、

「い、いえ、別に話したいとか、そんな」

 動揺する野間弟を見て黒田は、からかいたくなる気持ちになって

「話しなよ。何でガンダムが好きなのかとか、いろいろ分かるしアニメの話とかで盛り上がるかもよ。」

 と言うと、

「い、いいです。」

 と言って行ってしまった。

 ・・・逃げられた。そうかそうか、野間さんが新村さんを・・・気がつかなかったなあ。新村さんは、困るよなあ。と思いながら、次は、野間兄を呼んだ。

「野間さん、さっきは、新村さんを助けて下さってありがとうございました。」

 と、言うと、野間兄は、

「ああ、いや」

 と、横を向いて頬を赤らめた。

 ・・・えっ!そのリアクションに黒田は、驚いて

「野間さん、もしかして、新村さんのこと?」

 と、さらに聞いてみた。弟だけでなく兄も?兄弟で新村さんが好きなの?!信じられない。黒田は、まじまじと野間兄を見た。180㎝でぽっちゃりした体をもじもじさせている野間兄は、色白なので赤くなるとより目立つ、頭もツルツルだから、頭頂部まで真っ赤だ。

「そんなアレじゃないんですけど」

「アレって?」

「あ、あの、自分はプロレスが好きなんですけど」

「うんうん。」

「小さいプロレス団体の選手でジェントルマスクっていう選手がいるんですけど、」

「うん?うん」

「ジェントルマスクは紳士だから、みんなに優しくて、善行をしているんです。で、その善行の一つで子供柔道大会の審判もしていまして、その大会のボランティアスタッフを募集していたから自分は、応募して大会に行ったんです。そしたら、新村さんが大会に出場する子供の練習相手をしていて、すごくきれいに子供に背負い投げされていたんですよ。投げられる姿がとても素敵で、自分は格闘技が好きなんですが、全然、出来なくて、でも新村さんは、あんなに細くて小さいのに柔道ができるなんて、もう、尊敬しかないです。」

 野間兄は、夢でも見ているように一気に語った。黒田は、圧倒されて、もう、そうですかと受けるしかなかった。

「で、そこから、新村さんが気になっていったと?」

 興奮して話す野間兄に引き気味になりながら、黒田は続きを促す。

「いや、気になるっていうか、何というか」

 はっと我に帰った野間兄は、テレテレだ。いけない。また、からかいたくなる自分を黒田は、押さえて

「だから、さっきは、新村さんのことをすぐに助けに行ってくれたんですね。」

「はい、弟まで出ていくような、あれだけの騒動でしたから」

 ・・・いや、弟もあなたと同じ理由で、出て行ったんですよ。と、黒田は、心の中で、ツッコんでいた。

「新村さんも助けてもらったと感謝していましたよ。」

 と、言うと、野間兄は、さらに照れた。野間兄との話は、これぐらいで終わりにしておいた。

 それにしても、新村さんは、この兄弟のコアな趣味にピッタリと合ってしまったんだなあ、と黒田は、悩ましい思いになった。と、そこへ、真木君が出勤してきた。

「お疲れ様です。あ、黒田さん。今、新村さんが、変な男に絡まれてたんですけど、」

 と、言いかけた途端、野間兄弟が、バッと立ち上がって反応する。その勢いに真木君は、圧倒されて

「えっ?」

 と、詰まると、2人揃って

「それで?新村さんは、どうなったんだ?」

 と詰め寄ってくる。

「いや、もう、どっちも帰って大丈夫なんですけど、こっちでも何かあったって聞いたんで」

 と、真木君が言うと、さっきここであったことを真木君に話したり、真木君から何があったら聞き出したり、いつになく事務所ざわついていた。皆それぞれが、光を守ろうとしていることは、黒田でなくとも雰囲気で分かる。個別にみると考えるところも多いんだがと、黒田は、複雑な気持ちでいた。

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