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第82章 HAPPY BIRTHDAY《CAT’S EYE 2》

16:45

オレっちはパンデミックパン店に到着したニャ。

買い物客の女性が、

「あら~生食パン売切れちゃったの~??」

と残念そうに店長と話しているのニャ。

その女性は、生食パンの代わりに生クロワッサンを30個買って帰っていったのニャ。


「あ、エ・クレアちゃんいらっしゃい。ごめんねー。かつおぶしベーグル、売切れちゃったのよ」


店長さん、今日はかつおぶしベーグルじゃなくて、デラックスサンドイッチプレートを買いに来たのニャ。

まだ残ってるかニャ?


「あら。サンドプレートならちょうどラスト1個よ。運がいいわね」


やったニャ!ツイてるニャ!

今日の占いが当たったのニャ!!


「パーティーでもするの?」


店長さんの質問に、オレっちは事情を説明したのニャ。


「そうなの、素敵ね。バースデーケーキは用意したの?」


あっ、そうだニャ。

誕生日のケーキ。

分担した買い物リストには入っていなかったのニャ。

スフレは用意しているのだろうか、電話して聞いてみようかニャア・・

いや、さっき電池が切れたとか言って事務所の充電器にスマホを繋いでたのニャ。

たぶんスフレはスマホを持って出ていないニャ。


「うち、食パンで作ったバースデーケーキを売り出したのよ。普通のケーキよりあっさりしているけど、チョコクリームが食パンにとってもよく合うの。中央を空けてあるから、ここにメッセージも入れられるよ」 


店長さんが、傍らにある小さめの冷蔵ショーケースを指さしたのニャ。

円形で割と大きめのホールケーキ。

スフレの事ニャ、十中八九、ケーキの事は頭にないのニャ。

よし、オレっちが一肌脱ごうではニャいか!


「これも下さい。“カヌレくん おたんじょうびおめでとう”って入れて下さいニャ」

「かしこまりました。少々お待ちくださいね」


17:01

サンドイッチもケーキも揃ったニャ。

あとは、プレゼントニャ。

ニャににしようかな~。

ちょっとスマホで調べてみようかニャ

小学生男子に人気の誕生日プレゼント・・・っとニャ


ポチポチ


【1位:詩吟スターターキット

 2位:カラスミ・このわた・うるかの珍味3点盛り合わせ

 3位:もし高校野球を観戦している近所の爺さんが

夢のQ作の『トクラ・マクラ』を読んだら(書籍)】


・・・・・

ジャペン国のランキング作成基準は一体どうなってるのニャ・・・・


トンッ


わわっ。

歩きスマホをしてたら、大きな紙袋を持った人と軽くぶつかっちゃったのニャ!!

良い子は真似しちゃだめニャンよ!

オレっちも気をつけるのニャ、反省、反省。


「あれ、エ・クレア氏じゃないか」


ぶつかった男の人は近所で顔見知りの希臘きろうアテネさん。

詳しくは知らニャいけど、年齢はたぶん30代、高校で世界史を教えている先生なのニャ。

特に古代ギリシャに詳しいのニャ。


「こんにちはアテネさん。ぶつかってごめんなさいニャ」


オレっちが謝ると、アテネさんは笑って許してくれたんだけど・・・


「エ・クレア氏。ちょうどいいところで会ったよ。実は今ちょっと困っていてね」


何かお困りごとのようなのニャ。

あまり時間はニャイのだけど、とりあえず話だけでも聞いてみよう。


「うちの高校で昨日の放課後、部活動の時間帯に起きた出来事なんだけどね。1階の化学準備室で、その日の授業でおこなった実験の後始末をしていた化学担当の先生が、ガシャンという何かが割れるような音を聞いたんだ。その音は廊下の方から聞こえて来たらしい。廊下の先の方には花瓶が飾ってある。急いで廊下に出て、走って花瓶を確かめに行ったけど、花瓶は無傷。気のせいだったかと思い、今来た廊下を化学準備室の方に戻っていたんだけど、ふと途中で横から吹いてくる風を感じたそうだ。見ると、校庭に面した廊下の窓ガラスが割れていたんだ」

「その先生が聞いた音は、窓ガラスが割れる音だったニャンね」


「そう。窓周辺に人影は無かったけど、校庭では部活動に励む生徒達がいたらしい。その生徒の中にガラスを割った犯人がいるはずなんだが、まだ特定できていないんだ。一応、その時校庭にいた生徒たちに話を聞いたんだけどね」


アテネさんはオレっちに、生徒たちの証言を聞かせてくれた。


証言1:野球部キャプテンの話

 「自分たちは、今日はサッカー部と校庭を半分ずつにわけて練習をしていました。バッティング練習をしていましたが、校舎に向けては打ってませんし、もし誰かがガラスを割ったのなら正直に申し出ているはずです。この野球部にそんな卑怯者はいません」


証言2:サッカー部マネージャーの話

 「はい。確かにサッカー部は校庭で部活動をしていました。でも、先生が『ガラスが割れている』と騒ぎ出した時にはまだみんなランニングの途中で、ボールを使った練習は始まっていませんでした。うちの部員がガラスを割ったはずはありません」


証言3:校庭を横切っていた陸上部部員の話

 「ええ。棒高跳び用のポールを運んでいたのは事実です。え?このポールでガラスを割ったとおっしゃりたいのですか?まさか。ポールの扱いには慣れています。僕がそのようなへまをするわけがないでしょう」


証言4:カメラを持って校庭をうろうろしていた新聞部副部長の話

 「うろうろって。部活紹介の新聞記事用に野球部とサッカー部の活動中の写真を撮っていただけです。ガラスが割れた騒ぎには気づきませんでしたよ。校舎に背を向けてファインダーを覗いていましたからね」


「どうだろう。これだけで犯人を突き止められるだろうか」


アテネさんはオレっちに不安げな顔を向けたんニャけど、オレっちには犯人がばっちりとわかっちゃったのニャ。

そう、生徒たちの証言を聞くまでもなく瞬時にニャ。 


「犯人はニャ」

「ごくっ・・・犯人は?」


「犯人は・・・・化学の先生なのニャ」

「ええっっっ?!」


オレっちの推理はこうニャ。

化学の先生は化学準備室から廊下に出て、花瓶を確かめに行ったのニャ。

その時、廊下に異変を感じた様子は無かったのニャ。

そして、準備室に戻る時に割れている窓ガラスに気付いたのニャ。


「花瓶が割れたと思い込んでたから、たまたま窓は目に入らなかったんじゃないかな?」


ウニャ。

窓の事ではないニャ。

廊下の事ニャ。


「廊下?」


校庭の方から何らかの方法で窓ガラスが割られたのニャら、廊下側にガラスの破片が散乱しているはずニャ。

どんなに急いでいてもそれに気が付かないニャんてありえないのニャ。


「そうか!!」


化学の先生は嘘を吐いてるのニャ。

たぶん犯人は化学の先生なのニャ。


「ありがとう。すっきりしたよ。さすがRR探偵事務所のエースだね」

「いニャ~。それほどでも~ニャニャニャ~」


「そうだ。お礼と言ってはなんだが、これをあげよう」


アテネさんは持っていた大きな紙袋の口を開いたのニャ。

中にはラッピングバッグに包まれたたくさんのぬいぐるみ。


「世界史の試験で100点を取った生徒にいつも配っているものだよ。うちの奥さんお手製の『ギリシア文字キャラぬいぐるみ』」


ギリシア文字キャラぬいぐるみとは何なのニャ?!

そんな不勉強なオレっちに、アテネさんが説明してくれたのニャ。

ギリシア文字の1番目、“アルファ”のキャラは『アルファマイちゃん』。お米をかたどったぬいぐるみ。

2番目“ベータ”のキャラは『ベータマックスくん』。ビデオテープみたいな四角い顔のぬいぐるみ。

・・・といった具合で、全ての文字のキャラクターがあるらしいのニャ。


「あ、でも、エ・クレア氏はぬいぐるみという歳でもないか」


まあ、そうなんだけど・・・あ、そうニャ!

オレっちは、誕生日プレゼントの事をアテネさんに相談した。


「ああ。なら、これをプレゼントにするといい。ちゃんとラッピングもしてあるし」


いいのニャ?!

ありがとうニャ!


「じゃあ、どれがいい?エ・クレア氏の好きな数字言ってみて」


好きな数字ニャ?

・・う~~~ん・・・

ニャニャーン!そういえば、テレビの占いで言ってたのニャ

A型の今日のラッキーナンバーは・・


「では、10にするのニャ!」


ごそごそと紙袋の中を探すアテネさん。

取り出したぬいぐるみはギリシャ文字10番目の・・・・


「はい、河童のΚ(カッパ)さんだよ」


17:43、RR探偵事務所。

サンドイッチ、ケーキ、プレゼントを抱えたオレっちは事務所に戻ってきたのニャ。

ん?猫の体でよくそんな荷物を持ち運べたなって思ったかニャ?

こんな事もあろうかと、折り畳み式お買い物台車(ネコ専用)を持って行ってたのニャ。


スフレはもう帰ってきているニャ。


ぽにゅん


ん?肉球で何かを踏んだのニャ。

なんだか馬鹿デカい板なのニャ。


「あー、エ・クレアさん、それ飾り付け用パネルだから踏まないで下さいねー」


あ。HAPPY BIRTHDAYって書いてあるニャ。

スフレ、またすごいものを入手してきてるニャ。


すぐにタルト所長も帰ってきて、オレっち達は3人でパーティーの準備を仕上げたのニャ。

20個の風船を口にくわえるスフレの顔は筆舌に尽くし難いものだったけど、部屋の飾りつけやら料理のセッティングやら、みんなで協力して何とか時間までに間に合ったのニャ。


こうしてオレっち達は、カヌレ君の誕生日パーティーの用意を完璧に済ませたのですニャ。

さて、あとはカヌレ君の到着を待つだけ。

カヌレ君、楽しんでくれるかニャ。


『HAPPY BIRTHDAY』エ・クレア視点編はこれにて終了です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次章からは、再び別視点でのお話です。

引き続きよろしくお願いいたします。

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