第61章 そして誰もいなくならない Day4(7)
「ああ。今は大丈夫だ。・・え?『ストーリー&ファイター』?いいぞ、やろうじゃないか」
「『ストーリー&ファイター』って何?」
「今流行のスマホゲームっすよ。壮大な物語パートと手に汗握るオンラインバトルパート、そして脳トレパートやバケットモンスター通称バケモンを集めるコレクションパートもあり、で大人気・・・て、所長、知らないんすか?」
「バケモンキャラの”クラバケ”や”スケバケ”が大人気ニャ」
「???バケットモンスター?・・・バケット?・・って何?長いフランスパンの事?」
「やだなあ、それは”バゲット”ですよ、所長。バケットは、油圧ショベルのアームの先に取り付けるアタッチメントの事じゃないですかぁー、常識っす」
「”クラバケ”はクラムシェルバケットのモンスター、”スケバケ”はスケルトンバケットのモンスターニャ」
「クラムシェル?スケルトン?」
「私は”ノリバケ”がお気に入りっす」
「法面バケットのモンスターニャ」
「・・・・・油圧ショベル、今流行ってるの?」
「ニャ?!タルト所長ってホント、ジャペンの流行に疎いのニャ!」
「今、大流行っすよ?ゲームから人気に火がついて、本物の重機もバカ売れなんですよ。だから私もあの油圧ショベル買ったんですから。何かの時のためにと思って持ってきておいてよかったです」
どんな”何かの時”を想定していたのかはわかりませんが、スフレさんは砂浜に放置された自機(油圧ショベル)を眺めながら満足そうな表情を浮かべています。
ちなみに彼女の愛機(油圧ショベル)に取り付けられているのは掘削用標準バケットです。
「バトル開始だ!俺様のダイヤモンドバトルソードの攻撃を受けてみろ!!」
渡来ムサカがスマホに向かって叫びます。
「今はオンラインバトルパートで陽さんと戦ってるようですね。バケモンをバケモンハローワークに登録して、いろいろな職場で働かせて稼いだゲーム内通貨で武器を買って戦うんです」
「え?バケモン同士を戦わせるんじゃないの?」
「地球で流行ってる、衣服の表面に小さな布を縫い付けて袋状にした部分のモンスターとはバトル方式が違うのニャ」
「バケモンを働かせて稼いだお金で武器を買う・・・それって、色々大丈夫なの?」
「現代社会の労働問題をも考えさせる啓蒙的ゲームだということで大好評っす」
「ちなみに買うことのできる武器は剣、斧、弓、鞭、銃、ハンマー、杖、麩菓子などなどたくさんあるのニャ。今、ムサカ元大尉が使っているダイヤモンドバトルソードは剣の中で最高ランクの武器なのニャ。相当このゲームをやりこんでいるのニャ」
大尉ノ ターン
攻撃
〇必殺
防御
アイテム
逃走
「ああっ!!元大尉が必殺技を出しますよ!!」
「これは!ダイヤモンドバトルソードの最終奥義『共有結合いあいぎり』の発動ニャ!!」
「・・・さっぱりわからん・・・」
3人は渡来ムサカの背後に移動し、彼のスマホの画面を盗み見しています。
「行けーー!!共有結合いあいぎりーーー!!」
ピロロン
大尉ノ バケモン ガ 話シカケテ キタヨ
ドウスル?
聞イテアゲル
エサヲアゲル
〇逃走
シカシ 回リコマレテ シマッタ
バケモンハ 潤ンダ目デ 大尉ヲ 見テイル
ドウスル?
聞イテアゲル
エサヲアゲル
〇逃走
シカシ 回リコマレテ シマッタ
バケモンハ 問題ヲ 出シテキタヨ
【次ノ数字ヲ 小サイ方カラ順ニ タッチシテネ ジャア 行ックヨー 3 2 1 スタート!】
9 15 3 7 4 12 5 10 14 1 8 2 11 6 13
「あー。脳トレパートが始まってしまったっすねー」
「え?!急に?!オンラインバトルパートの途中で脳トレパートが割り込んだりするの?!」
「これが人気の理由の一つなのニャ」
「えー・・・1・・・2・・・3はどこだ!」
ポチポチポチ・・・ピー
ザンネーーーーン 時間切レーーーー
大尉ノ 脳年齢ハ・・・・
♪テケテケテケテケーーー
62歳!
毎日 シッカリ 練習シテ 次ハ ハイスコアヲ 目指ソウネ!
ピロロン
脳トレ失敗!
陽☆少尉ノ ターン
攻撃
必殺
防御
〇アイテム
逃走
陽☆少尉ハ アイテムカラ 火炎瓶ヲ 取リ出シタ
〇投ゲツケル
振リ回ス
食ベル
捨テル
ドコニ?
大尉
〇ダイヤモンドバトルソード
自分
明後日ノ方向
大尉ノ ダイヤモンドバトルソードハ 燃エテ 二酸化炭素ニ ナッテシマッタ
「うそぉ?!」
「あー。これが知る人ぞ知るダイヤモンドバトルソード唯一の弱点なんっすよねー」
「火炎瓶は超レアアイテムなのニャ。陽氏もなかなかの猛者なのニャ」
武器消失ニヨリ 大尉ノ 必殺攻撃ハ キャンセル
陽☆少尉ノ ターン
攻撃
必殺
防御
〇アイテム
逃走
陽☆少尉ハ アイテムカラ 松明ヲ 取リ出シタ
「松明は最初の村の近くにゴロゴロ落ちてる雑魚アイテムっす」
「最初の村?!これRPGなの?」
「ジャンルにとらわれない斬新なゲームなところも人気の一因なのニャ」
〇投ゲツケル
振リ回ス
食ベル
捨テル
ドコニ?
〇大尉
自分
明後日ノ方向
大尉ハ 燃エ尽キテシマッタ
バトル終了
YOU LOSE
「・・・・元大尉、負けちゃいました」
「最高ランクの武器とやらが一瞬で焼失したのだが?そして大尉までもが・・・ていうか、松明投げられたくらいで燃え尽きるって一体・・・」
「そういうゲームなのニャ」
渡来ムサカはスマホを放り出し、海パン姿のままゴロリと再びビーチチェアに寝転がりました。
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「さて、『第6回 そして誰もいなくならないように事件を回避しちゃうぞ捜査会議』の結果ですが・・・」
「所長が沢山推理してたニャ」
「まあ、数撃ちゃ当たる的に?」
「1つ目。”陽(という名の人物)に(やきもちを)焼かれる”」
「臨場バトルを体験したムサカ大尉が、サバゲーチームケロケロ軍曹24(現在は解散)の元メンバー陽さんにやきもちを焼かれてたニャ」
「2つ目。”陽(という薬品)に(皮膚の組織などを損なわされて)焼かれる”」
「怪しげなサンオイルに含まれていた、陽という成分に肌を焼かれてしまったニャ」
「3つ目。”陽(キャの人物)に(世話を)焼かれる”」
「乾パエリアさんに世話を焼かれてたニャ」
「4つ目。”陽(という名のDVDディスク)に(音声・文書・画像データを)焼かれる”」
「ムサカ大尉のママが、録画用の『陰』ではなく、保存用の『陽』と書かれたDVDディスクにテレビ放送データを焼いてしまったのニャ」
「5つ目。”陽(という名の人物)に(体に火をつけられて)焼かれる”」
「ストーリー&ファイターのバトルで松明投げられて焼かれちゃったニャ」
「6つ目。”陽(の光)に焼かれる(=日焼け)”」
「今まさにやってる最中ニャ」
「すごい!!全部当たってましたよ!!所長!!!よっ!名探偵!」
パチパチパチパチ
「さすがタルト所長ニャ!!よっ!ジャペンいちニャ!」
ポヨンポヨンポヨンポヨン
「い、いやぁ~。そこまで言われるとちょっと照れるな」
「・・・でも、全く回避できなかったっすよね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
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「あ!そういえば後谷マリネさん、忘れてました!」
「そうだよ!彼女が最後の被害者だ!せめて彼女だけでも助けよう!」
「マリネっちはさっき建物内に帰っていったニャ!」
「間に合うでしょうか?!オリジナルでは島のシーン、あと4ページ弱で終了してエピローグに入るっすよ?!」
「ページ数なんてよく覚えてるね、君」
「とにかくマリネっちを追うのニャ!!!!!」
【登場人物おさらい】
赤岩タルト…RR探偵事務所所長
エ・クレア…同事務所助手兼看板にゃんこ
青山スフレ…その他
根住ポトフ…元裁判員【第6の被害者】
後谷マリネ…カテキョ
渡来ムサカ…元サバゲ―大尉【第9の被害者】
宇鷺ミラネサ…八代村のタタミ【第5の被害者】
立見ケバブ…パリピ【第1の被害者】
旨川スブラキ…歯科医【第8の被害者】
櫃島チャプチェ…Wアイランド【第7の被害者】
去取ボルシチ…鍋将軍【第3の被害者】
乾ビリヤニ…スタッフ(夫)【第4の被害者】
乾パエリア…スタッフ(妻)【第2の被害者】




