表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/100

第6章 所長!事件です!!4

「あのー。ちょっとすみません・・・・」


おずおずと声をかける所長。

のろのろと蛇行運転をする改造スクーターに乗っていたのは高校生くらいの男女カップルです。

運転手の男はピンクのモヒカンで、口には真ん中に赤いマジックで『×』が描かれたマスクをしています。


「・・・お手つきで1回休み‥的な?」

「スフレ君、昔のイントロクイズじゃないんだから」

「何の話だ、ワレ、ヲイ!!」


白のつなぎの後ろに、虎の絵と『夜露死苦』の文字の刺繍が施されているようです。


「虎?・・・あれ、豹じゃないっすか?」

「いや、ジャガーじゃないか?」

「うーん。チーターかも」

「ピューマという説も・・・」


「あ、『液靄タヒ苫』って書いてありますよ」

「『露』より『靄』の方が難しくないか?」


「さっきから何ごちゃごちゃゆっとんじゃ、ワレ!」

「え~オジサンら、マヂうざいんですけど~」


スクーターの後ろに乗っていた女は、これまた一昔前のスケバン風スタイルです。


「ネェネェ、達夫~こんなんほっといて、早くしま〇ら行ってアゲ~~~」

「ああ、そろそろ新しい短ランも欲しいしなー」


「それ、し〇むらで買ってんのかい」

「そもそもしまむ〇で売ってるのか?」


スフレさんとタルト所長のツッコミもスルーし、2人の会話は続きます。


「え~じゃ、あ~しは何買おっかな~ね、どんな服がいい~?」

「おめーなら、どんな服着たってかわいーぜ」

「やだ~達夫ったら~~DS~~」


「・・・ゲーム機か?」

「いや、『大好き』の略らしいっすよ」


困惑気味のタルトとスフレを尻目に、バカップルのいちゃいちゃは止まりません。


「それに、最近おめーますます綺麗になったんじゃね?」

「いや~~んもぅ、照れるんですけど~~でもとりま、メイクもティーンズロード見て覚えたし~~」


「ピカソの『泣く女』見て覚えたんじゃ?」

「それより、ティーンズロードって今、発行してるのか?」

「あと、女の方、ヤンキーというよりギャル口調っすね。無理矢理感強めですけど」

「僕たちは何を見せられているんだろうか・・・」

「さっさと聞き込みして、さっさと終わらせましょう」


おや、スフレさんが珍しくまともな事を言っています。

がんばれ、タルト所長!


「そこのイケてるお兄さんとお姉さん、ちょっと協力してくれないかな?」

「ああん?んだよ、おっさん。喧嘩なら他を当たってくれよ」

「達夫は『ケンカしない系』総長なんですけど~~~」


「弱くて『ケンカできない系』総長だったりして」

「こらっ、スフレ君!(小声)」


「ああん?」

「その族って、何人くらいのグループなんですか?」

「スフレ君、君、怖いものなしだね(小声)」

「ああん?」

「達夫が総長で~~あ~しが副総長」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・で、その他は?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「あ~しら、名付けて『后妃龍幻影【九重桜】』、ヨ・ロ・シ・ク!!」

「・・・・いないんだね、他に」

「・・・・いないんだな、他に」


「あんたら、馬鹿にしてんでしょ~マヂムカツクんですけど~~チョベリバ!ありえんてぃ!げきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリ~ム(神)!!」

「なめてんじゃねぇぞ、おっさん、コラ」

「達夫、めっちゃ頭いいんだかんね~~この前の期末テストだって英語93点だったんだかんね~~」


「え、めっちゃいい点じゃん」

「そもそもちゃんと高校行ってるのがすごい」


「・・・・10000点満点とかじゃないよね?」

「ねーわ!!ざけんなよ、ゴラァ!普通に100点満点じゃー!!」


「『アルファベットを大文字と小文字で書きなさい』っていう問題、A~Hまでが大文字、小文字各4点で、残りが各1点で~~達夫はLMNのところでマイナス4点、Sを逆向きに書いて大文字小文字でマイナス2点、で、最後ZとzをGとgって書いてマイナス2点~~すごくない?93点とか神じゃね?ヤバ~~~」


「Gが2回出てくるアルファベット・・・」

「なんや、ゴラ。エックス、ワイ、ジーやろがい!」


「LMNの間違いとは?」

「ああん?順番わかんねぇから、MMM、mmmって書いたんだぜ!どれか1つは必ず当たるだろ!」

「いや~~ん、達夫、まぢカシコ~~~、鬼ヤバ~~~!!え?え?東大王?マヂマンジー」


「・・・ていうか、ちょっと待って。今の採点だと、92点にならない?」

「はぁー?93点だろーがよ!」

「いや、確かに92点だ」

「え~採点ミス~??達夫、ちょ~ラッキ~じゃ~ん♪運も強いなんて、さすがあ~しの彼ピ~」


この高校は先生もアレなようです。大丈夫なんでしょうか。

それにしても、なかなか本題に進めません。


「え・・・と、賢い彼ピとその綺麗な彼女さんに聞きたいんだけど、ここら辺で長毛の猫を見なかったかな」

「おい、おっさん!何、人の女口説こうとしてんだよ!しばくぞ、ワレ!」

「・・・もう、勘弁してください・・」

「オジサン、ちょ~も~って何?超もぅ可愛いんですけど~~の略的な?・・・あれ?てか、オジサン、よく見るとイケメンじゃね?」

「ゴラ、お前もこんなおっさんに色目使ってんじゃねーぞ!」

「はぁ~~?色目使ってねーし。・・・あ、そうだ、オジサン、あ~しン家もネコ飼ってるんだけど、動画見るぅ~~~?『落雁』って名前なんだけどぉ~」

「ヲイ、スマホ見せるとか、それ、もう完全に浮気だかんな!!」

「え~ヤバ~、スマホ見せただけで浮気とか、ちょ~無理なんですけどぉ~~。そんなん言ったら、この前、隣のクラスのハヤトに体育祭の男女混合リレーでバトン手渡ししたんだけど、それも浮気に入るんですかぁ~?」

「入るに決まってるだろ!、グォラァァァーー」


「入らねーよ」

「スフレ君、もう彼らからの聞き込みは諦めよう」

「そうですね。精神衛生上、これ以上はドクターストップがかかるレベルですね」


こうして、無駄な時間を過ごした2人は、そっとバカップルの元から遠ざかるのでした。


「だったら、先週、元カレのロドリゲスと1泊2日温泉旅行に行ったんだけど、それも浮気に入るんですかぁ~?」

「それはセーフだ」


まだやってますね。


「それは普通にアウトだろ」

「もう相手にしないで、スフレ君」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ