第58章 そして誰もいなくならない Day4(4)
「違うのニャ!違うのニャ!・・・・でもでも、旨川センセにあげたりしてないのニャ!」
「あげてないの?」
「ごほんごほん・・・あ・・あの・・すみません・・」
「ああ、ドクター、大丈夫ですか?」
旨川スブラキがなんとか喋れるようになり、事の顛末を話し始めます。
「深夜になかなか眠れなくて、少し外の空気を吸おうと思って部屋を出て1階に降りて玄関から外に出ました」
「それを櫃島さんが目撃して、私と大尉も合流して、一人じゃ危ないからと探しに行ったんですよ」
「ふむふむ、そうっすか」
「あの幻の第55章だね」
「しかし暗い中、海の音を聞いていると余計に不安感が募ってきて、勝手口から邸内に戻ったのです。キッチンに入り、酒でも飲もうかと物色していたら、隅の方に置いてある弁当箱が目に入り・・・開けてみると中には様々なジャーキーが・・」
「ニャ!そうだ!!食事で出てきた”にゅ~る”がたくさん余ってて、乾さんが持って帰っていいって言ってくれたから、お弁当箱に詰めようと思ってキッチンに持ってきてたのニャ。まだ電車で食べた残りのジャーキーが中に入ってたのニャ」
「なるほど。事情は分かった・・・・ではエ・クレア君は・・・」
「無罪!!!!」
いつのまにか食堂に入って来ていた根住ポトフが宣言しました。
だるま落とし(おもちゃ)の小槌で机をカーンと叩きます。
「根住さん・・・・出家されたのでは?」
「いや、正式にはまだじゃ。今はまだ元裁判官なのじゃ」
「裁判官じゃなくて裁判員ですよね」
「サイバンチョの裁決はともかく、この事件はエ・クレア君がキッチンに置き忘れたお弁当箱の中に入っていた(エ・クレア君は数の子ジャーキーだと思っていた)ニシンの燻製ジャーキーを旨川ドクターが酒のつまみに勝手に食べて、喉に刺さってしまった・・・・と、こういうわけですね」
「そうですわね。・・・・それでしたら、猫ちゃんは明らかに無罪ですわ」
「まあ、そうだな」
「よかったですね。エ・クレアさん。ノックスの十戒に反してなくて」
「ウニャウニャ~~~~(感涙)」
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「・・・・はぁ・・・今回も事件を回避しちゃえませんでしたね」
「事件というか、ほぼ全編”事故”だよね」
「オレっちが犯人にされかけた”冤罪事件”ニャら、ついさっき起こったけどニャ」
「・・・・しかも今回も”挑戦状”に勝てませんでしたね」
「あれは”読者への”挑戦状だからね。僕たち登場人物には関係ないよ」
「さすが”迷探偵”赤岩タルトニャ」
「・・・・見事正解した読者さんはいるのでしょうか」
「いや、そもそも挑戦を受けた読者さんなんていないでしょ。さらっと読み流してるよ」
「さらさら~~~~っとニャ」
「・・・・もう、捜査会議やめましょうか」
「うん!!」
「二つ返事ニャ」
「・・・・事件らしい事件も起きないですし」
「そうだね!!」
「タルト所長が今までで一番生き生きしてるニャ」
「・・・・後はもう、残りのツアーを楽しんで帰りましょう」
「そうしよう!そうしよう!!」
「あ、早く”にゅ~る”をお弁当箱に詰めニャくては!」
「・・・・景色も綺麗で、食事も美味しくて、楽しいツアーでしたね」
「そうだね。そうだね」
「ミステリークイズ大会(?)付きでなかなか凝ったツアーだったニャ」
「・・・・淵戸内海・・・また来たいですね」
「コメディアン島以外ならね!」
「めでたし、めでたしニャン」
『私と猫と迷探偵と』 そして誰もいなくならない 【完】
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「おおーーーいっ!!んなわけないでしょ!!普通、ここは励ますところっすよね?!自信を無くして落ち込むヒロインを仲間たちが優しくフォローする感動の場面っすよね?!」
「・・・ヒロイン?」
「・・・ヒロイン・・・ニャ?」
「繊細で可憐な美人秘書探偵助手ヒロインです」
「・・・・この物語にそんな登場人物いたかな?エ・クレア君」
「ウニャ?心当たりはないのニャ」
「むむぅ~!!もういいですっ!自信は自分で取り戻すっす!!・・・・というわけでっ!!『第6回 そして誰もいなくならないように事件を回避しちゃうぞ捜査会議』!」
「9番の歌詞は、2人のコメディアンの壮年が日向に坐った 1人が陽に焼かれて、1人になった、だね」
「天気ももうすっかり回復したから、海岸に出れば日向はどこにでもあるニャ」
「・・・・もうコピペコメントすらしなくなったっすね」
「”陽に焼かれて”、これの意味するところは、例えば、”陽(という名の人物)に(やきもちを)焼かれる”」
「陽って誰ニャ?そして”陽に焼かれて”の”陽”は”ひ”と読むのではニャイのか?」
「例えば”陽(という薬品)に(皮膚の組織などを損なわされて)焼かれる”」
「陽という薬品とはニャにか?」
「例えば”陽(キャの人物)に(世話を)焼かれる”」
「陽キャ?」
「例えば”陽(という名のDVDディスク)に(音声・文書・画像データを)焼かれる”」
「陽という名のDVDディスクとは?」
「例えば、普通に”陽(という名の人物)に(体に火をつけられて)焼かれる”」
「普通が一番エグいニャ。だから陽って誰なのニャ?」
「例えば、”陽(の光)に焼かれる(=日焼け)”」
「こっちの方がよっぽど普通ニャ」
「・・・・なんすか、タルト所長。いつになく積極的に推理してるっすね」
「これだけ挙げればどれか当たるでしょ」
「なんだかやっつけ仕事ニャンね。早く終わらせて帰りたいのが見え見えニャ」
「元々のお話では、”陽に焼かれて”は結構トリッキーな見立てだったような気がしますが」
「ああ、そういえば。見立てと言えるような言えないような・・・」
「銃創は焦げるから”焼かれる”と言ってもいいような気がするニャ。でも、ペイントボールマーカーじゃどうにもならないのニャ」
「赤いペイントボールで”陽に焼かれ”たように見せかけるとか・・」
「無理あるね」
「今までも相当無理はあったけど、これは違うような気がするニャ」
「じゃあ、まあ、『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』って言いますし、所長のその推理、どれかは当たっているだろうということで、今回はお開きにしますか!」
「下手な鉄砲は余計だろう」
「ま、結果は予想できるけどニャ。お約束だニャ」
「あ、そうだ。そろそろおやつの時間ですかね。まだ駄菓子余ってるんでいかがっすか?はい、所長には”さんじゅうごくちソースカツ”」
「三十五口ソースカツ」
「それはもはや駄菓子じゃなくておかずニャ」
「エ・クレアさんには”マーブルチョコ”っす」
「ここに来てまともなお菓子登場」
「ニャが!猫にチョコはダメって前に言ったよニャ?嫌がらせかニャ?」
「じゃあ、僕が貰うよ。チョコ好きなんだよ」
タルト所長が、エ・クレア助手の方に差し出したスフレさんの手からひょいっと”マーブルチョコ”を取り上げ、口に入れます。
ぱくっ
ガキッッッッーーーーーン
「◎△$♪×¥●&%#?!?!」
「スフレ!タルト所長に何を食べさせたニャ?!」
「マーブルチョコですが」
「”マーブル”・・・とは何のことニャ?」
「”マーブル”は大理石っしょ。常識っす」
「大理石入りのチョコレートとか、どこに売ってたんニャ?!」
「大理石入りのチョコレートとか、あるわけないじゃないですか。ウケるw」
「ニャんだと?!」
「所長にそんなもの食べさせるわけないじゃないですか」
「・・・・ニャ・・・まさかとは思うが、スフレよ」
「なんすか?」
「その”マーブルチョコ”とやらを漢字で発音するのニャ」
「・・・・え?大理石猪口ですが?常識っす」
「フギャーーーーー!!!お猪口のどこが駄菓子なのニャーーー!!ヘッポコ所長も口に入れる前に気づけニャーーーーッッ!!!」
「うわあああーー」
「ぎゃー!エ・クレアさんがご乱心っすーーー!!」
【登場人物おさらい】
赤岩タルト…RR探偵事務所所長
エ・クレア…同事務所助手兼看板にゃんこ
青山スフレ…その他
根住ポトフ…元裁判員【第6の被害者】
後谷マリネ…カテキョ
渡来ムサカ…元サバゲ―大尉
宇鷺ミラネサ…八代村のタタミ【第5の被害者】
立見ケバブ…パリピ【第1の被害者】
旨川スブラキ…歯科医【第8の被害者】
櫃島チャプチェ…Wアイランド【第7の被害者】
去取ボルシチ…鍋将軍【第3の被害者】
乾ビリヤニ…スタッフ(夫)【第4の被害者】
乾パエリア…スタッフ(妻)【第2の被害者】




