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第51章 そして誰もいなくならない Day3(5)

声をあげたのは渡来ムサカです。


「え?」

「『え?』じゃない。貴様がその探偵達と別行動をとった時がまだあるだろ」


「ほえ?・・でも、この島に着いてすぐにこの宿泊施設に来て案内を受けましたよ?」

「島に着く前だ」

「そうだ!!!」

「そうだったニャ!!」


「え?え?」

「スフレ君、フェーリング駅だよ」

「ハイヤーに別れて乗った時の事ニャッ!!」


「おおおおっ!!そうか!!忘れてたっす!!」

「その時のことを思い出すんだ!」

「何があったニャ?!」


「・・・え・・と・・・うーん・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


「そんな16章も前の出来事、覚えてないっすよっ!!」

「さすがに無理か」

「そりゃそうニャ」


「俺様は覚えているぞ。さすがに一言一句正確にとはいかないが・・・」


はいはーーーーい。

ここはわたくし”天の声”、またの名を”地の文さん”の出番ですわねー。


「いや、僕たちで16章前を読み返すので結構でs・・・」


我等の前に立ち塞がりし、全ての愚かなる物忘れに、我の力もて、等しく滅びを与えんことを!

我が前に統べよ!メモリーーーーーリメンバーーーー!!!


はい、ダイジェスト回想入りまーす。


~~~~~ツアー初日 フェーリング駅前~~~~~


「どなたか、少しの間ここでお待ちいただけませんか」


「はいはーーい!私、待ちまーす」

「あ、では、私も待ちます」

「ここは元大尉の俺様にまかせてお前らは先に行け!」

先発ハイヤーが走り去り、残ったスフレさん、教師風の女性、迷彩服男性は雑談を始めます。


ふと女性の方を見ると、女性の袖口になにか粘性のある液体が付いているのに気が付きました。


「あれ?腕に何かついてますよ。・・・・拭きましょうか」


スフレさんはポケットティッシュを出して、女性に声をかけます。


「・・あ、ほんとですね、恥ずかしいわ・・・・いつの間についたんだろう」

「これ、何ですか?スライムですか?」


「いえいえ、まさか。食べ物ですよ。好きなんです、私。さっきも電車の中で食べてて・・・あ、大丈夫です。自分で舐めます」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あっっっ!!!」

「!!!!!」

「ニャニャンと!!」


「『なにか粘性のある液体』・・・そうだった!私、確かに見たっす!!」

「これが蜂蜜なのか?!」

「どう考えてもこれが蜂蜜ニャ!!」


「・・・・ということは・・・・」


スフレさんはゆっくりと腕を上げ、そして宣言します。


「蜂蜜を島に持ち込んだ犯人は・・・・・あなたですね!!後谷マリネさん!!」


全員の視線が後谷マリネに集中します。

名指しをされた後谷マリネは、観念したかのように肩を落とし、ぽつりぽつりと話し始めます。


「・・・あ・・あの・・はい。・・・わ・・私です。すみませんでした。・・・ま、まさかこんな大ごとになるなんて・・・・その・・思わなくて・・・私、子供の時から蜂蜜が大好きで、どこに行くにも蜂蜜の瓶を持ち歩いているんです」

「持ち歩くならプラスチック容器の方がお手軽っすよ。押せば口から直接かけられますしね」


「冗談じゃない!!!」

「?!?!?!?!」


「蜂蜜は瓶からハニーディッパーで掬い取ってこそなんぼのもんでしょう!!」

「えええ?!」

「豹変したな」

「先が松ぼっくりみたいなあの道具、ハニーディッパーって言うんだニャ」


「・・・・で、軽い気持ちでミラネサさんに勧めたんです・・・そしたらあんな事に・・・長唄通りの事件だなんて騒がれ始めて、どうしても名乗り出ることができなかったんです・・・・」


「そうだったんっすか・・・悪気はなかったんですね」


涙ぐむ後谷マリネ。

スフレさんももらい泣き気味です。

彼女の肩をそっと抱いて励まします。


「・・・・ていうか、これは・・・・事件なのか?」


櫃島チャプチェが疑問を呈します。


「ツアーで仲良くなった客に美味しい蜂蜜をお裾分けしてもらった老女、ご満悦・・・という、微笑ましい話じゃないんでしょうか」


と、旨川スブラキも言います。


「いえ!宇鷺ミラネサさんは、これまで熱心にい草教を信仰していました。しかし蜂蜜に(胸を)刺された彼女は『八代村やつしろむらのタタミなどもうどうでもよい』とまで言っているのです!『蜂蜜を全世界に布教』する使命を感じているのです!蜂蜜が彼女をこんなにも変えてしまった!!なんという罪!!」

「・・・ちょっと、スフレ君。君、後谷さんの味方なんじゃないの?追いつめてどうすんの」


「いやぁぁぁーー!!私、また過ちを犯してしまったのですね!!エスペラント語研究部のあの子を体操部員にしてしまったあの時のように!!」


後谷マリネは自分の罪深さに狂乱しています。


「いやいや。お若いお嬢さん。天気は悪いが、あの年老いたミラネサ媼にとってはいい転機ですなあ」

「なんか、うまいこと言ってるニャ。根住サイバンチョ・・・じゃなかった元裁判員」




~~~~~~~~~~~~~~~~



「さて、こうして5番目の事件も起きてしまいました。そしていつの間にかコメディアンの壮年人形も5個になってました」


例によってタルト所長の部屋で会議です。


「というわけで、『第3回 そして誰もいなくならないように事件を回避しちゃうぞ捜査会議』をはじめます」

「88888」

「ktkrニャー」


「所長たちのコピペコメントはスルーで進めたいと思います」

「88888888」

「wktkニャー」


「では。現代長唄の6番の歌詞を検証しましょう」

「8888888888」

「うぽつニャー」


「5人のコメディアンの壮年が法律に夢中になった・・・・1人が大法院に入って、4人になった」

「・・うん?これって・・・オリジナルそのまんまなんじゃ・・・」

「オリジナルて・・・もういいニャ。もうみんな承知の上なのニャ。確かにここだけ何故か何のひねりも入れてニャいのニャ」


「大法院って、最高裁判所の事っすよね?」

「だろうね」

「歌詞が同じという事は、起こる事件も同じなのかニャ」


「えーと。元裁判員の根住ポトフさんが見事裁判官になる・・・とかですかね」

「全く事件じゃないね。むしろハッピーエンドだよね」

「だけど、あのお歳で今から裁判官になれるのかが問題だニャー」


「あの”声”が教えてくれた罪状?からすると、『裁判官の恰好』をして大広間を『法廷』に模して今回の事件の判決を勝手に言い渡す・・・・という暴挙に出ることが予想されますね。ならば、今回も私たちにできることは”裁判官のコスプレにつかえる物探し”っすかね。使われる前に隠しちゃうしか阻止する方法はないっしょ」

「・・・・また物探しかい?さっき蜂蜜探したばっかりなのに。ちょっと話がワンパターンすぎないか?」

「それに、どんな物でもコスプレに使おうと思えば使えるニャ」


「うーーん。だとするとどんな事件が・・・・ああっ!!ピコーン☆私、わかっちゃいました!!」

「来たよ、またヤバイやつ」

「スフレの”ピコーン☆”は『宿題はやったんだけど、家に忘れてきました』以上にアテにならない!」

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