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第46章 そして誰もいなくならない Day2(6)

ボン!ボン!ボン!ボン!ボン!


「・・・うぬぬ・・・出て来んなり・・」


去取ボルシチは必死の形相で容器の底を叩いています。


「・・・もう諦めては・・?」

「・・・欠片だけニャンだよね?」

「空模様も怪しくなってきました。嵐が来るかもしれません。邸内に戻りましょう」

「ならぬなり!!!小生の辞書に”諦める”などという文字はない!」


「うーーん。水を入れて振ってみるのはどうだろう」

「ティップスターの容器は紙製ですよ」

「いニャ。たとえ紙でも結構丈夫にできているから、少しだけ水を入れて振って、底の欠片を剥がしてすぐに水と一緒に飲み込めば、全然OKだニャン!」


「否なり!!!」

「ニャんで?!」


「この後、乾燥パスタの保存容器として使うなり。水濡厳禁なり」

「・・・乾かせばいいじゃん。てか、使いまわしすぎだろ」


「とにかく!小生はこの欠片を全部回収するまで、ここを梃子でも動かないなり!!」

「・・・何故そこまでこだわるのか・・・・」


「もうお昼ご飯の時間ニャよ?」

「いらぬなり。小生の事は放っておいてほしいなり」



~~~~~~~~~~~~~~~~



「・・・・というわけで、去取さんは食事は要らないそうです」


出ていった時と同じ人数で食堂に帰ってきた3人は、昼食を先にとりはじめていた他の宿泊客たちにそう報告します。


「・・・実は、さっき気づいたんですが、食堂の例のコメディアンの壮年人形・・・また1つ減っているんです」


後谷マリネが不安そうな顔でタルト所長たちに告げます。

その他の人々も同じように落ち着かず、食事も喉を通っていない様子です。

ただ一人を除いては・・・・


「もぐもぐーもぐもぐーーー・・あ、所長!お疲れっす!もぐもぐーーー」


元気に淵戸内産サワラフィッシュフライサンドイッチを頬張っています。


「これもあれか?あの現代長唄とかいう唄の通りの事件だというのか?」


渡来ムサカが苛立った様子で問いかけます。


「3番の歌詞は、8人のコメディアンの壮年がルヴァンを食していた・・・・1人がそこに残ると言い出して、7人になった、だったな」

「ええ。そうですね」

「確かに去取さんはルヴァンプライム西洋乾パンを食べていて、”そこに(ルヴァンが)残る!”って言いだしたニャ!」

「欠片を全部食べ終えるまでその場所に残るとも言ってましたね」


「タタミじゃ~~!!八代村やつしろむらのタタミじゃ~~!!!」


~~~~


「・・・今日はいい天気ですなあ」

「いえ、先程から雲行きが怪しくなってきていますが」


「・・・スプレさんとやら」

「ビューティーインテリジェンス探偵助手青山ス・フ・レです」


「あなた方の探索では、島に名無しの権兵衛が潜んでいる可能性は限りなくゼロに近いという事じゃったな」

「はい。猫の子一匹いませんでした!」


根住ポトフの問いにスフレさんが答えた瞬間、全員がエ・クレア助手をチラッと見ました。


「ははは。いやー、エ・クレアさんは猫の”子”じゃないっすよー。人間の年齢に直したらもういいオッサ・・」


バリバリバリバリバリーーーーー


「・・・・大丈夫かいの、スプレさん」

「ええ。彼女は猫にバリバリ引っ掻かれても平気系女子なので全然問題ありません。それより、何かお気づきの点でも?根住さん」


タルト所長が会話を引き継ぎます。


「島には儂たちしかいないということだが、名無しの権兵衛(はんにん)がこの島にいることは間違いない・・・ということは、答えは一つじゃ。名無しの権兵衛(はんにん)はこの中にいる!!そしてさっきまでは間違いなくいい天気じゃった!!」

「そうですね。トイレ、Nyogibo、ルヴァンの件についてはともかく、誰かがコメディアンの壮年人形を1つずつ減らしていっているのは事実ですからね」



~~~~~~~~~~~~~~~~



「・・・・で、今回の事件は『コメディアン壮年人形連続消失事件』という事なんすか?」


夕方、タルト所長の部屋に探偵陣3人が集まって事件の話をしています。


「・・・・うん、まあね」

「これって、犯罪ですかね?」

「・・・まあ、器物損壊もしくは窃盗といったところかニャ」


「長編の割にはしょぼいっすね」

「そういうこと言わない」


「もっと華麗に探偵のお仕事してみたいっすよ」

「どんな事件でも手を抜かないのが優秀な探偵ニャ」


「だって、そもそも犯人はわかってるのに・・・」

「何のことかね」

「知らんニャ」


「犯人はヤs・・」

「それ、別の話ニャ」

「いいからそのファミコンは早くしまいなさい」


しまいました。


「そうだ!しっかり華麗に探偵の仕事しましょうよ、所長!!」

「うん?」


「探偵の仕事はなにも”起こった事件を解決する”だけじゃないっすよ!」

「ニャ?」


「”これから起こるであろう事件を未然に防ぐ”のも探偵の立派な仕事っす!!」

「・・・・・ほう」

「スフレがまともなことを言ってるニャ・・・やっぱり嵐が起こるニャ」


~~~~


「というわけで!『第1回 そして誰もいなくならないように事件を回避しちゃうぞ捜査会議』をはじめます!」

「88888」

「ktkrニャー」


「残念ながら、3度の事件は起こってしまったわけですが、仏の顔もサンドバッグ!そう!仏の顔をサンドバッグにするような罰当たりな輩に、これ以上好きにさせてはいけません!4度目の犯行は必ず阻止してみせましょう!」

「88888888」

「wktkニャー」


「はい。では早速、現代長唄の4番の歌詞を見てみましょう」

「8888888888」

「うぽつニャー」


「♪クリーンクリーン まぶたに~は 埋没法で~ クリーンクリーン 鼻の上には ララ シリコンもれる~♪」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


「失礼しました。これはクリーン商事社歌の4番でした」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


「えー。現代長唄の4番の歌詞は・・・7人のコメディアンの壮年が薪を割っていた・・・1人が真っ二つに割って、6人になった」

「オリジナルではどうだったかな」

「だからタルト所長、オリジナルとか言っちゃだめなのニャ」


「所長とエ・クレアさんが参考資料(文庫本とDVD)破棄しちゃったから、詳しい内容を確認できなくなっちゃったじゃないですか!!」

「・・・・それに関しては申し訳ない」

「返す言葉もないニャ」


「とりあえず、あの人に忠告しに行きましょう」

「まあ、そうだね」

「ウニャウニャ」


~~~~


「・・・はい?」

「ですから!薪です、薪!!薪を割るときにはじゅーーーーぶんに注意して下さいねっっ!!」


キッチンで夕食の準備をしていた乾ビリヤニは、突然登場して何やらまくし立てているスフレさんの顔をあっけにとられた様子で見つめます。


「・・・薪でございますか・・・」

「ええ!斧で割りますよね?!危険です!!とっっっても危険です!!」


「・・・はあ・・」

「何、余裕ぶっこいちゃってるんすか?!危ないんですって!斧で割るのをやめて、素手で引き裂くとか鉛筆削りで削るとか、他の方法で・・」


「薪は使っておりませんが」

「・・・・はい?」


「普通に海底ケーブルで電気が通っておりますし、プロパンガスもございますし、ここには薪など1本もございませんが・・・」

「・・・・・・・」


「ひょっとしてキャンプファイヤーをご所望でしょうか」

「・・・・いいえ」

「ああ、乾さん。薪を使っていないのならいいんです。こちらの勘違いで」


「そうでございますか。この島は夜になると星が綺麗に見えますので、キャンプファイヤーより、お部屋の窓から満天の星空をご覧になられた方がよろしいかと。・・・では、私奴は失礼して、夕食の準備に戻らせていただきます」

 

乾ビリヤニはそう言って、キッチンの奥のコンロの方へと行ってしまいました。

乾パエリアの体調もかなり良くなったようで、その日の夕食もとても豪華な物でした。

2日目の夕食はあの”声”が聞こえてくることもなく、おおむね和やかに進みました。


「淵戸内自撮り地鶏うまーーー!!!」

「しまなり海路名産もみじブッセもウマウマニャー!!」

「・・・・・うぷ」

グリーングリーンの4番の歌詞をご存じの方はどれくらいいらっしゃるでしょうか・・・


【登場人物おさらい】

赤岩タルト…RR探偵事務所所長 エ・クレア…同事務所助手兼看板にゃんこ

青山スフレ…その他

根住ポトフ…元裁判員      後谷マリネ…カテキョ

渡来ムサカ…元サバゲ―大尉   宇鷺ミラネサ…八代村のタタミ

立見ケバブ…パリピ【第1の被害者】       

旨川スブラキ…歯科医      櫃島チャプチェ…Wアイランド  

去取ボルシチ…鍋将軍【第3の被害者】

乾ビリヤニ…スタッフ(夫)   

乾パエリア…スタッフ(妻)【第2の被害者】     


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