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第41章 そして誰もいなくならない Day2(1)

~~~~~次の日の早朝~~~~~~


ドンドンドン ドンドンドン


けたたましい音に目を覚ましたタルト所長。

自室のベッドの中で起き上がります。

音は廊下から聞こえてきているようです。

タルト所長とエ・クレア助手は2人して寝ぼけ眼で部屋のドアを開け、廊下を覗いてみると、隣の部屋のドアを乾ビリヤニが激しくノックしているのが見えました。


「先生!!先生っ!!」


乾ビリヤニはそう叫び、とても慌てている様子です。


「うーーん。なんだ?朝っぱらから。ラジオ体操のレッスンでもしてほしいのかな?」

「いニャ、隣はそっちの先生じゃなくて歯医者の先生の方の部屋だニャンよ、所長」


そうこう言っているうちに目を覚ました旨川スブラキが部屋のドアを開けました。


「どうされましたか?」


旨川スブラキは乾ビリヤニに聞きます。


「家内が起きないんです!全く動かないんです!!様子を見ていただけませんか?!」

「それは大変だ。私は歯科医師なのだが・・・いや、とにかく見てみましょう」


旨川スブラキは寝巻のまますぐに部屋を出て、走って廊下の一番奥に位置する乾パエリアの部屋に向かいます。

タルト所長とエ・クレア助手も一瞬顔を見合わせ、旨川スブラキとの乾ビリヤニの後を追います。


バタバタバタバタ


バーーーン


旨川スブラキは勢いよく部屋のドアを開けます。

そしてタルト所長たちも追いつき、部屋に入ります。

そこで4人が見た光景は・・・・・


「はぁぁぁぁ~。有印優品のNyogiboニョギボー最高だわー。もー動きたくないわー。何もしたくないわー。洗濯も掃除も炊事ももうやらないわー。はぁぁぁぁ~」

「・・・・・・・」

「・・・・え、と、ドクター?パエリアさんは・・・」


タルト所長が聞くと、


「ええ。これは別の星から来た侵略者。『人をダメにするソファ』という名のプレデターです」

「ニャンと!!」


「何者かがこの恐ろしい家具生物兵器をアース星に持ち込んだのです!」

「だ、誰がそんなことをっっ?!」


乾ビリヤニも顔面蒼白になって叫びます。


「この家具生物兵器は、我がジャペン国では”持たず、作らず、持ち込ませず”の原則に基づき、製造も輸入も禁止されているはずです!これは国家レベルの犯罪!必ず犯人を突き止めなくてはなりません!探偵さん方、出番ですよ!」


旨川スブラキが、タルト所長とエ・クレア助手に向かって声を大にします。


「ええ。RR探偵事務所総出で犯人を追います!総出と言っても僕とエ・クレア君の2人ですが!」

「RR探偵事務所開所以来、最大の事件ニャ!国際的大事件ニャ!!タルト所長、2人で頑張るニャ!」

「?・・・もう1人、女性の方いらっしゃいませんでしたっけ?」


「あ・・・・あの・・・」


乾ビリヤニが、闘志に燃える探偵陣に遠慮がちに声をかけます。


「なんでしょう、ビリヤニさん。何かお気づきの点でも?」


タルト所長がたずねます。


「・・・いや・・・実は、明日は家内の誕生日でして。サプライズでプレゼントを、と思って他星で人気のソファをネットショップの『楽!天文単位市場』で購入したんです。そして昨日それが届いて、隠しておいたはずが見つかってしまい←今ここ、というわけでして・・」

「家具生物兵器をネットでポチって買ったというんですか?!」


旨川スブラキが血相を変えて問い詰めます。


「し、知らなかったんです!禁止されているなんて!・・・普通に買えましたし」


コンコンコン


開け放たれているドアをノックする音がして、廊下の方を見ると、そこに立っていたのは櫃島チャプチェです。


「話は聞かせてもらった。乾ビリヤニさん、非Nyogibo三原則は小学校で必ず習うでしょう。知らなかったでは済まされませんよ。本土に戻ったら、警察で詳しくお話を伺うことになります」

「・・・はい・・・すみませんでした・・・」


~~~~~~~~~~~~~~~~


「一件落着ですかニャ、所長」

「・・う・・うん。まあね・・」


旨川スブラキに乾パエリアの治療を任せて部屋を出たタルト所長とエ・クレア助手は、自室へと戻る廊下を歩いていました。


「あの歯医者さんに治療させていいのかニャ。あの”声”が言っていたことが真実ニャら・・・」

「・・う・・うん。まあね・・でも、ここに医療の知識があるのはあの人だけだからね。仕方ないよ」


そんなことを話していると、廊下中央付近の部屋のドアが開き・・・・


「あーたーーーらしぃーいあーっさがきったー♪」

「「?!?!?!」」


「あ。所長とエ・クレアさん。おはよざいまーーすっ!!」

「・・・朝から元気だね、スフレ君」

「寝起きでフルスロットルだニャ」


「どしたんですか、2人ともこんな朝っぱらから」

「ああ。2番目の事件が起こったんだよ」

「もう解決したけどニャ」


「ええっ?!乾パエリアさんが目を覚まさなかったんですか?!」

「いや、目は覚ましているんだ。てか君、さっきの騒動全く気づいてなかったよね?見てきたかのように事件を言い当てるのはやめなさい」


「え?だって、これってあの有名小説・・・」

「あーーーあーーーー聞こえなーーーい・・・・・で、とりあえず、今日の朝食は君が作りなさい」


「ええ?!何で?!」

「パエリアさんはプレデターに侵略されて、筋力・持久力・手指足の巧緻性・記憶力・注意力・認知力等々、身体的及び精神的機能の全てを亡失している」


「私が眠りこけている間にそんな惨劇が?!」

「・・・いやあ・・国家レベル・・・いや、宇宙レベルの凄惨な事件だった・・・」

「これ以上被害が広がらないためにも、あの家具生物兵器は早々に処分するべきニャ・・・」


~~~~~~~~~~~~~~~~


9時に朝食を知らせるチャイムが鳴る頃には、みんな食堂に集まってきていました。

去取ボルシチと根住ポトフは食堂の窓際で天気の話をしています。

後谷マリネと渡来ムサカは朝の散歩から帰ってきたところです。

立見ケバブは「・・・違うんだ・・・トイレに詰まったのは紙なんだ・・・」と、まだボソボソ言っています。


乾ビリヤニとスフレさんが、朝食バイキングの準備をしています。


「おや、探偵事務所のお嬢さん。あなたが朝食の用意を?・・・・ははあ、さては、旅行代金が払えなくなって急遽ここの日雇いスタッフのアルバイトをしているんですね」


旨川スブラキがスフレさんに声をかけます。


「失礼なー。無給のお手伝いですぅー。旅行代金はちゃんと払ってますよーだ!」

「福引で当たった無料招待券だけどニャ」


「えっ?無料招待券?それはうらやましい。当方は長年コツコツと貯めたポテチ貯金でやっと念願のこの島に来られたというのに・・」

「ポテチ貯金?」


「ええ。当方はポテチが好きで好きで、1日に20袋食べないと気が済まないほどのチェーンポテチーカーなんですが」

「チェーンポテチーカー」


「その愛するポテチを泣く泣く1日に19.8袋に抑えて、浮いた分をお金に換算して毎日貯金していたんです。あなた方、このコメディアン島旅行代金、いくらか知っていますか?」

「いいえ。知りません」

「そもそもコメディアン島を知らなかったニャ」

「上に同じ」


「3,141,592イィエンですよ」

「「「?!?!?!??!」」」


確かに、街の旅行会社のパンフットには『幻の楽園コメディアン島のんびりリゾート π( パイ)イィエンぽっきりでご提供!』と載っています。


「ですから、少しでも旅行代を浮かすために、電車ではなく自家用車で船着き場まで来たんですよ」

「・・・1人だと、電車の方が安く済むんじゃないんっすか?」

「現在のジャペン国のガソリン価格は1L1,200イィエンなのニャ」

「ていうか、そのポテチ貯金ペースで何年やれば3,141,592イィエン貯まるんだろうか・・・」


「・・・それはそうと、乾パエリアさんはビリヤニさんと櫃島さんと当方でNyogiboをひっぺがしましたので、しばらく安静にしていたらじきに良くなると思いますが、後遺症が少し心配ですね」

「後遺症ですか」


「ええ。あの生物兵器には強い中毒性がありましてね。他のソファやクッションを全く受け付けなくなって、四六時中Nyogiboの事が頭から離れなくなってしまうんですよ」

「おそろしい兵器なんですね」


「それはもう。国が禁止している兵器ですから」

「早く良くなってくれるといいですね」


「旨川センセ、ついでに立見ケバブ君も診てあげてニャ」

「いや、だから当方歯科医なんでね。無茶ブリやめて下さい」

【登場人物おさらい】

赤岩タルト…RR探偵事務所所長 エ・クレア…同事務所助手兼看板にゃんこ

青山スフレ…その他

根住ポトフ…元裁判員      後谷マリネ…カテキョ

渡来ムサカ…元サバゲ―大尉   宇鷺ミラネサ…八代村のタタミ

立見ケバブ…パリピ       旨川スブラキ…歯科医

櫃島チャプチェ…Wアイランド  去取ボルシチ…鍋将軍

乾ビリヤニ…スタッフ(夫)   乾パエリア…スタッフ(妻)     

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