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第4章 所長!事件です!!2

「こんにちは、マダム。うちのスタッフが失礼いたしました。所長の赤岩タルトです。改めて、ご依頼をお伺いしましょう」

「だから!うちのフランソワーズちゃんをすぐに探してきて!!」


「落ち着いて下さい、マダム。まずはあなたのお名前と、フランソワーズちゃんがいなくなった経緯をお話しください。スフレ君、お客様に飲み物をお出しして」

「はいはーい。えーと、コーヒーですか?紅茶ですか?緑茶ですか?スピリタスですか?」


「君が先週フランベに使おうとして大惨事になったスピリタス、まだあったのか」

「あっ、そういえば今朝、八百長青果店のひとり息子のケンちゃんが今日の小学校での実験で使うアルコールランプのアルコールがなくなってるって言ってたからあげたんだった」

「すぐ取り返して来ーーーい!!!!」


ちなみに、日本では安全性の問題からアルコールランプを使わなくなった学校が多いですが、ここジャペン国では、日本のアルコールランプと同じ大きさで重さが12kgもあるので、転倒させる心配がなく、火をつけるときも離れて「イン〇ンディオ」するので安全なのです。

しかし、ケンちゃんは理科委員か何かでしょうか。だとしても、少なくなったアルコールを小学生が用意して補充するものなのでしょうか。


「え?ケンちゃんは小学校の先生だよ?」


・・・・・・・・八百屋継げよ


「とりあえず、所長に言われたからスピリタス取り返してくるね・・・・・・あれ?なんか、小学校の方向から煙が漂ってきてるような・・・」


ケンちゃーーーーーーーーーーん!!!!



~~~~~5minutes later~~~~~


「・・・・ええ・・・と。すみませんマダム」

「・・・・・・」

「あいにくスピリタスは切らしてしまいまして、サルミアッキでよろしいですか?」

「よろしくないです」


 謝るのそこじゃないですし、もはや飲み物でもないものが出てきました。

 先週、町内会の慰安旅行(タルトたちは、突然舞い込んできた『ウケグチノホソミオナガノオキナハギ殺魚事件』の調査のため参加できませんでした。ちなみに犯魚はジョルダンヒレナガチョウチンアンコウでした)

で北欧へ行ってきたご近所さんからもらった迷惑なお土産を何とか消化しようとしているようです。


「麦茶です。どうぞ」


スフレさんが先程挙げた飲み物以外のものを持ってきました。

麦茶ですか。

まさかと思いますが、『麦茶と麺つゆ間違えちゃったーテヘペロ』とかいう、ベタな事しでかしちゃったりしませんよね?


「まさか。いくら私でもそんな間違いしません。残念でしたー。そしてテヘペロは古い」

「麺つゆは市販の瓶入りのものを使ってるから間違いようがないんだニャー」


なるほど。なら安心ですね・・・・

おや?でもこのお茶・・・・・


「なんですの?!この白く濁ったお茶は?!?!本当に麦茶なんですの?!?!」

「はい。(小)麦(粉)茶です」

「今、心の声的な、小説だと括弧書きのような何かが聞こえたような気がするんですけど?!?!」


どうやら、お湯に小麦粉を溶かしたもののようです。

いや、正確に言うと溶けてない・・・・抽出もしていない、ただの混合物です。




~~~~~5minutes later~~~~~


「・・・・ええ・・・と。すみませんマダム」

「・・・・・・」

「あいにく優秀な受付嬢は切らしてしまいまして、シュールストレミングでよろしいですか?」

「よろしくないですが、優秀な受付嬢さんを切らしてらっしゃることに対しては激しく同意です」


もうそろそろこのやり取りは飽きてきました。

サクッと本題に戻りましょう。


「では、あなたのお名前と、フランソワーズちゃんがいなくなった経緯を」

「はい。あたくしは兼物照代かねもつてるよです。拙宅ではワンちゃんとネコちゃんを1匹ずつ飼っておりますの」


「へぇ~、王貞治さんと手押しの一輪車をね~~」

「スフレ君、きみ、一体、歳いくつなんだい?」


そういえば、私も以前から疑問に思ってました。

なぜ犬は鳴き声から”ワン”ちゃんなのに、猫はそのまま”ネコ”ちゃんなのだろうと。

なぜ”ニャン”ちゃん、もしくは”ニャー”ちゃん、もしくは”シャー”ちゃんではないのだろうかと。


「威嚇されてるし」


「話進めてもよろしいかしら?!」

「ああ、すみませんマダム」


タルト所長、謝ってばかりです。

ここが『迷探偵』たる所以なのでしょうか。


「ワンちゃんはチャーリーという名前なんですけど、今朝、そのチャーリーのご飯をフランソワーズちゃんが横取りして食べてしまったんですの。そうしたら、チャーリーがすごく怒ってフランソワーズちゃんに吠えかかったものですから、フランソワーズちゃんが驚いてしまって。ちょうど家の門を、次男の・・・中学生で名前は兼物惇那かねもつとんなというんですけど、その惇那がちょうど開けているところで、そこをすり抜けてお外にフランソワーズちゃんが飛び出してしまって。まだひとりでお外に出たことがないのに。お外に出るときはあたくしが車でいつも一緒に・・・・うぅ・・・フランソワーズちゃん、今頃、心細い思いをしているんじゃないかしら・・・・探偵さん、どうか、どうか、一刻も早くフランソワーズちゃんを見つけてください」

「はい。ご事情は理解しました。それでは早速調査に取り掛かろうと思いますが、フランソワーズちゃんの容姿のわかる、動画や写真などはお持ちでしょうか」

「ええ。あたくし、あまり機械に詳しくなくて、動画はございませんの。写真なら、家族みんなで撮った写真がここにございますわ」


『世界一周旅行にでもお出かけですか?』とでも言いたくなるような大きなバッグからマダムが取り出したのは、そのバッグよりひと回り小さなバッグ。そしてそのひと回り小さなバッグから取り出したのは、さらにひと回り小さなバッグ。そしてそのふた回り小さなバッグから取り出したのは、さらにひと回り小さなバッグ・・・・


「いつまで続くんかニャー」

「ロシアの人形だろうか」

「何?バッグを持ち歩くためにバッグを持ち歩いてるの?」




「ああ、これですわ、写真・・・て、皆さん、何をなさっているんですの?」

「ああ、すみません。長くなるかなと思ったもので、10イィェン玉を削っていました」

「オレっちは、『最近おなか周りが気になって、北インド洋までスイミングしようと思ったけど、ブラックピラミッドバタフライの群れに押し戻されて、結局近所のウナギ電気店でルームスイマーを買った』ところまで判定したニャ」

「なんのお話ですの?!」

「あ、私はさっきの煙を見に行ってました。小学校で爆弾テロが起こっただけでした。スピリタス関係なくてよかったです」

「いやいやいやいや」


小学校の方は、幸いにもけが人などはなく、正門近くにあった初代校長像が木っ端みじんになっただけでした。

そして、スピリタスは回収し忘れました。




マダムが取り出した写真には家族全員が写っています。

どうやら写真館で撮ったもののようです。アマビエ写真館のロゴが入っています。写真の中央に。どこで合言葉を入手したんでしょうか、気になります。

兼物照代と、その夫と思われる、照代とは対照的な、例えるとすれば使い倒したつまようじのような風貌の男性が、背もたれの高いふかふかの椅子に座り、その周りに、大学生くらいと思われる好青年、高校生くらいであろう清楚な少女、そして先程の話に出てきた兼物惇那と想像される中学生男子、この3人はおそらく照代の子供たちでしょう。

そして、青年の横にはセントバーナードと思しき大型犬。これがチャーリーなのでしょう。そして、照代の腕に抱かれている長毛の猫。いかにもお金持ちの家で飼われてそうな猫です。血統書も当然ついていることでしょう。

長毛種は顔の丸さがあまりわからないので残念ですね。

やはり動物は丸くてころこr・・・失礼、また熱く語るところでした。


「よく写ってますね。これで、フランソワーズちゃんの容姿はわかりました。それでは、これより調査を開始します。あ、依頼料等につきましては、後ほど助手のエ・クレアから詳しく説明させていただきますので」


さて、次回より、いよいよ調査が始まります。

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