表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/100

第37章 そして誰もいなくならない Day1(7)

宴もたけなわ、豪華な料理に舌鼓をうちながら、集まった客は互いに自己紹介を始めました。


「僕は赤岩タルトです。探偵事務所の所長をしています。こちらは助手のエ・クレア君です」

「よろしくニャン☆」


「あ、おしゃべりにゃんこなんですね。かわいい」

「いニャあ~それほどでもなきにしもあらずニャ~☆」


「エ・クレアさん、デレデレしちゃってまあ・・・ていうか、私の紹介もしてくださいよ、所長!・・・みなさーん!私はRR探偵事務所の看板娘、容姿端麗、才色兼備、眉目秀麗、紅口白牙、曲眉豊頰のブレステイキング有能秘書兼助手の青山スフレです!!」


「この淵戸内の貝汁、なかなか美味なり」

「こっちの海の幸釜飯もマヂうまスギ薬局~」

「タタミじゃ~~!!八代村やつしろむらのタタミじゃ~~!!!」


「牛飲馬食、我田引水、無知蒙昧、四面楚歌、二束三文の(自称)探偵助手、青山スフレですニャ☆」

「私の声色真似て何言ってるんすかエ・クレアさん!」


スフレさんの妄言を無視して自己紹介は進行します。

駅から船着き場への先発ハイヤーにタルト所長と同乗した老紳士が前に出ます。


「今日はいい天気ですなあ。儂は根住ねずみポトフ。元裁判員ですじゃ」

「んん?!裁判員?!裁判官じゃなくて?」


スフレさんがツッコみます。


「いやー。いい経験をさせてもらったわい。異議ありーーーー!!ってな。それにしても今日はいい天気ですなあ」

「いや、それ裁判員のセリフじゃないし。ついでにいうと裁判官のセリフでもないし」


次に、スフレさんと一緒に駅に残って後発ハイヤーに乗った女性が手を挙げて自己紹介を始めます。


「私は後谷うしろだにマリネです。プロの家庭教師をしています」

「ほう。やはり先生でしたか」


彼女の立ち居振る舞いから、タルト所長もそう推測していたようです。


「はい。体育の」

「体育の?!」


「ええ。最近、需要が多いんですよ。体力のない子供が増えてきているでしょう?」

「・・・・な・・なるほど・・・」


「俺様は渡来とらいムサカだ!元大尉だ!!」


次に名乗りを上げたのは、同じくスフレさんと駅に残ったゴーグル&迷彩服の男性です。


「大尉・・・・ニャ?しかも元、ニャ?」

「ああ!この傷は昔、CQBフィールドでの戦闘の際、相手の大佐から受けたバイオ弾の傷だ!」


と、腕にある直径2cmくらいの傷跡を見せますが、どう見ても油性マジックで描かれた完成度の低いものです。


「サバゲーの大尉ニャ・・・・」

「”元”という事は、今は違うんっすね」

「じゃあ、なんであの格好しているんだ?」


ちなみにジャペン国には軍隊はありません。

代わりに自衛モフ団と呼ばれる犬・猫・羊・アルパカで構成される、自国の防衛を管轄する国家組織が存在します。冬季限定でふくらすずめも入団します。

自国の防衛といっても、このアース星には戦争自体存在しないので、自衛モフ団の主な業務は、時々空港近くで”もふもふパレード”を行い、外国からの観光客をおもてなしすることなのです。


「タタミじゃ~~!!八代村やつしろむらのタタミじゃ~~!!!」

「あんた、それしか言えんのかいの。今日はいい天気ですなあ。」


思わず根住ポトフがツッコみますが、人のことは言えません。


「ご婦人、お名前は?」


タルト所長が問いかけます。


宇鷺うさぎミラネサ」


「あー。オレ、立見たつみケバブ。よろたの!Pon Ponー!!」


遅れてオープンカーで船着き場にやって来た金髪青年がポーズを決めています。


「チャラいっすね」

「チャライな」

「Pon Ponーニャ!」


そして、全員がこの場で初めて見る顔の男性。船長が、船着き場に直接来る客が2人いると言っていましたが、この男性がそのうちの1人だったのでしょう。

遅れて1人、チャーター船に乗ってこの島に来たようです。

夕食には間に合ったようです。


旨川うまかわスブラキと申します。歯科医をしています」


お次は例の純ジャペン人顔の男性です。


「ロバー・トデニ・ーロです。よろしく」


とだけ言って、顔を(特にタルト所長から)背けます。

ゲストの最後に自己紹介をしたのは、スフレさんたちが駅で待った白髪の老人です。


「小生は去取さるとりボルシチ。鍋将軍なり」

「鍋将軍とは?!」


スフレさんがツッコみます。


「鍋奉行を極めた者だけが名乗ることのできる、鍋界の最高位なり」

「鍋界の最高位」


そして、施設スタッフの男性の方はいぬいビリヤニ、女性はいぬいパエリア。

2人は夫婦だそうです。


自己紹介の後は、少しだけみんな打ち解けたような雰囲気になり、料理やお酒を楽しんでいます。

タルト所長は淵戸内の海の幸をつまみながら、ワインを飲み進めています。


「おおー!車庫シャコ丼!暗石ダコのカルパッチョ!しすせそうどん!もぐもぐー!メチャうま!!」

「サワラにゅ~る!ママカリにゅ~る!アナゴにゅ~る!もぐもぐー!ここはにゃんこパラダイスニャ!!」


『にゅ~る』とは、B’zビーズ食品から発売されている、正式名称『NIAOニャオにゅ~る』という、今、猫さんたちの間で大人気のおやつです。

ペット枠でエ・クレア助手がツアーに参加するという事で、スタッフの乾さんが用意してくれたのでしょう。


「感謝、感謝!うまいニャー!!」


エ・クレア助手は人間の食べ物もガッツリ食べるんですけどね。


「隣のあずき島名産のオリーブオイル掛けそうめん”島の明かり”も激うまニャ!!」


淵戸内海の魚や貝類が盛りだくさんの『村下むらしも水軍鍋』もあります。


「こりゃーーーー!!取り皿に入れるときは野菜は下!魚は上!盛り付けの美しさも考えるなり!!・・あ!そこ!!えのきをズルズルと食べるでない!!箸できちんと折りたたんで食べなさい!!」


鍋将軍が手腕を振るっています。


「景色もいいし料理も美味しいし、なかなかいいツアーだよね」

「そうっすねー」

「夕食の前にタルト所長とちょっと廊下を歩いてみたんだニャ。ここは宿泊施設だけど、ホテルというよりはおしゃれな洋風邸宅といった感じニャン。調度品もすごく凝ってるニャ」


施設の1階には、玄関から入ってすぐの大広間と、大きな食堂とキッチン、そして食堂とは1枚のドアでつながっている隣の客間、小さな図書室、男子トイレ、お風呂とランドリーがあります。

2階は中央に廊下が通り、両側にベッドのある12個の部屋が並んでいて、その他には女子トイレがあります。

元々、個人の別荘でしたので、図書室はオーナーが書庫として使っていた部屋にちょっとしたテーブルと椅子を置いて、ツアー客が自由に本を閲覧できるようにしたものだったり、トイレや浴室は各寝室には付いていなく、共同の物だったりします。

トイレは一般家庭用の個室トイレを1階は男性用、2階は女性用と分けています。

お風呂はツアー客の受け入れを始めた際に改装し、男湯と女湯の2部屋あります。

特に温泉ではないみたいなので、スフレさんは少しがっかりしています。


~~~~~~~~~~~~~~~~


RR探偵事務所の面々をはじめ、ツアー客全員が美味しい料理に満足しています。

そんな中、立見ケバブが突然、食堂の隅にあるテーブルを指さして言いました。


「あそこになんか変な物アリアナグランデ!」


全員がチャラ男の指さす方向を見ます。

テーブルには、長方形の透明プラスチックの台があり、数個の小さな木彫りの人形が置いてあります。

おどけた表情をしたおじさんの人形です。


「これ、コメディアンじゃね?じゃねー?じゃーねー?ジャネットジャクソン!」

「そうね。10個ありますわね。・・・・これって、あの現代長唄に出てくる10人のコメディアンの壮年じゃないかしら。私の部屋に、その現代長唄の額が飾ってありました」


後谷マリネが同調します。


「その額、俺様の部屋にもあった」


と、渡来ムサカ。


「当方の部屋にも」


と、旨川スブラキ。


「ああ、小生の部屋にも確かに飾ってあったなり」


と、去取ボルシチ。


「タタミじゃ~~!!八代村やつしろむらのタタミじゃ~~!!!」


と、・・・・言わなくてもお分かりですね。


どうやら、あの現代長唄の入った額は、すべての客室に飾ってあるようです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ