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第28章 ノックスの十戒10(2)

「そうだね。この写真に写っている月馬さんは合成されたもの、という事だろうね。そして、これらのポーズで写っている月馬さんの写真を全部入手するのは難しいだろうから、顔だけをすげ替えたんだろうね」

「被害者を名乗る宇津田さんと弁護士はグルなんだニャ。弁護士というのも嘘ニャのかも。写真の男はその弁護士で、2人で協力してこの写真をでっち上げたのニャ!!」

「そして当然、この2人は男女の仲で、月馬さんから示談金、慰謝料、訴訟費用、保釈金、相談料、携帯電話料金、健康保険料、家賃、水道・光熱費、パチンコ代、その他もろもろぶんどった後、フィリピンに高跳びし、現地で飲食店事業を試みるも失敗、2人の仲も険悪になり、女はジャペンに帰国した際に空港で逮捕され、囲んだ報道陣のカメラの前で相手の男への誹謗中傷・罵詈雑言を叫び、男は国際指名手配され、各国を転々とした末に、アマゾンの奥地でアナコンダに飲みこまれそうになったところを現地の警察に保護され、犯罪者引き渡し条約が執行されてジャペンに強制送還、逮捕されるという筋書きなのですよ!」


その筋書きを犯人たちが立てたと?スフレさん


「それにしても、うまく合成してあるな」

「今の技術はかニャり発達してますからね。オレっち達素人には判断付かないニャ」

「餅は餅屋、墓地は墓地屋、口は歯科、歯科口腔外科、内科、皮膚科。つまり、写真の事は写真屋に聞けばいいんですよ、所長」


近所の写真屋さんといえばアマビエ写真館です。


「では、僕が写真館に行って聞いてこよう」

「オレっちはこの、宇津田L代の周辺を探ってみるにゃ」

「私はこの前クリーン商事に着て行ったリクルートスーツのクリーニングが出来上がったんで、そこの『白にしろクリーニング店』まで取りに行ってきます」

「探偵のみなさん、どうかよろしくお願いします」



~~~~~~~~~~~~~


【エ・クレア助手の調査】


「さて、宇津田L代の家はここだニャ」


依頼人、月馬樋さんにストーカー行為をされたと主張している女性、宇津田L代の自宅アパート前に到着したエ・クレア助手。

早速、いつものように野良猫のふりをして塀の上を歩き、アパート内の様子をうかがおうとします。

L代の部屋は1階だったので、アパート裏のベランダ側の塀に登ると、都合よくL代の部屋のカーテンは開いていて、中が丸見えでした。


「ニャニャッニャ~」


エ・クレアさんは毛づくろいをするふりをして、中をうかがいます。

L代はタンクトップにホットパンツの部屋着で、ノーメイク、スマホを手に誰かと通話しています。

もう片方の手には缶ビールを持ち、陽気に話に花を咲かせています。


「もう少し近づいて、どうにか話を聞きたいニャ」


塀からベランダの方に降り、日向ぼっこをしに来た野良猫のふりでベランダのガラス窓に耳をくっ付けます。

L代はスマホで友人と話しているようです。


「そうそう。まさに牛が白滝背負ってやって来たってカンジーきゃははー」

「ちなみに肉とこんにゃくは近づけない方がいいというのは誤解らしいニャ」


お酒が入ったL代の声が大きくなっていることもあり、エ・クレアさんにも会話の内容がはっきりと聞こえてきます。

L代は鴨鍋はお好きでないようです。


「ああー、そうそう。彼が計画立てたんだけどー。うん・・・弁護士?違う違う。あれはそう名乗ってるだけー。警備員だってば・・・え?どこの警備してるのかって?自宅って言ってたけど?まあ、この計画成功したらマニラに行って2人でジンバブエ料理店をチェーン展開しようって話してるしぃ~・・・」

「・・・・・クロ決定ニャ。」



【スフレ(自称)探偵助手の調査おつかい


「こんにちはー。スーツ取りに来ましたー」


『なんでも綺麗に!なんでも白く!白くできない物は歯だけ!あなたの街の”白にしろクリーニング店”!!

 ちなみに歯は”志賀歯科”で白くしてね!』


という、同じ商店街にある志賀歯科とタイアップした看板が掲げられた『白にしろクリーニング店』にやってきたスフレさん。看板の横には、『こんなに白くなります!』という”りいポップ角”で書かれた文字と、真っ赤なチャイナ服や煌びやかな振袖が、色も柄も落ち、文字通り真っ白になっている洗濯ビフォーアフターの写真が載った大きなポスターも張られています。


「あれ?黄島刑事」

「おぅ。探偵んところのじゃじゃ馬娘か」


スフレさんがクリーニング店の自動ドアをくぐると、そこには先客が。

タルト所長の大学時代の先輩でもある黄島キンツバ刑事です。


「優秀なる麗し探偵助手青山スフレです」

「ふふん、探偵助手、ねえ」


「なんですか。その含みのある言い方は。ちゃんと仕事してますよーだ。この前だって、潜入捜査してきたんですから!ひ・と・り・で!」

「ほおー」


「あ!信じてませんね!・・・ほら!これ!このスーツ!その時の変装に使ったんですよ!」


スフレさんは店員さんから受け取った例のスーツを黄島刑事に見せつけます。


「へっ。こいつは通りの向こうの『洋服のふゆ山 遭難店』で500円で売ってた型落ちリクルートスーツだろ。しけてんな、おい」

「むぅぅぅぅーーー!!」


「これ、クリーニング代いくらだよ」

「700円になりまーす」


店員さんが満面の笑みで答えます。


「今も事件の依頼が入ってるんです!これでも儲かってるんですよーだ」

「へえ。今回は何の事件だ?」


「冤罪事件です。依頼人が犯罪の疑いをかけられてるんです。証拠写真に写ってるけど、本人は絶対自分じゃないって。そして、なんと!双子ではないんです!!」

「・・・ほ~。・・・・だが、『依頼人は嘘をつく』ってよく言うしな」


「え?」

「ああ、これは弁護士の言葉だったか。しかし、探偵にも当てはまるだろ。・・・ま、気を付けることだな、嬢ちゃん。じゃあな」


そう言うと、黄島刑事はクリーニング店を後にしました。

手ぶらで出て行った様子を見るに、今日は洗濯物を預けに来たのでしょう。


「・・・『依頼人は嘘をつく』・・・か」



【タルト所長の調査】


「いえ、今日は写真を撮りに来たわけではありません。・・・あ、アマビエさん?着替える必要はないですよ?ああ、そのもこもこカーディガンも着たままでいいです」


ここはアマビエ写真館。アマビエさんの写真を撮らせてもらう写真館です。詳しくはこの章より前のどっかしらに書いてあるのでご参照ください。


「ちょっと相談に乗ってもらいたいのです。この写真に写っている男性なんですが・・・・ええ、何枚かあるんですが、全部同じ男性で・・・この男性の顔、合成じゃないかな‥と。調べてもらえませんか」


タルト所長は写真を見せてアマビエさんに相談します。

アマビエさんはこう見えて写真のプロです。

そして、アマビエ族さんはみんなそうなのですが、とても親切です。

写真の中の、月馬さんと思しき男性を、タルト所長にはよくわからない機械なども使って慎重に分析してくれました。

そして出された答えは・・・・・


「・・・え?・・・合成されたような形跡はいっさい見当たらない?!」


アマビエ写真館につきましては、第3章をご覧下さいませ。。。

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