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第23章 ノックスの十戒9(1)

みなさんは、”ノックスの十戒”をご存じでしょうか。


ノックスの十戒とは


【イギリスの聖職者・神学者で推理作家でもあるロナルド・ノックスが、1928年に編纂・刊行したアンソロジー“The Best of detective stories of the year1928”の序文において発表した、推理小説を書く際のルール】

(参考文献:Wikipedia)


のことであります。


我が『私と猫と迷探偵と』も、このノックスの十戒を順守して書かれています。

例えば・・・・・・


ノックスの十戒

9.サイドキック(探偵の助手にあたる人物)は、

  自らの判断を全て読者に知らせねばならない。

  また、その知能は、一般読者よりもごくわずかに低くなければならない。



「うーん。RR探偵事務所のサイドキックといえば・・・」

「はいはーーーい!私、青山スフレさんですよー☆テヘペロー」


「ああ。そうだね」

「あれ?今日は所長、すんなり私が助手って認めちゃいましたね。今日はツンデレのデレの日ですかぁ?」


「知能が一般読者より低い。うん、十戒を完璧に守っている。以上、今回の十戒検証終わり!」

「ちょ、ちょ、ちょ、待って下さいよ。まだ450文字くらいですよ?!しかもその前半部分はいつものコピペですし!前代未聞の超絶短章ですよ!!」


「だって、十戒きちんと守ってることが確認できたし、いいんじゃないか?たまにはこれくらい短いのも」

「所長、助手の知能は”ごくわずかに”低くないといけないらしいニャよ」


「・・・ああ、そうだった。完璧じゃなかったな・・・」

「失礼ですよねっ?!」


ピンポンパンポーーン♪

本日もRR探偵事務所にご出勤いただきまして誠にありがとうございます。

ご来所中の従業員様に地の文さんから、依頼人到着のご案内をいたします。

チャーリーの犬小屋より狭いアパートの一室からお越しの、

5歳くらいの知能年齢の青山スフレ様~

今回の依頼主様がお待ちです。

至急、RR探偵事務所、接客スペースまでお越し下さい~。

ピンポンパンポーーン♪



「こんにちは。私は責任者の赤岩タルトです。こちらは十戒をほぼ忠実に守っている助手の青森インフレくんです」


タルト所長が、依頼人に椅子をすすめ、自己紹介を始めます。


「・・・え、と、十戒とは何かよくわかりませんが、よろしくお願いします。赤岩さんにインフレさん」

「青山スフレです!キュートでスタイリッシュな探偵助手、青山スフレです!」


「実は、今度大学を卒業する息子の就職先が決まったんですが・・・」

「それはおめでとうございます」


「その就職先の会社がどんなところなのか調べていただきたいんです」

「なるほど。信用調査のご依頼ですね」

「今回も探偵っぽい依頼だニャ!」


依頼人の名前や調査対象の会社名や住所など、調査に必要な情報を依頼人に聞いた後、調査料金の説明をし、(小)麦(粉)茶を辞退した依頼人は早々に帰っていきました。


「とりあえず、ネットで下調べしようか」


タルト所長はそう言ってPC検索を始めました。


「会社の名前は『クリーン商事』っと・・・出た。会社のホームページもあるようだな」


タルト所長が見ているPCの画面には、会社の外観と『廊下もクリーン!社員もクリーン!仕事もクリーン!クリーンがモットー!クリーン商事!!』のキャッチフレーズが載ったクリーン商事HPのトップページが映っています。

スフレさんはタルト所長の肩越しにPCをのぞき込んでいます。

エ・クレアさんはタルト所長の肩に乗ってPCをのぞき込んでいます。


「今回はオレっちの出番かニャ。野良猫のふりして会社に忍び込んでいろいろ探ってくるニャ」


エ・クレアさんが腕や喉を鳴らします。


「・・・・だめだ。この会社、95%の社員が猫アレルギーだそうだ。見つかったら速攻追い出される」

「え?!そんなことまでHPに載ってるんすか?!」


「『廊下には猫の毛1本許さない!それがクリーン商事!!』とも載ってるな」

「万が一見つかったらエ・クレアさん、丸刈りにされちゃうかも」

「ブルブルブルブル」


「『クリーン商事は労働環境もクリーン!始業前には社員全員で社歌を合唱し、クリーンな1日を始めます!気になる社歌はこちらから』・・・リンクが貼ってあるな」


ポチ


タルト所長が『こちら』の文字をクリックすると、それは動画へのリンクでした。



「クリーンクリーン♪ 青空に~は コトリと 寝落ち~♪ 

 クリーンクリーン♪ 床の上には ララ 書類が燃え~る♪ 」


プチ


ブラウザを閉じました。


「異常にクリーンにこだわっているみたいだが、内情はどうだろう」

「裏サイトとかないんすかね」


「あまり有名な会社じゃないみたいだね。掲示板とか、他で話題にも上ってないようだ。・・・仕方ない、スフレ君。君の出番だ」

「ほぇ?」


「僕の実家のコネで、この会社に渡りをつけよう。君は派遣社員としてこの会社に潜り込み、社内事情を探ってくれ」

「潜入捜査っすか!!いやっほーーい!!めっちゃ探偵っぽいぃぃー!!」

「・・・・そのコネとやらで、ついでに中の事情も知ることできないのかニャ」


忘れかけていましたが、タルト所長の実家は地元の名士で大金持ちです。


「え・・・と、じゃあじゃあ、早速準備しなくちゃ。まず、服装は・・・ピチピチレオタードで、腰にリボンを巻いてーー」

「怪盗じゃないからね?!」

「猫の目ならここに本物があるニャ」


「スフレ君、あまり目立たないように。・・・そのワルサーPPKはしまいなさい。そういうスパイじゃないから」

「先が思いやられるニャ。オレっちがLOVOTに変装して潜入する方がマシなのニャ」


さて、スフレさんの初大仕事は無事に遂行されるのでしょうか。

それとも、エ・クレアさんのかわいいロボ猫姿を拝めるのでしょうか。



~~~~~数日後~~~~~


読者が見たいこの後の展開投票により、エ・クレアさんのラブリーLOVOT潜入が2525票を獲得し、スフレさんのペタンコ全身タイツスパイの666票を大きく上回りましたが、エ・クレアさんは、先日川まで行って研究・開発したサンショウウオジャーキーが、猫界では大変名誉ある『にゃんこまっしぐら!とっておきジャーキー賞』を受賞したため、この日表彰式にでかけていきました。スフレさんは別垢を665個も作ってポチポチ投票した甲斐があり、見事、今回のメインキャストの座を手に入れました。


ということで、タルト所長により、全身タイツとワルサーPPKは没収され、近所の『洋服のふゆ山 遭難店』にてワゴンセールで購入した、型落ちリクルートスーツ(500円)を着せられて、クリーン商事に送り込まれたスフレさん。

髪の毛で隠した耳元にはタルト所長と繋がっている音声受信機、襟元のケサランパサラン型のブローチにはこれまたタルト所長に声を届けるための音声送信機、そして胸にはボールペンに偽装した隠しカメラが刺さっています。


「・・・しょ・・・所長・・かなり痛いんですけど・・・」

「胸に直で刺さってるの?!」


胸のポケットに差し直しました。


「あと、この腰に付けられているのは何ですか、所長?結構かさばってますけど」

「ああ、それは低周波治療器」


「何故に?!」

「罰ゲーム用」


「はい?!」

「君が妙な事したら、僕がこっちでスイッチをオンにするよ。ちなみにそれ、出力を最大限に改造しておいたから」


クリーン商事の玄関ロビーでこそこそとそんな遠隔会話をしていると、エレベーターの方からスーツを着た30代くらいの男性がやってきました。スーツ姿で、首には社員証と思われるプラスチックケースに入ったカードをぶら下げています。


「あなたが青山スフレさんですか」

「・・・・は、はい!そうです!!私が青山スフレさんです!!」


スフレさん、あわててタルト所長との会話を切り上げ、近寄って来た男性に答えます。


「私は総務の清廉潔白きよれんけつしろです。青山さんは私たち総務部で働いてもらうことになりますので、わからないことがあったら何でも聞いて下さい」

「はい!では、早速教えてください!先週、友達と動物園に行ったんですけど、サル山で私が「ウキーウキー」って猿に話しかけたら、猿が全員私から1番離れたサル山の端に逃げて猿団子になって震えだしたんで、飼育員さんに追い出されたんですよ、ええ、私が。あれって何でですかね?」


「・・・・・それは動物博士の田 誤憲さんにでも聞いて下さい」

「何でもって言ったのにぃ・・・あ、でもトビハゼさんならマブダチなんで後で聞いてみます!」


「では、社内を軽く案内します。ついて来て下さい」

「イエッサー!」


かなり不安が募りますが、スフレさんの初ミッション開始です。

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