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第2章 出会い

自称)探偵助手と看板猫兼探偵助手がRR探偵事務所の一員になった経緯をご説明しましょう。


所長がこの探偵事務所を立ち上げた時、まず着手したのが、事務所の名前決めでした。

彼が、最初に決めた名前は『Taruto Akaiwa Detective Agency』でした。

事務所のドアの横に、イキって・・・もとい、開所の門出に特別発注で作った小洒落た斜体文字の看板を取り付けようとしていた時、近所の商店街に買い物に来ていた老婦人が通りかかり、


「樽と赤い輪・・・で、手、口、べぇ・・あげんちぃ・・・あんちゃん、ここは何のお店かいのぅ」

「あ、ここは探偵事務所で・・」


「ああ、今どきのタペオカとかいう飲みもん屋さんかね、ほぅほう」

「いや、言ってない・・・」


「私ら年寄りには、若いもんの流行っちゅうのはよぅわからんもんでの。美味しいタペオカ飲んで『これヤバーーイ』とかいうんじゃろ?わしらじゃとタペオカのどに詰まらせて本当の意味で『ヤバい』になりかねんからねぇ」

「怖い怖い」


「樽があるっちゅうことは、ぶどう酒とかも置いてあるんかのぅ」

「いえ、だから・・」


「わしゃ、ぶどう酒好きなんじゃよぉ。数の子に明太子をまぶして溶き卵をかけた『トリプル卵おつまみ』をお供に飲むのが一番の楽しみでなぁ」

「・・・・それ、一番ワインと相性の良くない食べ物の取り合わせのような・・・って、そういう問題じゃなく・・・」


「え?ほたるいかの冲漬けも置いてるって?」

「まったく全然これっぽっちも爪の先程も言ってないんですが?!」


「これは、角の八ちゃんにも教えてやらんとなぁ。おーーい、八ちゃーーん。ここに新しく居酒屋ができるってよーーーー」

「誰か助けて下さーーーい!!」


というわけで、あやうくタペオカという謎の飲み物も置いている居酒屋(=近所のご老人たちの溜まり場)になるところでしたが、イキって・・・・もとい、格好つけて横文字にした肝心の業種を漢字にすることで、なんとか回避することができたのです。

でも、やっぱりイキりたかった・・・もとい、少しはインテリ感を出したかったのか、赤岩⇒RED ROCKの頭文字から取ったアルファベットを使い、RR探偵事務所と命名されたのでした。

これも実は、岩のスペルをLOCKだと思い込んでいたタルトは『RL探偵事務所』で看板を発注したのですが、親切な看板屋さんが、

「え?右左探偵事務所なの?何かのコマンド?」と間違いを早々に指摘してくれたので、タルトは大恥をかかずに済んだのです。

まあ、看板屋さんは短期間に2枚も店で一番高い高級看板を買ってくれたので、タルトはいいカモ・・・こほん、お得意様ということでしょう。・・・・・黙っていれば3枚目の発注が来たというのに、お人好しの看板屋さんです。


さて、話を探偵事務所の開所準備に戻しまして、事務所の名前決めが終わったところで次に着手したのが優秀な助手を獲得することでした。


ホー〇ズにはワト〇ン、ポ〇ロにはヘイス〇ィングズ、裏庭には2羽の鶏ということです。


新聞、雑誌、インターネット、ポスター(自作)、回覧板、チェーンメール、あなたの心に直接話しかけています等々、様々な募集をかけ、東〇ドーム46755分の1個分の広さの会場を貸し切りにして、語学、政治学、法学、経済学、経営学、社会学、教育学、哲学、宗教学、考古学、歴史学、地理学、文学、芸術学、心理学、数学、統計学、物理学、湯川学、天文学、地球惑星科学、化学、生物学、工学、医学、の筆記試験と第15まである面接試験を行いました。

そこで突出して優秀な成績を収めたのが1番目のスタッフでした。


2番目のスタッフは、駅前でエサを求めてふらふらしていたのを所長が拾ってきました。


「2番目のスタッフの扱い、雑だなおい」



1番目のスタッフのエ・クレアは、探偵事務所近くのシニタテピチピチ鮮魚店の2Fを間借りして住んでいて、優秀であるがゆえに高給取りですので、いつも鮮魚店の高級マグロをおやつにしています。

そして2番目のスタッフの青山スフレは、エサ(食べかけの乾パン)を与えてくれた所長に恩義を感じ、勝手に、許可なく、押しかけ助手(所長非公認)をしているというわけなのです。


「経歴が普通逆なのだがね」


「ちょっと!前回から黙って聞いていれば、私の紹介、粗すぎない?!」


おや。スフレさん、ご立腹のようです。


「だいたい、このお話はタイトル『私と猫と迷探偵と』だよね?!」


はい。そうです。


「『猫』はエ・クレアのことでしょ?」


もちろん。


「で、『迷探偵』は当然所長のことだよね?」


ええ。


「”めい”の字が若干気になるのだが・・・・」←タルトの声


(スルー)「ということは、『私』はこの私、青山スフレでしょう。これって主人公だよね?『私』って主人公だよね??」


『私』が主人公であることは認めますが、『私』は”あなた”ではありません。

「?」


『私』は”私”です。


「??」


『私』はわたくし、”天の声”です。”地の文さん”と呼んでくださっても構いません。


「なんじゃそりゃーーー!!」



※『私』が何者なのかは皆様のご想像にお任せします。

次回からは事件のお話が始まります。

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