表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーとピンク色のテロリスト  作者: ユッキー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/77

SCENE73



 GINZA SIXの焼肉店「焼肉山水」で食事をしたあと、ワタシとミホコはスターバックス銀座マロニエ通り店に寄った。あらゆる年代のさまざまな格好をした人たちが、さまざまな目的のためおのおの時間を費やしていた。 ──ワタシ(テロリスト)にとって彼らはまったく別世界に住む人間だった──

 そうしてワタシはひと通り店内を見渡したあと、今年の6月にここ銀座で出会い、このスターバックス銀座マロニエ通り店で食事をした侏儒(こびと)のことをミホコに話しはじめた。 ──この話しをミホコに聴いてもらうため、このスターバックスに寄りたくなったのかもしれない── 突然の不思議な話しにも、ミホコは黙ったまますべてを受け入れる寛容さで熱心に聴いてくれた。 ──あたかも予知していたように違和感なく──



 侏儒(こびと)はね。暮れはじめた都心の空を見上げ、銀座には不釣り合いな(くす)んだ色の古びたジャケットを羽織っていたの。ワタシは優しい樹肌(じゅはだ)に触れるように、そっと侏儒(こびと)の背後に近づき声をかけてみた。


 ──なにを見上げているの?


 振り向いた侏儒(こびと)は、突然の呼びかけにもまったく驚いた様子をみせず、異様に発達した大きなひたいの下の小さなひとみを、まっすぐワタシに向けてくれた。


 ──宇宙の子どもたちが泣いている姿を……


 ──宇宙の子どもたち?


 ──もうすぐ陽が暮れる。そうしたら東の空に白い一等星が見えるだろう。あれはきっと宇宙の子どもたちの輝きなんだ。しかしこのところずっと泣きつづけている。


 そのときワタシは、すでに(あか)く色づきはじめた都心の空を見上げながら、不思議なほど大きな眼差しに包まれている感覚を覚えたの。まるで産まれる前の、羊水に満たされた胎児のような……

 それは、ワタシがシーちゃんを抱きしめるときにいつも感じる、宇宙に優しく包まれる感覚と同じだった。

 それからしばらく銀座の喧騒がまったく聴こえなかった。ふと我にかえってあらためて侏儒(こびと)を見ると、彼女は、燻んだ色のジャケットのポケットから使い古したハーモニカを取り出し、赫く色づく都心の空を見上げながらゆっくりと吹きはじめた。


 ラーララララー

 ラーララララー

 ラーララララーララー


 ラーララララー

 ラーララララー

 ラーララララーララー



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ