SCENE54
PM15:00
都心の白っぽい空であっても、寡黙な陽光が午後の銀座の街に溢れていた。実った果実のようにいたるところ ──人類繁栄の象徴というべき都心のあらゆる建造物── で乱反射する光に、尊大な宇宙の存在を感じてしまう。顧みることなく自らの繁栄をつき進む人類に、はたして宇宙は寛大であろうか? ZOZOのバスケットハットをかぶったワタシの姿がブランドショップのウインドウに映り、ワタシはそのまま顔を仰ぎ両手を水平にひろげ自分の身体をクルクルと回してみた。──行き交う人々が怪訝そうにワタシを一瞥するけれど── もし宇宙の眼差しがここ銀座の街にも注がれているとしたのなら、ワタシも宇宙と交信をしてみたかったから。必ずや侏儒=《小さきものたち》の世界で伝わりつづけるあの曲が、宇宙のこころに届いているはずだと願いながら……
ラーララララー
ラーララララー
ラーララララーララー
ラーララララー
ラーララララー
ラーララララーララー
PM16:00
銀座の通りを何度か行き来しても、身体をくねらせながら夜空に向かってトランペットを吹いていた侏儒の姿を見つけることができなかったワタシは、闇雲な行動を自嘲した。ZOZOのバスケットハットを脱ぎ、グリーン&ホワイトボーダーのショート丈トップスとホワイトのスウェットパンツ姿の愚かな自分を、ふたたびブランドショップのウインドウに映してみる。見慣れた顔と見慣れない表情が、遅い午後の眩い街並みを背景に危うく見えた。ふと不甲斐ない自分のまぶたに、シーちゃんの姿が浮かんできた。シーちゃんがワタシを見つめている。大きくまん丸のひとみでじっとワタシを見つめてくれている。 ──ウインドウに映るワタシの表情が微笑みを取り戻した瞬間── ハッとなって振り返ると、ひとりの侏儒が白っぽい空を見上げていた。しかもあの夜空に向かってトランペットを吹いていた侏儒とは違う別の侏儒が……




