表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーとピンク色のテロリスト  作者: ユッキー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/77

SCENE24



 グレースケール画像のようにすべてが灰色にみえた。まわりの人々の混乱とさらに強くなった雨がむかしの遠い記憶のように(おぼろ)げなまま、黒く濡れたアスファルトにナナコちゃんは捨て猫のようにうずくまり、怯えた仔猫のような陽葵(ひまり)ちゃんが蒼白な表情で震えていた。ワタシは必死になってナナコちゃんに呼びかけ、駆けつけた警察官や救急隊への対応に追われ自分の呼吸さえ曖昧になった。すっかり濡れたナナコちゃんの背中に雨に混じってひろがりはじめた鮮明な赤い色だけが、ペトリコールの匂いとともに妙に現実的だった。アスファルトに落ちたナナコちゃんがかぶっていた犬のDark brownの丸い鼻と大きな垂れ耳が付いたベースボールキャップを拾うと、すっかり雨水を含んで重たくなっていた。ワタシは救急車の中で、ナナコちゃんの手を握りprayer(祈り)つづけた。


 里親がすぐに迎えに来ると ──露巳(ロミ)代表が正式に里親になっていた── 陽葵(ひまり)ちゃんを警察官に託していた。蒼白な表情で震えていた陽葵(ひまり)ちゃんは、自分を刺そうとした黒い影こそが兄だと信じていた琢磨(たくま)というツイストスパイラルパーマの若い男だったことにかなりのショックを受けているようだった。その琢磨という若い男は、そのまま車道へとび出し車に()かれ即死だった。 ──後日、警察から伝えられた── 「ビック・ブラザー」のGroupが、露巳(ロミ)代表のもとで保護された陽葵(ひまり)ちゃんの口封じのため、琢磨という若い男におのれの命と引き換えに殺害を命じた可能性はあっただろう。しかしなぜ男が、みずからの命を(なげう)つように車道へとび出したのかはわからなかった。


 ワタシの手のなかでナナコちゃんの幼いぐらいの細い手が、生死の境を彷徨いながらいのちのPowerを伝えていた。iPhoneから逼迫(ひっぱく)した事情を伝えた際の、春子さんの雲透(くもす)きの一条(ひとすじ)の春の光のような声がこころに残った。


 ──祈りましょう!


 ワタシはナナコちゃんの幼く細い手を握りながらprayerつづけた。すでに熟睡しているはずのシーちゃんの寝顔と寝息に向かってprayerつづけた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ