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シーとピンク色のテロリスト  作者: ユッキー


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SCENE9



 午後9時前、GINZA SIXの「だるま きわ味」を出ると、建ち並ぶビルの上空は少し色褪せた薄灰色の夜空に白い満月が曖昧にぼんやりとしていた。大切なものを忘却し大切なものを犠牲にした夜空だった。

 夜空を見上げているワタシに、背後からミホコが抱きついてきて並んだふたつの顔はそのままビルの上空の夜空を見上げつづけた。マユもそんなふたりをみて微笑んでいる。胸にこみ上げてくるものを感じた。ふたりともワタシが夜空を見上げ何を思い何を感じているのか、わかっていたのだ。曖昧でけむった夜空に美しい星空を恢復すること、この地球をもう少しだけかえたいという思いを、何も言わなくても彼女たちはきちんとわかってくれていたのだ。

 そんなワタシたちの姿が、繁栄の森の泉のような華やかなショーウィンドウに揺れるように映っていた。

 

 胸に両手を合わせて、ワタシはからだを回転させながら歩きだした。ぐるぐるまわりながら歩きだした。夜の銀座のメインストリートをワタシはぐるぐるからだを回転させながら歩きだした。周りの通行人が怪訝そうにワタシを見ている。ミホコとマユは突然のワタシの愚行を止めようとする。けれどもワタシはぐるぐるまわってみたかった。薄灰色の夜空と曖昧にぼんやりとした白い満月もまわっている。

 ふたたびミホコがワタシに抱きついて、さらにマユも抱きついた。ワタシは平気だったけれど、ミホコもマユもとても恥ずかしそうに笑っていた。

 そのときだった。銀座和光の時計塔の正時を刻む鐘が鳴った。夜の銀座の華やかな雑踏のなかで鐘の音がけむった夜空まで響いていた。




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