無感ロボット
公園のベンチにロボットがいました。
どうしてそこにいるのかは誰も知りません、興味もありせん。
ただ皆、ロボットが何をしているのかだけは知っていました。
誰かの命令を待って、そこに佇んでいるのです。
そこにおじさんがやって来ました。
ロボットは反応して起きました。
「助けてください、私のお家が土砂崩れにあって家族が生き埋めです」
だから、すぐに起き上がり、巣に向かい、倒れた木をどかしてやりました。
「ありがとうロボットさん」
おじさんは感謝しましたが、ロボットは嬉しくありませんでした。
何かを感じる、心がなかったからです。
今度は男の子がやって来て言いました。
「友達にプレゼントを贈りたいから手伝ってください」
命令を受けたので、ロボットは男の子を持ち上げました。
男の子の脚では回り切れないくらい色んなお店へ連れて行ってやりました。
最後には面白そうな本を買いました。
「ありがとうロボットさん」
感謝されてもロボットは何とも思いませんでした。
こんな風にロボットは毎日誰かの命令を果たしていました。
たくさんの人が、その何も感じていないロボットを好きでした。
さて、ある日のことです。
「おれはみんな、この腐った世界から解放してやる」
街の中で男の人が銃を乱射していました。近くにいた人達は逃げ惑います。
ロボットはそれを見ていましたが、何もしません。
ロボットのところに女の子が逃げてきました。
「助けてください」
命令を受けたロボットは立ち上がり、男の人へかけよりました。
銃を奪おうとしましたが抵抗を受け上手く行きません。
「心がないくせに、皆を殺して助けたい俺の邪魔をするな」
ロボットは男の人の言葉を無視して、銃を奪うため努力します。
「心が無いクセに!」
バキュ――ン!
男の人は銃をロボットに撃ちました。
弾はあたってしまって、バシャ――ン、とロボットの部品が壊れて飛び散りました。
でも泥棒の銃で体を壊されても、ロボットは痛くも悲しくもありませんでした。
とうとう、男の人をロボットは怪我させずに捕まえました。
しかし。
その時の怪我でロボットは壊れ動けなくなったのです。
それから、そのもはや動かないロボットの表彰式がなされました。
皆を守ってくれたロボットを、皆が褒めました。
だけどロボットは嬉しくも悲しくもありませんでした。