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家ではお兄ちゃんとすり寄ってくる妹への告白を目撃したら、小動物系の幼馴染が告白してきた件  作者: 滝藤秀一
始まりと終わり

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21/26

写真

 写真の中の俺たちは両方とも恥ずかしさを押し殺し、照れていてそれが余計に勘違いを生んだのかもしれないし、何か誤解を与えたのかもしれない。


 クラスメイトや俺たちを知る同級生以外からの視線は痛く、そして冷たく俺たちは逃げるように教室に向かう。

 駆け出した時にはすでに陽はその場に居なくなっていて……


 教室の前に来た時に、なぜだか、『ごめんなさい』というメッセージが届いていた。


「あ、あっ、あき君……あの写真、なに?」

「わからない。俺たちスマホで写真は撮ったけど……あれは、俺たちが撮ったんじゃない、よな」

「そ、そうだね。映っているのはわたしたちだし」

「もちろん陽でもないな……夏希、平気か?」

「うん……だってやましいことはしてないよ」

「そ、そうだな……」


 だが、それを教師たちが簡単に信じてくれるとは思えない。

 そして案の定というか、教室に入ろうとした俺たち二人を学年主任でもある先生に呼び止められ、進路指導室へと連れてこられた。


 あろうことか、俺はその学年主任に。

 夏希は別の女性教諭にそれぞれ話を聞かれることになった。


「夏希……」

「あき君……」

「ありのままを……」

「ありのまま話そうね」


 同じことを口にして、こんな時でも口元を緩めた。


 嘘をつけば自分の首も絞めることになりそうだし、夏希への気持ちを偽らなきゃいけなくなるかもしれない。そんなことは絶対に嫌だった。


 写真の場所はどこだ?

 いつ?

 ほかに誰かいたのか?


 そんな大して意味のない質問を何度も浴びせられ、高校生同士で旅行に出かけたことすらも非難されてしまった。


 いけないことをしたという自覚はないので、目の前の先生が怒った顔をしているのがむしろ不思議なくらいで、後日俺の両親と夏希の両親を呼んで話をするということで話がまとまる。


 夏希と付き合っているということは、うちの両親にも旅行前に話をしていたので慌てることもなく、わかりましたと了承してその場は解放された。


 気が付けば1限目は終わり、2限目も始まっている。


「……なんで怒られるんだろ?」


 隣の資料室から出てきた夏希はなんだか怒っていた。


「好きな人と旅行しちゃいけないの? 先生は旅行しないんですか……って聞いちゃった」

「ははっ……心配する必要なかったな。夏希、その辺逞しいからな」

「……わたしは大丈夫だよ。あき君のことを大好き、それが変わるわけないし、恋の邪魔はされたくない」

「ありがとう。彼女が夏希でよかった」

「もう!」


 少しだけ心が晴れて授業中の教室に入ると――

 歓声と大きな拍手が俺たちを出迎えてくれる。


「2人とも、旅行行ったの! いいな、いいなあ」

「ひと夏の思い出作ったんだ」

「このリア充どもめ!」


 どうやら自習授業になっていたようで、途端に俺たちは囲まれた。

 これはこれで、ものすごく恥ずかしいけど、クラスメイトの嬉しそうで羨ましそうな視線を浴びて陽以外にも俺たちには味方がいることを理解できて心底感謝した。



 だけど、俺と夏希の想いが本当に試されるのはここからだったんだ。

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