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1日1つの物語  作者: 水谷舞湖
4/28

4/13 風の強い日

寒さには、種類がある。


代表的な例で言えば、気温の低さによるもの、そして風の強さによるものだ。

前者の場合はまだどうにかなる。服を着込み、手袋やマフラーで防寒すればそれでいい。

しかし、後者の場合は防寒だけではどうにもならない。飛んできた塵芥が目に入るし、身体が横から煽られてふらついてしまう。車道付近を歩いていれば、車やバイクとの接触の危険性がある。そして何より、髪型が崩れる。


風の強さは、寒さを連れてくるだけじゃない。寒いだけじゃ止まらないということだ。


ただ、風が連れてくる寒さは、低気温の寒さよりも柔らかい。日本語では寒さを「鋭い」と表現することがあるが、風の寒さは痛みで表すと鋭利というよりも"鈍痛"だ。そして何より、髪型が崩れる。


風の強さは、時に美しい情景をぶち壊し、時にその情景を作り出す。視界に広がる満開の桜を吹き飛ばし、春の空へと桜の花びらを導いていく。満開の桜、という出来上がった絵画を破り捨て、そのカケラで空のキャンパスを塗りたくるのだ。破壊と創造、あたかも表裏一体であるかのように、風は我々に見せつけてくる。そして何より、髪型が崩れる。


私自身の話をしよう。私は強い風は好きではない。はっきり言って嫌いだ。強く吹けば、大体空を見上げて"天気の神様"に愚痴を吐きつける。何故なら、髪型が、崩れるからだ。


せっかく朝の時間を使ってワックスで整えた髪型が、某妖怪漫画の主人公が霊気を感じた時のように逆立つ。


髪型が崩れなければ、もしかすると、強い風も好きになっていたかもしれないんだけどなぁ。

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