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1日1つの物語  作者: 水谷舞湖
2/28

4/11 ガタゴトゴト

8時5分。

毎日ほぼ同じ時間に乗る車両。たまに7時56分頃になることもあるが、大体その時間に出発する。

同じ線路をガタゴトと、時間も違えず行ったり来たり。

それに乗って、僕も毎日同じ場所へ向かう。


ガタゴトゴト……マダマダヤルノ?ガタゴトゴト。

ガタゴトゴト……イツマデナノ?ガタゴトゴト。


たまに話しかけてくる電車の音に呆れながら、

「まだまだだよ。あと30年……35年くらいさ」

と呟き返す。

毎日聞かれていると、それはそれでうんざりもしてくるもんだ。え?僕の話、ちゃんと聞いてた?そんな風に思えてくる。

30年以上、同じ事を繰り返す僕。

けれど君は、もっと長い時間、同じ線路を走っているんだよね。

そう考えると、愚痴る気分も失せてくる。


ガタゴトゴト……ホントニイイノ?ガタゴトゴト。

ガタゴトゴト……ジンセイタノシイ?ガタゴトゴト。


「うるさいな!楽しいに決まってるだろ!」

ハッとなって謝る。何でいきなり怒鳴ってしまったのか……人生楽しい?と聞かれた事が、思う以上に重かったのか。


ガタゴトゴト……コワクナイカラ、ガタゴトゴト。

ガタゴトゴト……トビダシテミナヨ、ガタゴトゴト。


わかってる。わかってるんだ、それくらい。

飛び出してみるべきなんだ。

けど、それが出来ない。やり方もわからない。不安と恐怖しかない。

それを乗り越えるべきなのもわかっている。

だから、僕は君に乗るしかなかったんだ。


ガタゴトゴト……ガタゴトゴト……


もう何も言わなくなった君に、今日もまた揺られ運ばれていく。

同じ時間、同じ場所を行き来する君に。

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