4/11 ガタゴトゴト
8時5分。
毎日ほぼ同じ時間に乗る車両。たまに7時56分頃になることもあるが、大体その時間に出発する。
同じ線路をガタゴトと、時間も違えず行ったり来たり。
それに乗って、僕も毎日同じ場所へ向かう。
ガタゴトゴト……マダマダヤルノ?ガタゴトゴト。
ガタゴトゴト……イツマデナノ?ガタゴトゴト。
たまに話しかけてくる電車の音に呆れながら、
「まだまだだよ。あと30年……35年くらいさ」
と呟き返す。
毎日聞かれていると、それはそれでうんざりもしてくるもんだ。え?僕の話、ちゃんと聞いてた?そんな風に思えてくる。
30年以上、同じ事を繰り返す僕。
けれど君は、もっと長い時間、同じ線路を走っているんだよね。
そう考えると、愚痴る気分も失せてくる。
ガタゴトゴト……ホントニイイノ?ガタゴトゴト。
ガタゴトゴト……ジンセイタノシイ?ガタゴトゴト。
「うるさいな!楽しいに決まってるだろ!」
ハッとなって謝る。何でいきなり怒鳴ってしまったのか……人生楽しい?と聞かれた事が、思う以上に重かったのか。
ガタゴトゴト……コワクナイカラ、ガタゴトゴト。
ガタゴトゴト……トビダシテミナヨ、ガタゴトゴト。
わかってる。わかってるんだ、それくらい。
飛び出してみるべきなんだ。
けど、それが出来ない。やり方もわからない。不安と恐怖しかない。
それを乗り越えるべきなのもわかっている。
だから、僕は君に乗るしかなかったんだ。
ガタゴトゴト……ガタゴトゴト……
もう何も言わなくなった君に、今日もまた揺られ運ばれていく。
同じ時間、同じ場所を行き来する君に。