表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩のようなもの。

煙草

作者: 小玉 幸一

 夜空に向かって吐き出す煙草の煙は、儚くも虚空に消えぼくを取り残す。


 甘いの香りだけが指先に残り、忘れられない記憶を呼び起こす。

あれは冬の日、あいにくの曇天。真っ暗な公園のベンチでふたりどこかを見詰めてる。


 オイルライターを擦る音。ぽっと照らされるキミの横顔。じりじりと燃える赤い灯火が指先で揺らめいてる。


 いまにも雪が降りだしそうな空を見上げて、震える指先がいつもより細く思えた。水蒸気と煙を孕んだ吐息は風にのりキミと戯れる。なのにどうしてキミはあんな顔をしたのだろう?


 幾星霜の時を過ごしても消えることのないこの記憶。


 一瞬で燃え尽きる煙草のように、外気に溶けゆく紫煙のように、どうかぼくから彼女を消し去ってくれ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ