バカな兄&クールな弟 後編
今日は朝早くに家を出た。
健一がいつものように迎えに来るんじゃないかと待ってしまう自分がイヤだったからだ。
「やっぱり。早い時間に出ると思った。」
健次君が私の家の塀にもたれながら待っていた。
「……健次君。」
なんで健次君には私の思っていることがわかってしまうんだろう。
「バカ兄貴は今日から彼女と一緒に学校に行くってさ。良かったね、望んだ通りの結果だ。」
「……そうだね。」
「どうすんの?学校で二人が仲良くしてるとこに出くわすかもよ?」
「……そうだね……」
「バカだよホントにバカだっ。」
「………」
昨日あれだけ泣いてもう涙なんて出ないと思ったのに、これ以上健次君に責められたらまた泣いてしまいそうだ。
私は健次君を避けるように車椅子をこぎ出した。
健次君がすぐさま私の前に回り込んでタイヤを抑えた。
「あの二人はきっとすぐ別れるよ。」
「……健次君?」
「そしたまた兄貴はいつものように朝元気におはよって言いながらドアを開けて迎えに来てくれる。」
そんなこと……
今の私には考えられないことだけど、健次君のあまりに確信めいた発言に少しだけ胸が高鳴った。
「それまでは行きも帰りも俺が送って行くから。迷惑だとか言われてもするから。」
健次君は私の目をまっすぐ見つめながら言った。
「その間だけは俺のことだけ、見て欲しい。」
私は遊園地のあのわずかな時間でさえ、健一の気持ちが他の子に向いているのが耐えられなかった。
今だってそうだ。
胸が張り裂けそうで苦しい……
でもそれを、健次君はずっと今まで耐えてきたんだ……
「……うん、わかった。」
健次君は私の言葉に、ちょっとびっくりしながらも嬉しそうに微笑んだ。
小さな頃はとても泣き虫だった健次君……
思春期に入ったらいつの間にかクールな男の子になっていた。
健次君てこんな顔で笑うんだ……
健一の無邪気な笑い方とは違う
とても優しい笑顔だった。
今日は二週間に一度通っているリハビリの日だ。
あまり動かせなくなった足の関節が固まってしまわないように、理学療法士の人からマッサージを受けるのが中心だ。
いつもは母の車で連れて行ってもらってるんだけど……
「やっぱりいいよ…悪いし……」
「なんで?いずれは自分で電車に乗って移動出来ないと生活できないよ?練習しとかないと。」
健次君が今日は自分が付き添うからと母に言ったのだ。
母も小さい頃から知っている男の子なので安心して任せたのだけれど、私にニヤニヤしながらグッと親指を立ててきたので何やら勘違いをしているみたいだ。
私は車椅子になってから電車に乗ったことはない。
小さい頃に乗ったみたいだが記憶にはない。
つまり今日が初体験のようなもんだ。
「この路線地図を見てまず自分が行きたい駅を探すんだ。桃香さんが行きたい駅見つけてみて。」
なにこのクモの巣のような巨大な地図は……
みんなこんな中からどうやって探してるの?
「……わかりません。」
「諦めるのが早い!ちゃんと見てっ。自分が今いる駅はわかる?」
健次君て結構スパルタだ……
だいたい電車って知らない人がしばらく同じ空間にいることになるから苦手なんだよな。
車椅子は場所をとるからイヤな顔されそうだし、歩けないなんて可哀想みたいな目で見られるのも好きじゃない。
「俺がついてるから大丈夫。」
健次君……ホント頼もしく成長したなぁ。
電車くらいでビクついている自分が恥ずかしい。
「お姉ちゃん、なんでタイヤのついた椅子に座ってるの?」
ホームで電車を待っていると小さな男の子が話しかけてきた。
これは想定外だ。なんて答えよう……
「このお姉ちゃんはね、足が悪くて歩けないんだよ。」
健次君が男の子の目線の高さにまでしゃがんで、私の代わりに答えてくれた。
「歩けないの?かわいそ〜。」
「そんなことないよ。だって歩けないだけでこのお姉ちゃんはとても可愛いし、僕みたいなイケメンがこうやってそばにいてずっと守ってあげてるからね。」
私のことを可愛いと言うのもだけど、自分のこともイケメンて……
「君も好きな子が出来たらちゃんと守ってあげないとダメだよ。」
男の子はわかったーっと言い、母親のところへと帰っていった。
「なに笑ってんの?」
「だって……」
いつもクールな健次君からは想像できない一面を見てしまった。
電車がホームにやってきたのだけれど、思った以上に電車とホームとの間が空いていた。
この間を押して入るのはちょっと怖いなぁと思っていたら健次君が車椅子ごと私を持ち上げた。
観覧車の時もそうだったけど、軽々と私のことを持ち上げるのってすごくない?
「健次君なんでそんなに力持ちなの?体育会系の部活でもないよね?」
「……中学生の頃から家で筋トレしてたから。」
健次君は車椅子のスペースに私を下ろした。
「家で筋トレ?」
なんでそんなことをしてるんだろ。
ボディビルダーでも目指しているのだろうか?
まさかね……
「いざって時に桃香さんを持ち上げられるようになっとこうと思って……」
「えっ……」
まさか私のためだとは思わなかった。
照れくさそうに顔をそむける健次君を見て私は赤くなってしまった。
中学生の頃からそんな努力をしてくれていただなんて……
健次君の私への想いの強さに、胸の奥がトクンと高鳴った。
「あらっ今日は彼氏と一緒?」
小学生の頃から私のリハビリを担当してくれてる理学療法士の京子さんが、健次君を見て言った。
「隣に住んでる幼なじみの竹内 健次といいます。今日は見学させて頂きます。」
健次君はしっかりとした挨拶をして京子さんにお辞儀をした。
「あ〜友達以上恋人未満てやつねっ!いいじゃん一番ワクワクする関係じゃんっ。」
「京子さん……」
京子さんはちょっとミーハーなところがあるから困る。
「関節の可動域は変わりないわね。毎日自分でマッサージ出来ててえらいわぁ。」
私より10歳年上の京子さんは私を妹のように可愛がってくれている。
いつものマッサージなのに横で健次君が見てると思うとなんだか緊張してしまう。
「健次君もマッサージ覚えてやってみる?合理的に桃香ちゃんにベタベタ触れるわよ?」
「京子さんっ!」
照れちゃってぇと言いながら京子さんは軽く叩いてきた。
ホント京子さんのこういうとこ困る。
「彼女は外で杖で歩いたりって出来ますか?」
ずっと静かに見学していた健次君が京子さんにたずねた。
「そうねぇ…桃香ちゃんの場合、脊髄の一部が損傷してる不全麻痺だし、損傷を受けたのも腰部分だし……実際家では杖で移動してるわけだから可能ではあるわね。」
「でも私、手すりと杖の両方ないと歩けないです。歩くのも遅いし……」
安全を考えて外では車椅子にしているのだけれど……
「手すり役を健次君にやってもらえばいいんじゃない?筋肉つけたら多少は早く歩けるようになるだろうし、あとは慣れね。」
なんか私が外で杖で歩きたいみたいな流れになっている。
健次君、急になんでこんなことを言い出すのだろ。
「転けたら立ち上がれないし……」
車椅子に頼りきっている私に今さら杖で歩けなんて無理だ。
「それは健次君に起こしてもらえばいいんじゃない?」
「俺が横にいるのに転けたりなんかさせません。」
「あらヤダ。カッコイイ。」
京子さん…目がハートマークになってますよ。
「桃香さん、車椅子じゃどうしても行けないとこもあるから練習しといた方がいい。」
「……でも……」
「俺が支えるから。」
私のことを真剣に考えてくれている気持ちがひしひしと伝わってきた。
私達の様子を見ていた京子さんが口をはさむ。
「車椅子だと相手の顔が見えないもんねぇ。やっぱデート中は可愛い桃香ちゃんの顔をたっぷり見ながら楽しみたいわよね~。」
京子さんが健次君の背中をバンと叩いた。
「そんなんじゃないです……」
さすがの健次君も真っ赤になってしまった。
結局、マッサージもそこそこに健次君の腕につかまりながらの杖を使った歩行訓練をすることになった。
「やっぱり健次君にマッサージも教えとくわ。一番大事なのは寝ている桃香ちゃんを襲わない自制心よっ。」
「京子さんっ!!」
私達をからかいまくる京子さんにはホントに参った。
一緒にリハビリに行った翌日から、毎日のように公園で健次君の腕につかまって杖で歩く練習をした。
何度も転けそうになったが、その度に健次君が両手で支えてくれた。
力強くギュッと抱きしめてくれるのですごく恥ずかしい。
その度に顔が赤くなる。
「桃香さん…いちいちそんな反応しないで。純情すぎ。」
「だっ、だって……」
二人して照れて赤くなってしまい、しばらく動けなくなるやりとりを繰り返した。
電車に初めて乗る時も思ったけど、健次君はスパルタだ。
「健次君、もう疲れた。これ以上はムリ。」
「じゃああと三歩頑張って。」
足も腕もプルプルしててもう限界なのに……
結局転けそうになって健次君に抱きしめられ、また顔が赤くなってきて……
「だから桃香さんっ……!」
腕に筋肉がついてきた。
このままムキムキになったらどうしてくれよう。
でも昨日より一歩一歩と前に進めていた。
健次君は厳しいだけでなくすごく褒めてもくれる。
私が好きだった駄菓子とかご褒美にくれたりする。
私は子供かよって思うけど結構それが嬉しかったりした。
「健次君私が好きだったものよく覚えてるよね?」
「そりゃ…モモお姉ちゃんのことばっか見てたから。」
昔の呼び方で急に呼ぶもんだから健次君の小さい頃の顔が浮かんでキュンてなった。
目を開けると自分の家の玄関にいた。
いつの間にか寝てしまったみたいだ。
「やだっ健次君なにっ?」
すぐ横で健次君が私の顔をまじまじと見ていたのでビックリた。
「気持ち良さそうに寝てるなぁと思って。」
「もしかしてずっと見てた?」
「……ナイショ。」
最近は健次君の腕につかまらなくても杖だけで歩けるようになってきた。
まだまだほんの少しの距離だけど……
でもものすごく体力を使うので体はクタクタだ。
じゃあと言って健次君がドアノブに手をかけた。
「ありがとう健次君。また明日。」
「……うん……また………」
なぜだろう……
夕日に照らされた健次君の優しい笑顔がとても寂しげに見えた。
朝、私はいつものように玄関で車椅子に座って待っていた。
今日も放課後は健次君と練習をするから折りたたみの杖を鞄に入れた。
「おはよっ。」
健次君がドアを開けて入って────
違う……顔は同じだけど明らかに雰囲気が違っていた。
「健一……?」
「おぉ。よくわかったな。」
なんで…なんで今日は健一?
──あの二人はきっとすぐ別れるよ──
健次君が確信めいて言っていた言葉がよみがえる。
「……城ヶ崎さんとはうまくいってるんだよね?」
「いや……」
「別れたの…?」
「まあ、そんなとこ。」
「なにやってんの?なんで振られてんのよっ。それ健次君にも話した?」
「昨日の朝に聞かれたから別れたとは言った。桃を送るのは兄貴の役目なんだから今日からはちゃんと行けよって怒られた。」
──その間だけは俺のことだけ、見て欲しい──
健次君は健一が城ヶ崎さんと別れるまでって言ってた……
昨日帰り際に違和感を感じたのはこういうことだったんだ。
じゃあもうこれで終わりってこと?
私、まだ一人でなんて歩けないのにっ……
「お前らこそうまくいってたんじゃなかったのかよ?」
「……健次君は健一が私のとこに戻ってくるまでって言ってたの。」
健一が驚いて叫んだ。
「なんだよそれっ?!だいたい俺、城ヶ崎さんと付き合ってなかったしなっ。」
えっ……?
健一がしまったって顔をして口を手でふさいだ。
「なにそれ?どういうこと?」
私がジロっと見つめると、健一はしぶしぶ話し始めた。
「城ヶ崎さんは大学生の彼氏がいるんだってさ。でも桃があまりに真剣だったからダブルデートのお誘いを断りきれなくてどうしたらいいかって俺に相談してきたんだ。んで、ちょっと演技してくれないかって頼んだ。」
「なんでわざわざそんなウソつくの?」
頭が混乱してきて整理出来ない……
「健次のやつ…昔っからすっごい桃のこと好きなくせに全然アタックしようとしないし、桃は桃で俺しか見ようとしないし……」
「ちょ、ちょっと待って。」
私は思わず健一の話を止めた。
なに?健一って私の気持ちに気付いてたってこと?!
健一は動揺しまくりの私のことを落ち着かせようと、ポンと頭を撫でた。
「俺は桃のこと大好きだけど、それは妹としてだ。これからもそれは変わらない。それに───」
いつもの屈託のない笑顔で笑う。
「桃を本当に幸せに出来るやつは俺じゃないだろ?」
私を本当に幸せに出来る人──────
「まあその頑固な弟の方は何を勘違いしてんだか今だに俺とくっつけようとしてやがるけど、鈍感な妹の方はよ───やく、気付いたみたいだなっ。」
健一は私の頭をくしゃくしゃっとしたあと、車椅子を勢いよく押して走り出した。
「今日はしゃあねえから俺が送ってやらあ。明日は健次に送ってもらえよ!」
健一はわかってたんだ……
「健一のこと…ただのバカだと思ってた。」
「はあ?まあバカなのは間違いないけど。健次と桃のことはちゃんと見えてるよ。二人の兄貴だからなっ!」
健一の言葉に涙が込み上げてきた。
一番なにも見えてなかったのは私だ………
放課後、一年生の下駄箱で私は待っていた。
健一が健次君は頑固だと言っていた。
一度決めたことは誰に何を言われても変えないそうだ。
私の話、聞いてくれるかな……
緊張しながら待っていると健次君がやってきた。
「ごめん、もう送ってあげられない。」
私の顔を見るなり冷たい口調で言ってきた。
一緒に歩行訓練をしてくれたあの優しい笑顔はもうどこにもなかった。
靴を履き替え、足早に去ろうとする。
「待って、健次君っ。」
「もう一緒にはいられないから。」
いつもは使わない階段のある裏口から出ていってしまった。振り返りもしない。
まさかここまでとは……
慌ててあとを追ったけど、車椅子である私は階段の上で止まるしかなかった。
レンガ作りのたった三段しかない階段……
私には深い谷底のように見えた。
健次君の姿がどんどん小さくなっていく……
転んでしまったら支えてくれる人はいない。
本当はすごく怖い。怖いけど……
私は鞄から折りたたみの杖を出して広げた。
今頑張らないと健次君とはもう終わってしまう───
階段の手すりをつかみ、杖をレンガに突き立て、重い足に力を込める。
「……立てた……っ!」
こんなにスムーズに立てたのは初めてだ。
あとは階段なんだけど……
私の部屋は1階にある。
階段なんて足を悪くしてから1段も下りたことがない。
どうやって下りたらいいのかさえ検討がつかない
どうしようと考えていたら手すりを持つ手が震えてきた。
レンガは思った以上に滑りやすくて杖が勝手に前に進んだ。
体がバランスを崩し前のめりになる………
───────────っ!!
地面すれすれのところで抱きしめられた。
「……健次君……」
仰向けで地面に寝転んだ状態の健次君が私の下にいた。
必死になって走ってきてくれたんだろう……肩で息をしながら私を強く抱きしめていた。
「なに……考えてんの?階段なんかムリだろ?」
「だって……」
「ケガしてない?」
「大丈夫…ごめんね。健次君は?」
「いいよ俺なんか。なんでこんな無茶するの?」
困ったように私を見つめる健次君は、あの優しい健次君だった。
「健次君こそなんでもう一緒にいられないとか言うの?」
「……一緒にいたら気持ちが抑えられない。」
そう言って立ち上がろうとした健次君を私は上から押さえつけた。
「桃香さんっどいて……」
「健次君言ってくれたよね?俺が支えるからって……」
涙がボロボロこぼれてきた。
まだまだ伝えたい気持ちがいっぱいあるのに……っ。
「でもそれはもう兄貴が……」
「私はっ!!」
健次君の言葉を大きな声でさえぎった。
「転びそうになった時、くじけそうになった時、辛くて…心が折れそうになった時、そばにいて…支えて欲しいのは……健次君なの………」
ちゃんと伝えなければと思えば思うほど涙声になる……
健次君は地面に肘をついて頭だけを少し浮かした。
「……兄貴じゃなくて?」
「健次君がいい。」
「俺で…いいの?」
「健次君がいいのっ。」
「ウソだろ……」
「ウソじゃない。」
ずっとそばにいたのに気付いてあげれなかった健次君に、今の気持ちを伝えたい。
ゆっくり深呼吸をし、目の前にいる健次君を見つめた。
「健次君が好きです。」
健次君の瞳が揺れているのがわかった。
私を確かめるように見つめる目に涙がにじむ……
「……桃香さんが俺を?夢みたいだ……」
健次君は力が抜けたように地面に頭をつけ、空を見上げた。
「俺もずっと好きだった。」
健次君が見上げた空は、青く澄み渡っていた。
どこまでもどこまでも、広がっているように見えた。
「健次君……泣いてる?」
「……泣いてないよ。」
「今でも泣き虫健次君だね。」
「泣いてないって。」
「変わらないね。」
「うるさいからっ。」
健次君は私を引き寄せ強く抱きしめた────
私は玄関で車椅子に座りながら健次君がいつものようにおはようって言いながらドアを開けるのを待っていた。
「桃、おはよう。」
健次君がドアを開けて入って────
「健一だよね?」
「うわっなんでバレるの?速攻じゃんっ。」
「兄貴に俺のマネはムリだよ。顔にしまりがないから。」
健次君もドアを開けて入ってきた。
「だいたい俺、桃とは呼んでないからね。兄貴と同じなのはイヤだから桃香って呼んでる。」
「はあ?桃の方が可愛いだろ。ペットみたいで。」
「俺の彼女ペット扱いすんなよ。」
「俺の妹だからいいんです〜。」
「もう二人とも行くよっ。」
私を学校に送ることが習慣になっていた健一も、寝坊しない限りは一緒に学校に行っている。
私は車椅子から立ち上がり、杖をついて歩き始めた。
「今日はあの郵便ポストまで頑張ってみる?」
健次君が今日の私の目標を言う。
「うわっ、健次それは長くね?桃疲れるだろ。」
「兄貴は桃香に甘いんだよ。最終的には学校まで行くのが目標なんだからな。」
「健次だって桃にデレデレじゃねえか……ツンデレだよなこいつ。」
健一が私の車椅子を押しながら郵便ポストへと先に走っていった。
「よしっ、桃っ来い!俺が抱きしめてやる!」
両手を広げて私を待ち受ける。
「だからぁ、俺の彼女にベタベタ触んなよ!」
「妹だからいいんです〜。」
「二人とも朝から近所迷惑だから……」
毎日この二人がジャレるのを見るのが日課になった。
私の隣の家には仲の良い兄弟が住んでいる。
兄貴はバカで、弟はクール。
どちらも私の大事なお兄ちゃんと大事な彼氏。
かけがえのない二人─────
私はこれからもきっと、この二人と共に生きていく。
だって私は小さい頃に
観覧車の一番上で
この二人から同時にキスをされたから。
観覧車の一番上でキスをすると
永遠に別れない───────




