あの星が落ちるまで
ねぇ、スグリ。
あの星はいつからあそこで輝いているんだろう。
星ってのは大昔からずうっとひとりぼっちで燃えているんだろう?
さみしくはならないのかな。
どうしてあんな遠いところにいるんだろうね。
こっちに来たらいいじゃないか。
それはできないだろう。
あの星がこっちに来たら、僕たちも一緒に燃えてしまうのさ。
星ってのはすごいものだからね。
僕たちいる場所を全部燃やしてしまえるかもしれない。
それは困るね、友達になれないじゃないか。
仲良くなる前に燃やされてしまうんじゃあ仕方ない。
なんでそんなさみしい思いをして星は燃えているんだろうね。
燃えてなきゃこっちに来れるだろう。
友達にだってなれるだろう。
そうだね。
でも、燃えてなきゃあんなに輝きはしない。
みんなに綺麗だとは言ってもらえなくなる。
燃えてない星はただの石ころと同じなのさ。
みんなが憧れるようなもんじゃないんだ。
あぁ、確かに星は綺麗だ。
みんなあの輝きには憧れるね。
だけども友達になれる方がよっぽど楽しくはないかい?
だいいち、あんなに遠くにいたらみんなが綺麗だという声も聞こえないだろう。
やっぱりさみしいじゃないか。
石ころになってもひとりぼっちよかはいいだろう。
星の気持ちはやつにしかわからんよ。
あいつが好きであそこにいるのか、そうでないのかすらね。
だから僕らはね、ただ綺麗だと眺めていればいいんだ。
近づけやしないんだから。
そうかい。
だが、あの星だってずっと燃えてやしないだろう?
いつかは燃え尽きてしまうに違いないさ。
そうしたらあの星は落ちてくる。
その時は友達になれるんだろう?
どうだろうね。
輝いていられなくなって落ちてくるんだ、僕らと仲良くしたいからじゃない。
誰にも綺麗だと言ってもらえないのに、ただの石ころとして仲良くできるものかね。
星はね、自分が綺麗だと言われてるのをちゃあんと知ってるのさ。
声が聞こえなくても、最初からわかってる。
だから、落ちた自分が綺麗じゃなくなったこともわかる。
そんな自分をわざわざ人に見せたくはないさ。
綺麗じゃなくたっていいじゃないか。
友達だろう。
友達ってのは別に綺麗なやつでなくてもいいさ。
そんなことは関係ない。
ユズリ、君にとってはそうでもね。
皆がそうとは限らないのさ。
みんなはどうだっていいよ。
僕は仲良くしたい、きっとそうするさ。
君はどうなんだい、スグリ。
綺麗じゃなくなった星とは、仲良くできないっていうのかい。
いいや、そんなことはないだろうね。
ぜひ話してみたいもんだ。
そうだろう。
だから、決めたぞ。
あの星が落ちてくるのを、僕は待つ。
きっと友達になるさ。
そうかい。
そうさ。
あぁたのしみだ。
好きな時に落ちてきたらいい。
僕はいつだってあの星を受け入れるだろう。