表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

重すぎた絶望

おはよう? なのかな?

KURAです!

えー、完結……かな?


走っていた。

僕は、走っていた。

最後の大事なものを亡くしちゃわないように。

亡くしたくない者を亡くさないように。

祐介の家についた。

門限なんてとっくの昔に越えている。なにせ、門限の後に出ているのだから

小言じゃすまされないだろう。

それでも、それでも僕は。

鍵は開いていた。

パニック状態だった彼が開けたまんまにしていたのだろう。

そして靴を脱ぎ、入る。


「死んでるぞ? どうせ。死体なんざ見たくないだろ」


「黙れ」


祐介の部屋はこの奥だ。

……臭い。

夢を見たい脳に血の臭いが現実と共に入り込む。

祐介……祐介……祐介!

いつの間に走っていた。

走り、扉を開けると、拳を前に突き出し、笑いながら、幸せそうに死んでいる祐介はいた。

またしても二つだった。

こんどは肩から脇にかけて斜めにズバッと斬られている。

けれど、二つに別れている。

人体が二つに別れることなど普通無いのに。


「言ったろ? 見なきゃいいって。それにしても悲鳴あげないのはすげぇな。そんな大事じゃなかったのか?」


「黙れ!」


「おいおい、寂しいだろ? 友達三人も亡くして。おっと間違えちまった。唯一の友達を亡くして。お前学校にも塾にも友達いねぇもんなぁ」


「だまれ!」


「なぁ、お前んちの父親が警察官だから皆を守れる警察官になれるよう勉強させられてるんだって?」


「黙れっていってるだろう!?」


「何にも守れてないじゃないか。なぁ、聞かせてくれよ。皆を守るために警察官になろうとしているのに友達三人すらも守れなかった気持ちをぉ!」


「黙れっていってるのが聞こえないのかい!?」


「はいはい」


……帰ろう。

もうどうでもよくなった。

帰ると、いつものお母様の説教が始まった。

耳に入らない。

いつもはちゃんと聞くのに。

おかしいな。

いつもは自分が悪いと思えてくるのに、騒音にしか聞こえないや。

あ、終わった。

待ってお母様。反省もしてないし、騒音響かせてただけじゃないか。


夕食だ。

お母様の機嫌はまだ悪いが、お父様もいるので一応怒っていないようだ。

お父様は僕の顔を見て、心配そうな顔で声をかけてきたが、大丈夫としか言えなかった。

笑顔は作れていただろうか。

あの友達といるときのような笑顔が。

いつも美味しい夕食は、スープは雨水のように、パンはスポンジのように、じゃがいもは粘土のように感じた。

不味いとも言えずただ、食べた。


勉強だ。

お母様に何か言われて部屋を指さされたので勉強しろってことだろう。

お父様がお母様に何かいっていたがなに言っていたのだろう。

いつもならすぐわかる数式も、英文も、問題も、全てが別の世界の言葉のように見えて全く解けない。

なんだこれは。

いつ習ったんだ。

なんて読むんだこの字は。

全くわからず唸っていたらお父様に連れ出された。

何故だろう。


テレビを見ていた。

お父様が笑いながらテレビを指差し、僕に話しかける。

笑いながら……笑えているのだろうか僕は。まぁいい。

おもしろいですねと言っておくことにした。

お父様は笑いながら頷き僕の肩を抱いて一緒に見始めた。

正直言ってテレビが何言ってるかわからないし、僕には色々な色が動いているようにしか見えなかった。

絵ですらなかった。

テレビとはああいうものなのか。

久しぶりに見たのだがあんなのだっただろうか。

わからない。


お父様はお母様になにか言われると肩を竦めながら笑って僕を部屋につれていった。

そしてベットに横たわらせてくれて、電気を消して出ていった。


「ククク、親父優しいな」


「優しいんだ。へぇ」


「お前……あぁ、狂ったのか」


「狂う? 元々僕は……あれ? 僕は、どうだっけ?」


「はぁ、寝ろねろ! 俺も面白くない。俺はな、あの過激連中とかと違って面白くありたいだけなの。狂った奴と話すのなんて面白くない。さっさと寝て精神科行くか?」


後ろのコイツは寝ろと言い出す。

後ろのコイツだけ何て言ってるかわかる。

何故だろう。

目を閉じる。


暗闇。

当然。

異常。

景色が出てくる。

佳祐。

首、身体。

祐介。

上半身、下半身。

玲哉。

画面、悲鳴。


「眠れない」


「寝てろって……。大人しくしたと思ったらよぉ……」


水でも飲もう。

部屋から出て薄暗い家を進む。

キッチンだ。

コップを出そう。

どこだっけ?

ここ? 違う。鍋がある。

ここ? 違う。器だ。

ここ? 違う。包丁だ。包丁……?

包丁を手に取る。

キレイだ。


「待て待て水飲もう。な? おい。りょーしーん!」


「キレイ、キレイ……キレイだねぇ」


食べてしまいたいくらいキレイだぁ……。


「……無理かぁ。面白かったんだぞ? 普通のお前と話すの」


あーん。

舌、顎、首、痛い。

とっても痛い。


「じゃあな、短いけど楽しかったよ」


うしろ?


力が抜ける。

熱い……いや寒い。

ぁぁ、寒いよ……玲哉、佳祐、祐介……。


「ったく! しょうがねぇなぁ! 道也は! 俺達はこっちだぞー!」


「道也、よく頑張ったよ。俺達と一緒に逝くか」


「道也、追ってほしくなかったけど、まぁいいね。行こうか」


きこえ……た?


とりあえず四人死んじゃったので完結です!

何か悲しい物語になりましたね……。

怖かったですかね?

では皆様!

また会える日まで!

さようなら!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ