迫るのはただ絶望
こんばんは!
KURAです!
あと一話!
祐介 「佳祐! 佳祐!? 四時間経ったぞ!? いきのこってるか!? おい! おい!」
道也 「家に行ってみようか」
祐介 「そうだな。佳祐の前で待ち合わせしよう」
道也 「わかったよ」
くそっ……!
佳祐が……佳祐が何で死ななきゃなんねぇんだよ……。
乱暴な俺に呆れずに接してくれる優しい奴だぞ!?
何で……何で!
訳もわからず走り出した。
本当に死んでいるのか。
信じたくなくて。信じられなくて。
家に行ったらいつもの笑い顔があると信じて。
家の前につくと道也がもうついていた。
心なしか隈が出来ているきがする。
……道也も苦労しているんだな。
家でも気が休まらないだろう。
「……行こうか」
「おう。あいつは合鍵を下のところに……あった。開けるぞ……?」
「うん」
いつものように置いてあった合鍵を取り、扉をあげる。
そして靴を脱ぎ、あいつの部屋は二階にあるため一段、一段登っていく。
すると、あいつの部屋だ。
「…………」
「…………」
ゴクリ、唾の飲む音が聞こえるほど静かな家に扉が開かれる音が響いた。
そこにあるはずのない物が二つ。
あってほしくないものが二つ。
二つあってはいけないものが二つ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!」
……誰だ。叫んでいるのは。
……道也か? 道也は口を押さえて驚いてる。
なら誰だ?
……俺か。
「あ……あ……あ……何で……何でだよ……佳祐。何でお前まで……」
佳祐……玲哉……お前ら早いよ……。
何でだよ。俺より長生きするんじゃなかったのかよ……。
おい……起きろよ……。
ドッキリか? ドッキリにしては悪趣味過ぎるぞ?
随分と小さくなった佳祐を、佳祐の頭を抱えて、泣く。
泣くしかないじゃないか。
何でぇ……何でこんな軽くなってんだよぉ……。
「……佳祐……玲哉……お前らホントに死んだのかよぉ……」
「……祐介。帰ろう。このままだと僕達が犯人になる」
「……んな……」
「……祐介……?」
「ふざけんな! なんで佳祐が! 玲哉が死ななくちゃなんねぇんだよ! ふざけんなよぉぉぉぉぉぉぉ!」
訳がわからなくなった。
走った。佳祐の頭を置いて。
佳祐はまだここにいるような気がしたから。
血だらけで泣きながら走る俺は奇妙だったろう。
記憶がない。
気が付くと俺は自分の部屋にいた。
電話が鳴った。
道也だ。
「あ、やっと繋がった。大丈夫? 僕達だけでも生きないと!」
「おお、わかってるよ。ふぅー、覚悟は決まった。大丈夫。俺だぜ? なんとかなるなる!」
「……え? 待って! 何する気?」
「ははは、決まってんだろ? 口裂け女をギャフンと言わせるのさ」
「待って! 無理だ! 相手は人じゃないんだよ!?」
「人じゃなかろうと友達を傷つける連中は許せねぇ。ぶん殴ってやる」
「待って! 祐介! 考え直して! 祐介!」
ブツンッ!
切った。
もう覚悟は決まったんだ。すまんな道也。
生存報告してみせるから、よ。
レインの口裂け女のページを開く。
口裂け女 「私キレイ?」
「キレイじゃねーよ! 人殺しなんて」
スマホの画面が赤い「殺す」で埋め尽くされた。
瞬間ゾッとする、殺気とはまさにこのことだろう、それが全身に走り前に飛び込むと、後ろで空気の斬れる音が聞こえた。
「あら、よく避けたわね」
「はは、やっぱ来たか」
「切り刻んであげるから覚悟しなさい」
大鎌を持った長い黒髪で口が裂けた女だった。
なるほど。きれいと言い続ければ良いっていってたが普通に、裂けててもキレイだわ。
だが、それで助かるつもりは毛頭ねぇ!
用意しておいた鉄パイプを手に取ると、女に殴りかかった。
「勇気あるのねぇ。でも、武器が悪いわねぇ」
鉄パイプはなんの抵抗もなく斬れてしまった。
嘘だろ。どんな業物だよ……。
はは! しょうがねぇか! すまん! 道也!
生きて帰れそうにないわ!
「はははっ! はははははははははっ!」
「……? 気でも狂ったのかしら?」
「大丈夫正気だぜ。お前にゃ完全に勝てそうに無いからな。とりあえず一矢報わせろ!」
「くっ!」
突っ込む。拳を構えて。
女は俺の頭を真っ二つに斬ろうと鎌を振るが無駄だ!
少し軌道を変えようとしたが無理だった。
なら、と肩から上半身を斬られ、下半身が無くなったが構うものか。
もう勢いはつけておいた。
良かった。地球に慣性あるようだ。
「命の対価だ! これくらいくらっとけや!」
「ぐっ!」
顔……は無理だった。
胸の鳩尾の所らへんを殴れたので良しとしよう。
「はははははははははっ! ざまぁみやがれっ! はははははははははっ!」
「ふっ、クソガキね」
はははははははははっ!
あーあ、最期にやってやったぜ!
だからよぉ、許してくれよ?
玲哉。
「ははっ、しょうがない奴だな」
「だね。許すから。早く来なよ」
そうだな。
そんな声が聞こえた気がした。
次回最終回……かな?