特別。
7日目。
今日は最終日だ。
「明日香ちゃん、今日君の両親に伝えるよ。」
「問題ありません。私は、センターに入ります。
私は、この力を使えるのなら使いたい。」
「分かった。覚悟が出来たんだね。」
「はい。」
そんな会話をして、夕方、両親に話をしに行くことになった。
室井さんが話をしているのを、傍で聞いていた。
ここ一週間、センターに通っていたこと、そこで人助けをしたこと。全部全部、話した。
両親の第一声は、
「また、貴方は特別になるのね。」
だった。特別、あたしが一番嫌いな言葉。
それでも…
「うん、特別になるよ。」
「…室井さん、この子は、昔からとても賢い子でした。勉強も、運動も飲みこみが早く、一で十を理解する子でした。
そんなこの子のことを、私達家族と、周りの人間は理解することが出来ませんでした。」
「私達家族は、遠ざけてしまいました。
特別だから、私達とは違う、と。
そんなはずなかったのに。
ただの子供だと、分かっていたはずなのに。
気付くと、この子は特別をやめていました。」
「お母さん、お父さん…?」
「ごめんな、明日香。」
「明日香、ごめんなさい。」
「いいよ、あたしは、もう大丈夫。
皆がいたから。特別になるのもいいことだと思えた。
だから、あたしは特別になる。センターに行くよ。」
そして、あたしは両親を見つめた。
「…そうか。室井さん、明日香をよろしくお願いします。」
「分かりました。大切な娘さん、お預かりします。」
「ありがとう、お父さん、お母さん。」
そうしてあたしは特別になった。
あんなに大嫌いだった、特別は、必要なものになり、大切なものになった。
これからあたしは、特別として生きていく。
それでもあたしは、前を向いていける。
最終話です。