四枚目 『where a bouts』 【8】
【8】
できる事を書き出してから、自分の好きな分野を考えた。
アクセサリーに関係する仕事で、時には作る事もある求人は、見方を変えるだけで見つける事ができたが、もう少し別の可能性を考えて見てから行動する事にした。
転職をするという事だけは、決定事項になっている。
華は、自分の道を力強く歩いて、やりたい事を実現してしまっている。
「これでいい?」
微調整を終えた頃に頷いて時計を見ると、開ける時間になっていた。
ドアの外に視線を向けると、看板を見ていた一人が中に入りたそうにしているところだった。
「どうぞ」
声をかけると、最初の一人が入って来る。
初めて来たようで、黙々と作品を順番に回りながら見ていた。見終わるとすすめられた珈琲を飲みながら、作品の感想と質問をしてくれた。
興味を持ってもらえる事が、次の作品をまた作ろうと思えると、ここで展示する作家さんが話してくれた事がある。
作品に魅力がなければ、興味すらもってもらえない。自分の時間を使って作品を見るから、興味のない作品に使う時間がないと言われているように感じている。作品を販売しようと思っていても、難しいものがある。商品にできるのには、実力も必要だから、一つの道順でなくても作品を見てもらう機会はある。
「……また、機会があれば来ます」
「今後の決まっている展示予定です。よければ、お持ちください」
春が営業スマイルで対応していた。
最近は決まっている予定を、印刷して受付に置いてあるようだ。その人が、紹介しやすいように、名刺もセットでやっているのを見て、セルフプロデュースが上手いなと感じた。
私がその場に居たのは、初日と最後の土日のみだった。
展示をしている間は、ゆるやかにみんなが、見に来てくれたと華が話してくれた。
展示を経験して、私の中で何かがふっきれて、転職について前向きにとらえられるようになった。
『居場所』を作りたい。
華がそう思うようになったのは、数年前で、そのきっかけとなった出来事は話してくれた事はなかったけれど、たぶん、あまりいい思い出とは言えない事があった、と空気で感じた事がある。
その経験があっても、前を見て、ゆっくりでも歩いて来たから、華の性格で周囲には人が集まってくる。
「何?」
「……なんでもない」
じーっと見ていると、気づいた華が私に振り向いた。
展示が終了してから、しばらくしてから遊びに行っていた。仕事帰りに幸来とよってみると、同じように仕事帰りのオフィスカジュアルの服装をした女性と、金髪の少年が展示を見に来ていた。
「華さんの周囲には人が集まりますね」
「そう?」
場所自体が『大切な場所』になる事もある。
けれど、華の場合は『場所』が、周囲の人達にとって大切なわけではない。なりたい事に向かって行動を実際にする事ができた結果、『華』が大切になっている。実際にそうなれることは難しい。それを実現している彼女がまぶしく感じた。
「……そうね、華自身が『HOME』になれている気がする」
今度は、自分が一歩を踏み出そうと思える存在だ。
私にとっての『HOME』は違う人だけれど…。
「……ありがとう、優香にそう言ってもらえて嬉しい」
華は照れ笑いしながらそう返した。
「また、いつでも遊びにいらしてください」
春は隣で微笑みを浮かべていた。
今回の投稿で、『ギャラリーHOME』は、完結となります。
いつもお読みくださりありがとうございました。




