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四枚目 『where a bouts』 【5】


 【5】


 一か月後の日曜日。

 誰も展示していない期間のよく晴れた日に、私がいつものようにギャラリーに遊びに出かけた。夏が近くまできているような、雲と日差しを感じていた。

 幸来とは休日があう日がすくない。事務職の私は、土日祝日が休日になるけど、大学生で、飲食店で夕方からのバイトをしている幸来と、丸1日過ごせる日は、ここ最近、月に3日あればいい方だ。

 日曜日は、外の空気を吸いに外に出かける事が多い。

 ギャラリーに入ると、華が奥から一枚だけ描いた絵を持って来て見せてもらえた。


 ポスターサイズくらいの大きさのキャンバスには、斜めに座り、どこか遠くを見ている女性の床に、紅葉が散らされている構図で、背景が濃い青紫と真っ赤に染まった紅葉、女性の色のバランスが美しい一枚だ。

 「……綺麗と言うより、美しい」

 「よかった」

 安堵した表情を浮かべている華を見ながら、今日は紅茶が飲み物で用意されていたので紅茶をコップに注いで一口飲む。

 「自信、持てばいいのに」

 「だって、このへんのバランスって難しいでしょ?…以前の絵よりもいい作品をと言われたプレッシャーが…」

 「それは、そうだけど…」

 自分を成長させるという良い意味でのストレスになっているのは、今の口調で分かった。

 基本、作品を制作する時は自分の感性が頼りになる。

 その感性は、基礎の上に、自分の表現したいものは、どうすれば表現できるのかの部分を毎回勉強して知識を蓄えていく事が必要になってくる。だから、他人の意見も参考にして上を目指すのも必要だけど、自分の譲れない部分は残さなければ、作品の魅力につながらないと感じている。

 「一人で決定できる分、『いつも、これでいいのか?』って自問自答する部分は、共感できるし、難しいのも分かるけど…華にしか描けないから」

 まず、この絵のような絵を描いてほしいと言われたとしても、私は、彼女ではないから、絵に写りこむものは真似する事ができない。

 「ありがとう。…この絵の構図になったのは、君のせいだからね」

 「ごめん、話がみえないのだけれど…」


 この後、私がこの前の時の話を聞き、こうなったと説明された。

 その結果、仲の良さをみせつけられた気分になった。

 「それ、ノロケだよね」

 「……違う、から」

 最後の方がだんだん小声になってきているという事は、自覚はしているのだろう。

 「以前から思っていたけど、春の精神年齢が上だね」

 「うっ……それは、否定しないけれども…」

 「私も、幸来の精神年齢が年上だと思う」

 「あぁー…うん、納得できる」

 「そこは、少しは否定してほしかった」

 苦笑を浮かべて紅茶を飲み干す。

 「それで、最近どう?」

 「ざっくりとだけど、数年後に同棲できたらいいなという話の流れになっています。貯金と幸来が仕事を始めて落ち着いた頃で。それで、なぜか…『口でいうほど優しくないのは知っている。だけど、それが、最初から無理だと決めつけるような事は言わないで』と叱られました」


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