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三枚目 『Ravishing hart』 【7】


 【7】


 ルカがちゃんと写真の感想を言ってくれる自信があった。

 それは、あの写真が告白のようなもので、たぶん、ルカなら気づいてくれるのだと感じていた。


 「えーと、あなたが何回か展示に足を運んでくれた、さやかさん? オーナーから話を聞いて…ありがとうございます」

 夏美さんが声をかけてきて、奥に視線を向けるとオーナーが僕に手をふっていた。

 そんなルカが好きになった相手で、言葉を交わす機会があるのなら、話してみたいと感じた。何かのフィルター越しではなくて、直接、夏美さんの事を知る事ができる機会だ。

 それに、最初は、夏美さんに会いに来るのも目的だった。

 「表の看板の写真に思わず、足をとめてしまって」

 「表の写真ですか…実は、私自身も一番よく撮れたと思っていました」

 「写真の勉強は、していますか?」

 そう質問すると、夏美さんは苦笑を浮かべた。

 「んー…『○○なコツ』のサイトや、本を読むのをいれてよければ、勉強しています。誰かに習いには行っていません」

 あの子が夏美さんにおかわりの珈琲を持って来て渡す。

 「私は…独学だって、勉強しているうちにはいると思いますよ。ひねくれた言い方になりますが、資格をとって証明していないけれど、仕事に必要な知識が頭の中に入っている事もありますし…」

 「……そうだな。それでも、長く続けていく事を意識するのなら、自分だけでは息詰まる時は人に習った方が、自分だけでは伸ばせなかった部分は、大きく伸せる時もある。証明されていると仕事を得るには有利だ。圧倒的に」

 ルカは苦笑を浮かべながら、残っていた珈琲を最後まで飲み干す。空になった紙コップを入り口近くに置いてあるゴミ箱の中に捨てた。

 「それもあるけど…最終的には、写真を撮るのがやめられないぐらい好きだっていう気持ちがあるなら、プロにはなれなくても、上手くなれると思います」

 夏美さんは珈琲を一口飲み、苦笑を浮かべた。

 「写真はまだ始めたばかりだけど、もう一つの続けてきた事を思い返すと、たとえ、嫌な思いをしても、やめる事ができなかったから、続けてくる事ができたし、気持ちで負けていたら、やり続けていく事はできなかった。それが今の私を作っているのだと思います」

 もう一つの事というのは、歌手活動の事だ。だが、この場でそこにはふれていけない気がした。

 「もし、機会があるのなら、習ってみた方がいいと思います。作品に光るものを感じているので、そのままにしておくのがもったいないです」

 「…ありがとう。今度、さやかさんの作品もぜひ見せてください」

 「今は持って来ていないので、またの機会に」

 「残念です」

 「……また今度、見せてもらう予定だから、その時でもいいか? 感想を言うのも、夏美に見せるの も」

 「……え? は、はい」

 「では、また来週、来店してくれた時に。楽しみにしています」

 「……僕も楽しみにしています」


 今度は、ファイルにいれて持って行こう。

 来週、確実に僕はふられる事は決定事項なのにもかかわらず、心臓が騒ぐのをとめる事ができずにいた。


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