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三枚目 『Ravishing hart』 【1】


 三枚目 『Ravishing hart』


【1】


 専門学校生である僕、さやかの日課は、ある2人の様子を観察する事になっていた。


 休日のあの日、暖かい日差しの中で、ある看板が目に入った。

 この周辺では珍しくあるギャラリーHOME、その前にでている看板に出ていた一枚の写真、その写真はひきつける魅力が感じられた。

 

 ごくある日常の中で、写真の中に写っている人物はごく自然に笑っている。  


 それが魅力的に感じた理由は、一見、何もしていないように見えるけれど、こういう自然な写真を撮る事は、実は、難しい事のように思えるからだ。特に、人物の表情は自然に良い表情を出す事が難しい。プロで何回も表情をつくる練習をしているのならば、話は違ってくるけれど。

 写真を撮ろうとする時、商品としてよく撮ろうと、作っている世界を感じる事が多い。いい作品を撮ろうとするのならば、それは確かに必要な事だけど、人間関係の中で迷惑をかけない範囲内で本音とは裏腹な事が嫌いだという事がある。『作り物』=『偽物』という方程式が、僕の中にあるからだ。

 2人を観察するようになったのは、直感で僕の嫌いな意味での裏表がないと感じたからというのもある。仕草、口調、纏う雰囲気、その全部をひっくるめてそう感じる。

 そして、本人達が思っている以上に、ほのぼのとした両思いの雰囲気は、周囲にとってはバレバレだ。僕にそう思わせているのだから、もっと彼女たちに親しい人なら、即バレのち、見守るような優しい視線を向ける事だろう。

 恋に興味を抱き始めた僕にとって、2人はとても気になる存在だ。

 

 「こんにちは」

 「どうぞ」

 あの写真の展示から休日には、足を運ぶようになっていた。正直なところ、自分の家に居るよりも居心地がいいのもあるし、2人を観察するのも楽しいからだ。

 視線があうと、「また来てくれたの?ありがとう」とオーナーが優しい表情で迎えてくれた。

 その奥で本を読むあの子の姿が視界に入った。色についての勉強だと、言っていたのを思い出して、ふと笑みを浮かべる。意地悪だとオーナーは言っていたけど、おそらくはオーナーの為にしているであろう行動は、僕から見れば、素直で可愛いけど、可愛いと言われる事は嫌いだろうなと感じる。

 「そろそろ、展示が変わる頃かと思って。だけど、変わってないですね」

 表の看板も変わってはいなかったので、展示が変わっている事はなさそうだった。

 「いつものはそうだけど、今回は少し期間が長くて」

 「そうみたい、ですね」

 展示している作家さんは変わっていないが、数点は作品が入れ替わっているのを見ていると、ふと知っている人によく似ている姿に見えた。

 「あの、この人って」

 「今回の写真展の作家です」

 「……」

 気のせいかもしれない、よくある他人のそら似だろう。

 あの人は有名人だし、そんな地元に居るはずないだろう。

 そう思って、作家の名前を見る。作家の名前には、Natumiとあり、その名前は、僕の知っている人の名前だった。


いつもお読みいただき、ありがとうございます。

三枚目『Ravishing hart』を書き始めました。

短めですが、書けたところまで更新致します。

4月27日までに書けるところまで書く予定です。

4月27日以降は、5月21日以降の更新となる予定です。


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