魔女の体重計
スマホをいじってたら、ダンス・マカブルという漫画の広告が出てきたので、無料試し読みを読んでみました。
調べてみたら「ダンス・マカブル」というのは「死の舞踏」という意味らしいです。
漫画の吹き出しに「ダンス・マカブル」と書いてあって、フリガナで「死の舞踏」と書いてあったら、中二心をくすぐられてかっこいい気がします。
しかし、このダンス・マカブルという漫画は中二系能力バトルではなく中世ヨーロッパの魔女狩りにまつわる拷問や処刑をテーマにした漫画のようです。
中世ヨーロッパの魔女狩りというと一説には900万人の人間が処刑されたらしいのですが、さすがにこれは数字を盛り過ぎなような気がします。
個人的には最低でも大体4~5万人前後、拷問中に過失で亡くなった人や、拷問中に自殺した人、または拷問から解放されましたが、拷問の後遺症によって亡くなった人などを合わせて死者は10万人弱くらいではなかったかと思います。
もしかしたら、あと数万人くらいは上乗せできるかもしれませんね。
とにかく、ハッキリとした記録が残ってないので確かなことはわかりません。あるいは本当に数百万人の規模の人々が処刑されてたのかもしれません。
魔女と疑いをかけられた人間(男性も含む)に対する判別方法にスイミングと呼ばれる手法があったそうです。
これは被疑者を縛って川などに浮かべてみて、もしも浮かんだら魔女、沈んでしまえば嫌疑が晴れるというものだったらしいです。
何でも「魔女は洗礼を拒んでいるから、水をはねかえらせるので、水に沈まずに浮くはずだ(基本的にクリスチャンは洗礼の儀式のときに聖水をかけられる)」という理屈らしいです。
そんなもの、どっちに転んでも死ぬには変わりがなくて、水の底で溺死するか、火炙りになって焼死するか、しばり首になるかの違いでしかないように思えますが、魔女探索人の方も、実に上手く被疑者を水に浮かべていたそうです。
何しろ魔女を見つけたということにして処刑しないと、魔女探索人の権威が問われますし、なにより謝礼金が貰えませんからね。
そんな集団ヒステリーとも言える時代の中において、オランダの、とある村の役人たちは魔女狩り運動の馬鹿らしさに、いち早く気がついてあるアイデアを思いつきました。
それは、特製の秤を作ることです。
彼らは近隣周辺の魔女と疑いをかけられた人々を、その秤の前に並ばせると一人一人秤を使ってその体重を計り、体重を計り終えると「ホウキに乗って空を飛ぶには体重が重すぎる」として、全員に無罪を言い渡しました。
詐術をもって詐術を制すると言いますか、いつの、どんな時代にも少数かもしれませんが、賢明な人たちはいるものですね。
自分も、そうありたいとは思いますが、現実はなかなか難しいです。
今でもオランダのアウデウォーターという村には、そのことを記念して広場に魔女の体重計を保存しているらしいです。
そういえば、キリスト教の洗礼の儀式の時に、川に浸かってる映像をテレビで見たことがあるような気がします。
当時はそっちの方が主流だったのかもしれません。