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海外へ行きたい!

 大学生になったら、やろうと決めていたこと──。それは海外旅行です。社会人になったら、まとまったお休みが取れるかわかりませんし、行くなら大学生のうちにと考えていました。


 私が行きたいのは北欧です。中学生のとき、テレビでフィンランドの綺麗な風景を見て、「絶対行きたい!」と憧れるようになりました。


 でも、さすがに一人で行くのは寂しいです。ツアーに参加するとしても、誰かお友達と行きたいと思いました。部活で声をかけてみますと、ヴィオラのマユちゃんが一緒に行ってくれるという話になりました。マユちゃんは学科も同じなので、仲良しのお友達です。


 そうと決まれば、まずは資金を貯めなければいけません。北欧は物価が高いですし、スーツケースや着替え、お土産などを買うことも考慮すると、五十万円は貯金したいです。私は愚かにも、アルバイト先で最も言ってはいけないことを口走りました。


「海外に行きたいので、たくさんシフトに入れてください」

「本当か!?」


 喜んだ店長が作ったシフト表は、ありえないほど私が入っていました。貼り出されたシフト表を見て、アルバイト仲間が驚いています。


「なんでこんなに時間数入っているの?」

「……たくさん入れてくださいって言ったから」

「馬鹿! そんなこと言ったら、こうなることは目に見えていたじゃない」


 おっしゃる通りでございます。大学の講義も受けつつ、部活もしつつ、月の手取りが十五万円をゆうに超えます。私は本当に大学生でしょうか。


 マユちゃんは有名なファミレスでアルバイトをしていました。彼女の職場も似たり寄ったりらしく、恐ろしいシフト表が出来上がったようです。金曜日の講義のあと、マユちゃんとシフトを確認し合いました。


「明日は?」

「十二時から二十四時……」

「私は十一時から二十四時……」

「頑張ろうね~。ばいば~い」


 平日でも気が抜けません。火曜日は部活と習い事があるのです。早番→講義→部活→習い事二つ→遅番という……。彼と揉めて部活を休んだ御師匠には殺意を覚えました。先輩も講義が長引いてお休みだったため、合奏で譜面台を周り中に置き、主要なホルン部分はすべて吹いたものです。フルート教室に行っても、唇がしびれて、吹けずに困りました。


 楽器二つと大量の譜面を抱えて、遅番に駆けつけると、大荷物に笑われました。笑いごとではありません。スケジュールをこなすのに必死です。


 そんな折に、付き合っていた社会人の彼に仕事の愚痴を聞かされ、あしかのいない水族館に連れて行かれましたら、即座に別れようと思いませんか?(『恋愛実話集』一話目よかったら読んでいただけますと嬉しいです)


 私とマユちゃんは頑張って頑張って五十万円を貯めて、無事北欧に行くことになりました。


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