表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/42

店長の私生活

 ランチ前の十一時。私はアルバイト先で、お冷を大量に作ったり、スープの準備をして混雑に備えていました。そこへ店長が出勤してきました。なんだか浮かない表情です。


「どうかしましたか、店長?」


 訊いてみますと、店長は深刻な声音で答えました。


「朝起きたら、奥さんがいなくなっていて、家じゅうの通帳と印鑑がなくなっていたんだ……」

「ええっ!?」


 思いがけないお話に私は驚きました。


「店長! なんで出勤しているんですか!? 早く奥さんを追いかけないと!」

「でもなあ……。奥さんの実家、九州だしなあ……」


 ここは都内です。九州は遠いです。でも店長、仕事している場合ではありませんよ!?

 結局その日、店長はラストまで働きました。

 数か月後、店長の左手薬指から銀の指輪がなくなっていました。私はあえて突っ込まず、静かに見ていました。



 そうして月日が流れて、女性のパートさんがお店を辞めるというので、送別会が開かれることになりました。私は用事があって送別会に出られなかったのですが、アルバイト仲間から深夜にメールが届きました。


『パートさん、店長と出来婚だって! もう妊娠して五か月なんだって!』


 人手不足の職場は、いつだってハードな仕事量です。みんなパートさんが妊娠していることを知らず、一緒にハードな仕事を行ってきました。知っていましたら、もう少し配慮したのですが……。


 今はもう疎遠になってしまっていますが、最後に聞いたお話では、パートさんは元気な男の子を出産し、店長と仲良く暮らしているそうです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ