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猫が書く徒然草  作者: 瀬古刀桜
同居にまつわるエトセトラ
13/89

眠れる貴方にくちづけを

琥珀を連れてこちらにきた彼は、再び固まった。

おでんと炊き込み御飯、ダメだったかなあ。

「なんか、俺、夢を見ているのかな・・・おでんと炊き込み御飯、俺の大好物が並んでんだけど」

大好物だったんだ。良かった。

・・・彼のために作ったんじゃない。自分が食べたいから作ったんだ。自覚しなきゃ、ちゃんと。

「何を言っているのですか・・・貴方・・・」

三沢先生は自分の頬をつねっていた。夢ではないんだけどなあ。何なら、明日のお弁当、これにしようかな。

「酒は・・・麦焼酎かな・・・それとも芋焼酎が良いかな。知センセ、どちらが良い?」

焼酎の瓶を手に取り、私は悩んだ。麦も旨いけど芋も捨てがたい。うーん。

「芋が良いです。」

にゃん。

知先生の返事に相槌を打つようになく琥珀。

「さて、食べましょうか。頂きます。」

「頂きます。」




むしゃむしゃと美味しそうに食べる彼に、私は少しだけ安心した。昼間はかなり落ち込んでいたから、心配していたのだ。

まさしくこんな感じだったからなあ。

orz

「旨い・・・旨いっす・・・俺、これから毎日帰ってきます」

「いや、飲みに行くとか付き合いとかあるから。ああ、遅くなりそうだったら、連絡して。御飯の用意があるから。」

付き合いがあるのだし、毎日帰って食事を共にするのは、難しいだろう。だが。

「いんや。毎日帰ってきます。こんな旨い飯食ったの久しぶりです。」

彼の真剣な瞳に、私の胸の中が暖かくなった。だが、口には出さなかった。




食器洗いを彼に任せ、私は部屋で学会で発表する論文を執筆していた。

一息つくために、居間に向かうとソファーの上で彼は琥珀と一緒に眠っていた。

「琥珀?おや・・・」

男一人と一匹が抱き合っている姿は意外と可愛らしい。私は、携帯のカメラで写真をとった。

「風邪ひきますよ。知先生」

熟睡しているようだ。可愛らしい。

「しょうがないなあ。」

私は部屋に戻ると、毛布を手に戻った。

「琥珀。しばらく一緒にいてあげて」

うんにゃ。

律儀に返事する愛猫の頭を撫でてやる。

お姫様は王子様のキスで眼を覚ましたというけど。逆も許されるだろうか。

王子様の眠りが穏やかであるように、お姫様がキスするのもありだろうか?

私は眠る彼の唇に、軽く自分の唇を合わせた。

離れる時、改めて彼の顔を見たが、穏やかに眠っている。

私は部屋に戻った。


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