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猫が書く徒然草  作者: 瀬古刀桜
同居にまつわるエトセトラ
1/89

初めまして。

皆様。初めまして。僕の名前は橘琥珀といいます。

年齢は1歳です。

まず、皆様にお伝えしなければならないことがあります。

僕は人間ではありません。猫です。



僕の朝は早い。

お味噌汁の匂いがする。京ちゃん、起きたんだ。

「琥珀、ご飯だよ。」

はい。今行きます。


かちゃかちゃ。かちり。トントン。

ご飯が入った缶詰を、開ける音が聞こえる。僕は京ちゃんの足元に座ってご飯が出てくるのを待つ。

京ちゃん。早く早く。

「おはよ。琥珀。ご飯だよ」

この人が京ちゃん。正しくは橘京子。33歳。独身子持ち。もちろん「子」は僕のこと。

トントントン。

ご飯が入った器が僕の目の前に置かれた。

わーい。頂きます。


手際よくお料理を、箱に詰めていく。京ちゃん。料理得意だものね。

「そういえば、琥珀。」

ん?なに?

「男の人が、お弁当を欲しがるのには、何かあるのかなあ?」

・・・京ちゃん、「鈍い」とか「天然」とか言われていませんか?息子として、僕心配です。




支度をして、玄関に向かった。

待って。僕も行く。

後ろを歩く僕に気がついたのだろう。京ちゃんは笑った。

「学校内で入って良いのは、保健室の隣の物置部屋と・・・」

はーい。学校関係者以外入ってはいけない裏庭だけです。僕は人ではないので、問題ありません。

僕の【返事】に京ちゃんは笑った。

「ホント、君、頭が良いねえ。私の言葉理解しているでしょう。」

もちろんです。


人間がゆっくり歩いて五分。

私立学園島原男子高等学校。

京ちゃんの職場であり、僕の縄張りです。

京ちゃんはこの高校の保健医をしています。


僕は京ちゃんと別れて、裏庭に向かいました。

「おう。黒猫。」

なーに?

黒い毛皮の猫は僕だけですが、お兄さんは黒ずくめのイケメンさんです。

目の前にいる彼の足元に座り、僕は彼の瞳を見上げた。

「生徒にバレないようにな。」

わしゃわしゃと僕の頭をなでてくれたのは、風祭賢治。35歳。この学校の教頭先生で、京ちゃんと友人です。



僕がこれから書くのは、京ちゃんと愉快な仲間たちのお話です。


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