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異界に浮かぶ町、ひまわり市 ー転移した山奥のまち、異世界対応中!ー  作者: ひまわり あおい


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第176話「神社のご神体、まさかの“動き出した”との苦情!? 夜中に散歩って何それ!」

 ――ひまわり市役所・市民相談カウンター。


 朝から妙な空気が漂っていた。

 相談票の冒頭に、見慣れない文言が並んでいる。


 美月が読み上げて固まった。


「……主任。“ご神体が動いている”って書いてあります」


 勇輝は書類を覗き込み、ため息をついた。


「……また神社関係か」


「“夜中に散歩してた”ってどういうことですか!?

 ご神体が自主的にウォーキングしてたってことです!?」


「事実確認しないとわからん」


 美月は頭を抱えた。


「いや、事実確認したくない案件トップなんですけど……!」


【神社へ現地確認】


 数十分後、二人は市役所の近くにある“ひまわり大社”へ。


 神主が青ざめた顔で出迎えた。


「……見ました。間違いなく歩いてました」


 美月が絶叫した。


「ほんとに歩いてたんですかぁぁ!!」


 神主は両手を震わせながら説明した。


「夜中、境内の見回りをしていたら……

 ご神体の木像が、鳥居の前で足踏みを……」


「足踏み!?」


「軽くストレッチのような……

 その後、ゆっくり散歩コースへ……」


 勇輝は淡々と確認を続けた。


「木像は普段、台座に固定されていますよね?」


「はい……ですが、昨夜は台座の“根元の縄”がほどけており……」


 美月は震えた声で言った。


「いやいやいや……縄をほどく木像って何??」


【手がかり・境内の異変】


 調査のため境内を歩くと、

 参道の石畳に“巨大な足跡”のような窪みが点々と残っていた。


 美月が恐る恐る指した。


「……主任。これ、木像の足跡ってことですよね?」


「だろうな。形が一致している」


 神主が泣きそうな声になる。


「ご神体が散歩するなんて……聞いたことが……」


 勇輝は冷静に推測した。


「原因は……

 ①異界の影響

 ②誰かが動かした

 ③自律行動の発現

 この三つのどれかだな」


 美月は叫んだ。


「三つとも嫌な選択肢しかない!!」


【犯人、いや“原因”判明】


 調査を続けていると、境内の裏手から

 ふわりと小さな光が近づいてきた。


 風の精霊がひょこっと姿を見せた。


「……あの、大変申し訳ないのだが……

 昨夜、わしらが“神気の通り道”を掃除しておってな……

 ご神体がちょっと……目覚めてしまって……」


 美月は崩れ落ちた。


「精霊の掃除のせいで目覚めたの!??」


 精霊はさらに続けた。


「いや、悪気はない。

 起きた瞬間、ご神体は“肩がこっておる”と言っての……

 軽く散歩に出ただけで……」


 勇輝は額を押さえた。


「ご神体に肩こり……?」


「長らく動かぬと、木像でも固まるのだろう」


 美月が泣きながら突っ込む。


「いや、知らなかった情報多すぎる!!」


【行政としての対応】


 勇輝はメモを取り、神主へ説明した。


「ご神体の自律行動は、異界干渉による一時的な活性化。

 正式に“異界現象軽度扱い”で報告書を作成します」


 神主は深々と頭を下げた。


「助かりました……

 しかし、ご神体の散歩は止められないのでしょうか……?」


 勇輝は精霊を見る。


「原因は“神気の通り道の清掃”と言ったな。

 今後は事前に連絡を入れてほしい」


 精霊は慌てて頷いた。


「もちろんだ! わしらも反省しておる!」


 美月は最後に確認した。


「……ご神体は、今日は動きませんよね?」


 精霊は胸を張った。


「今はぐっすり眠っておる!」


 勇輝は静かに締めた。


「では問題なし、ということで」


 美月は崩れ落ちたまま叫んだ。


「問題しかなかったよ今日!!」


そこへ、市長が境内にふらっと現れた。


「なんだか今日、空気が軽いねぇ。

 散歩でもしようかな」


 美月が全力でツッコむ。


「市長!! 散歩はご神体だけで十分です!!」


 市長は満足そうに笑った。


「神社もにぎわいがあっていいことだねぇ」


「言い方ぁぁぁ!!」


 こうして、ひまわり市はまた

 “動くご神体”という新しい謎を静かに抱えることになった。

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