第168話「異界観光課、ゴースト宿泊トラブル!」
――ひまわり市役所・異世界経済部。
朝の静けさが、一瞬で破られた。
「主任! 緊急事態です!」
美月が息を切らして駆け込む。手には宿泊施設の予約表と電話メモがぎっしり。
「また異界絡みか……?」
勇輝は眉をひそめる。
「はい! 昨夜から、市内の旅館に“幽霊客”が大量発生して、現地の旅館スタッフが対応できなくなっています!」
「幽霊客?」
勇輝の声に美月は目を丸くする。
「ええ! 実際には異界の幽霊たちなんですが、宿泊申込書には普通の名前で記入されているんです! おまけに現地スタッフは『部屋が勝手に消える』とか、『布団が浮く』とか……もうパニックです!」
「なるほど、ではまず現場で状況確認だ」
勇輝は地図を広げ、加奈に声をかける。
「加奈、宿泊施設と旅館組合に連絡して、協力体制を整えてくれ」
「了解です!」
――現地の温泉旅館。
館内にはふわふわと浮かぶ幽霊や、突然消える布団、夜鳴きの声に驚く宿泊客たち。
「わっ、寝室に誰もいない!」
美月が悲鳴をあげながら、幽霊たちを押さえつつ、部屋を確認する。
勇輝は魔法調整棒で幽霊の動きを一時的に制御。
「美月、宿泊客を誘導して安全確保。加奈はフロント対応を頼む」
「は、はいっ!」美月が飛び回る。
加奈もフロントで異界語通訳や宿泊客への案内を行い、旅館スタッフと協力する。
――一方、幽霊たちはいたずら好き。
廊下で布団が勝手に浮く
露天風呂の湯が泡だらけに
食事処では料理がふわふわ空中を漂う
「ちょっと待って、これは行政としてどうにかせねば!」
勇輝は異界経済部として、幽霊の出入りを“夜間の宿泊規則”として整理し、旅 館組合に通達。
「幽霊客は部屋割りを指定します。勝手に移動禁止!」
美月が幽霊を押さえつつ、客室に誘導。
加奈がフロントで記録を取り、宿泊料や補償の整理を担当。
――数時間後。
館内は少しずつ落ち着き、幽霊たちは指定の部屋に収まった。
宿泊客たちは混乱しつつも笑顔。
美月は汗だくで息を整えながら、勇輝に向かって叫ぶ。
「主任! もう二度と幽霊宿泊トラブルはゴメンですよ!」
勇輝は深いため息と笑みを浮かべる。
「まあ、これもひまわり市らしいってことだな」
――その時、市長が颯爽と登場。
「ふむ、幽霊宿泊か……なかなか面白いじゃないか」
勇輝は苦笑い。
「市長……また見物ですか」
「見物も大事な仕事だぞ」
こうして、異界観光課はまた一つ、市民と旅館の安全を守ったのだった。




