表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界に浮かぶ町、ひまわり市 ー転移した山奥のまち、異世界対応中!ー  作者: ひまわり あおい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/822

第148話『天界の気象官、ひまわり市へ――“晴れすぎ注意報”』

◆朝 ―― ひまわり市・職員寮前


朝日がやわらかく差し込み、ひまわり市は穏やかな青空に包まれていた。


勇輝は出勤途中、空を眺めて首をかしげた。


「……なんか、雲が一つもないな」


まるで絵の具で塗りつぶしたみたいな快晴。

ひまわり市では珍しいわけではないが――今日はやけに“完璧”だった。


そこへ、美月が自転車で滑り込む。


「勇輝さん! 今日、晴れすぎじゃないですか!?

 空の色、フォトショップで加工したみたいになってますよ!」


「町の気象じゃなくて天界の仕業じゃないよな……?」


勇輝が呟いた瞬間――


ぱらぱら。


青空から、紙切れが降ってきた。


勇輝が拾うと、そこにはこう書かれていた。


『天界気象庁からの臨時おしらせ

 本日、晴れ度+120% の予定です。

 ※地上の皆様にはご迷惑をおかけします』


「……嫌な予感しかしない」


◆ひまわり市・市庁舎前


まばゆいほど明るい空の下、

境界ゲートに天界特有の光のもやが現れた。


そこから現れたのは――薄い水色のローブをまとい、

やたら長い気象計を抱えた白髪の青年。


「お、おはようございます! 天界気象庁・研修官の

 アスール=キリエルですっ!

 本日は地上の気象観測に……その……来ました!」


勇輝は肩を落とした。


「ああ……絶対、あんたがやったんだろ“晴れ度+120%”」


「す、すみませんっ!! 調整つまみをちょっとだけ回したつもりが……あの……全部MAXに……」


美月が目を見開く。


「全部!?」


アスールはしょんぼりとうなだれた。


「天界の天気って、地上にも微妙にリンクしちゃうので……

 気づいたら“快晴すぎる快晴”になってまして……」


勇輝「やっぱりか……!」


◆昼 ―― 商店街


晴れすぎた空は、だんだんと“異常”の域に入っていた。


●洗濯物:10分で完全乾燥

●ソーラーパネル:発電量が予想の170%

●公園の木:光合成しすぎて葉っぱがキラキラしている

●アイス屋:売り切れ


町中、ちょっとした“太陽バブル”状態だ。


美月は商店街でカメラを回しながら叫ぶ。


「これは『ひまわり市チャンネル』史上最高のトピックスですよ……!

 でも……やりすぎると火事とか起こりそうで怖い……!」


アスールは地図を見ながら必死に走り回る。


「日射角、過度な反射光、風の偏り……!

 うわぁ、天界基準で考えちゃってた……!」


勇輝は額に手を当てる。


「頼むから地上基準で頼む……町がトーストになる……!」


◆午後 ―― 河川敷


「調整するには、ここがベストポイントですっ!」


アスールは巨大な天界気象計を地面に突き立て、

空へ向けて魔力を流し始めた。


が――


アスール「うわあああ! 調整つまみ固まってるーっ!!」


勇輝「なんで毎回そのつまみなんだよ!!」


美月「天界製って繊細なんでしょうか!?」


アスールは泣きそうな声で叫ぶ。


「すいません! ぼく……天界でも落ちこぼれで……

 “晴れ担当”の研修もまだ半分なんです……」


勇輝はため息をつき、肩を軽く叩いた。


「落ちこぼれでもいい。やれるだけやろう。

 ……ひまわり市は、努力してる人に優しい町だ」


アスールの目にうっすら涙が浮かぶ。


「ゆ、勇輝さん……!」


勇輝「さっさと直さないと暑くて倒れるけどな!」


「ですよね!」


◆調整――そして夕暮れ


アスールが深呼吸し、気象計に手を添える。


「天界式・降光調整――

 “セレスティアル・シャットダウン”!」


空が一瞬だけ虹色に揺れ、

次の瞬間――


ふわりと涼しい風が吹き始めた。


空の青さがゆっくりと“普通の晴れ”に戻っていく。


美月が歓声をあげる。


「戻った……! ちょうどいい晴れになってます!」


勇輝も胸をなでおろす。


「ふぅ……なんとか落ち着いたか」


アスールはへたりこみながら笑った。


「……地上の天気って、すごく難しいですね」


勇輝「こっちにはこっちの空気があるんだ。

 お前の経験と天界のやり方が混ざれば、もっと良くなるさ」


アスールは小さくうなずく。


「次は……ちゃんと研修を終えてから来ます!」


美月がにっこり笑う。


「また来てくださいね! ひまわり市は歓迎しますから!」


夕日の中、アスールは何度も手を振りながら天界へ戻っていった。


その背中は、サクラと同じように

少しだけ成長した“天界の新人”の姿だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ