表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『八妖記』

「問いの道へ」

「この山には、声なき声が宿っている」

そう言ったのは、八雲龍舟やくもりゅうしゅう──易の師匠だった。


「ひかる、おまえの問いは、まだ形になっていない。けれど、その“揺れ”こそが扉を開く。

八つの声に出会え。それは、人の姿をしていないかもしれない。

けれど、おまえの魂にこそ、直接、語りかけてくるだろう…」


それが、はじまりだった。

【第一話 乾:天狗】──「それでも、天に在りたい」


「”天狗になる”って言うよな」

ぼそっと言ったのは、山奥で出会った男──

赤い顔に長い鼻、風のような気配をまとう存在。

けれど、どこか深い哀しみを湛えた目をしていた。


ひかる「“天狗になる”って、どうして悪い意味なんですか?」


天狗はふっと笑った。

天狗「そりゃあ、思い上がった者が“自分は空を飛べる”と勘違いするからさ。飛べないくせに、風のふりをして人の上に立とうとする。そういうのを、人間は“天狗になる”って言うんだ」


ひかる「……でも、あなたは本当に飛べるんでしょ?」


天狗は、ひととき黙って空を見上げた。やがて、ぽつりと語る。

天狗「かつて、俺も人間だった。剣を学び、修行を積み、人の道を外れぬようにと生きた。けれど、ある日、誰かが言った。“おまえは、天狗になったな”ってな」


それは、自分が誇りを持って歩んできた日々が、その一言で“思い上がり”として思われた瞬間だった。

天狗「そっから先は……わからなくなったよ。俺は、自分を誇りに思ってはいけなかったのか?誰かを導くことは、誇りではなく奢りだったのか?てね」


ひかるは、黙って耳を傾けていた。

天狗は続けた。

天狗「“天狗になる”って言葉の中にはな、ほんとは“空を翔ける者への羨望“や“届かぬものに手を伸ばした者への怒り”も混ざってるんだ」


ひかる「……じゃあ、どうして、あなたは今も天にいるんですか?」

その問いに、天狗はゆっくりと笑った。

天狗「それでも俺は、“天”に在りたいと思ったからさ。誰かにいろいろ言われようと、“本気で空を翔けたい”と願った気持ちは、俺のものだ。それだけは、手放せなかった」


風が吹いた。

彼の背の羽根が広がり、空をはらむ。


天狗「ひかる、おまえも思い上がっていい。誇りを持って進めばいい。

けれどひとつだけ忘れるな。“その高さ”は、自分のためではなく、“誰かに届く風”になるためのものだと」


そう言って、天狗は風とともに、空へ舞い上がっていった。

ひかるは、空を見上げながら呟いた。

ひかる「“天狗になる”って、本当は、”自分の信じた高さを生き抜く”ってことかもしれない……」

その夜、彼女の夢にまた、風が吹いた。



【第二話 離:九尾の狐】──「それでも借りなければ、生きられなかった」


「あなた、本当に強いと思ってる?」

静かな声が、森の奥で響いた。


そこには、煌びやかな装束をまとい、扇子を手にした美しい女──九尾の狐がいた。

夜の森に、彼女の影だけが長く伸びていた。


九尾の狐「“虎の威を借る狐”って、知ってるわよね?」


狐は扇を閉じて、ひかるに向き直った。

彼女の笑顔は、どことなく悲しみを帯びていた。


九尾の狐「昔から、あたしたち狐はね、“強そうに見えるものの後ろに隠れて生きてる”って言われるの。

でもね、考えたことある?“借りる”って、弱さだけじゃないのよ。

生き抜くための知恵だったの。自分ひとりでは、踏みつけられて終わる。

だから、あたしたちは“威”を借りて立っていたの」


ひかるは言葉を失った。


狐は、風に髪をなびかせながら続ける。

九尾の狐「でもね……“借りものの強さ”って、いつか苦しくなる。

だって、ほんとうの自分が空っぽになっていくんだもの。“見せかけの強さ”を守るために、本当の声を、置き去りにしてしまうの。

ひかる、あなたも“誰かの期待”を借りて生きてこなかった?」


その言葉に、胸がズキリと痛んだ。

職場で「しっかりしてるね」と言われるたび、

本当は、誰よりも泣きたかった。

家族の中で「頼りになる子」と言われるたび、

崩れ落ちて自分の場所がなくなっていった。

──そうだ、わたしも、誰かの“威”を借りていた。


九尾の狐「でも、狐はずっと弱いままじゃないわ。

ある日、自分の“尾”を見つけるの。借りものじゃない、自分の本当の力。

それに気づけた時、狐はようやく“九つの尾”を得るの」


ひかる「それって……どうやって、気づけるの?」

九尾の狐「借りものの強さに、涙がにじんだときよ。それは、あなた自身の“声”が目を覚ました証」


扇が開かれ、九本の尾が月の光に広がった。

九尾の狐「誇りなさい。借りたことを。でも、もうその威を、返しに行く時よ」

そして九尾の狐は、月へと姿を溶かしていった。


その夜、ひかるは鏡に映る自分に問いかけた。


ひかる「わたしの尾って、なんだろう?」


答えはまだ出ない。

けれど、もう誰の背後にも隠れないと、心に決めていた。



【第三話 坎:河童】──「流されたあとのやさしさ」


「ふふん、誰が水に流されたって?」

その声に振り向くと、川辺に小さな緑の影がいた。河童だ。


甲羅を背負い、頭の皿をぴかぴかにしているけれど、

その目は、思っていたよりずっと静かで、澄んでいた。


河童「“河童の川流れ”って言葉、知ってるかい?もともと水を自在に操るはずの俺たちが、ときどき川に流されちまうことがある。それはつまり、誇りが崩れる瞬間なんだ」


ひかるは黙って聞いていた。

河童は、川の中央に立って、しばらく水を見つめた。


河童「昔な、俺は自信満々だったんだよ。流れなんか読める、渦だって逆らえる、誰にも負けねえって。

でもな……あるとき、大雨の日に、ちょっとした過信で川に呑まれちまって…」

その声は、どこか静かに震えていた。


河童「助けてくれたのは、人間の子どもだったんだよ。

俺よりちっちゃな体で、必死に手を伸ばしてくれてな。

あのとき思った。“ああ、俺は水のこと、ほんとうにはわかってなかったんだな”って」


ひかるは、そっと訊ねた。

ひかる「それから……どうしたの?」

河童「皿の水は減ったけど、心の水は少し増えた気がしたよ」

強い者が勝つんじゃない。流されたことのある者が、人に手を差し伸べられる」

河童は、照れくさそうに笑いながら、ひかるの手に川の水をすくってのせた。


河童「ひかる、おまえもいつか流される。

それは恥じゃない。そのとき、誰かの手を握れ。それができるなら、おまえはもう“器”だ」


ひかるは、川の冷たい水を見つめていた。

ひかる「……わたしも、流されたことある。でも、流されたから、気づけたこともあるかもしれない」

河童「それでいいんだよ。それは、ただの川じゃなく“魂の川”ってやつになるのさ」


風が吹いた。

川面がきらりと光ったとき、河童の姿はもうなかった。

けれど、水の音が、やさしく胸の奥に残っていた。



【第四話 兌:座敷童子】──「泣いていい場所」


「また泣いてるの?」

そう言って、ちゃぶ台にぺたりと座ったのは、

ひかるがふと立ち寄った山里の空き家にいた小さな女の子──

赤い着物にぱっつん髪。座敷童子だ。

その瞳は、子どもとは思えない深さを湛えていた。


座敷童子「わたし、泣く子だからね。ずっと泣いてたの。

でもね、“泣く子と地頭には勝てぬ”って、誰が言い出したんだろうねって」


ひかるはそのことわざを思い出した。

“理不尽な権力者や泣きわめく子どもには、理屈は通用しない”

──つまり、「勝てない」「抗えない」ものの象徴として語られてきた言葉。

けれど、座敷童子はそれをくるりとひっくり返すように微笑んだ。


座敷童子「本当に“勝てない”のは、泣く理由があるのに、誰もそれを聞こうとしないとき。

“泣いてるから負けた”って思わされること。それって、もっとずるいことだと思わない?」


ひかるは言葉に詰まった。

座敷童子「わたしね、泣くのが仕事だったの。でも、この家に住んでた子たち、親に叱られても、泣けなかった。泣けばまた親に叱られる。学校でつらいことがあっても、黙って笑ってた。だから、わたしが泣いたの」


ひかる「……代わりに?」

座敷童子「うん。わたしの泣き声を聞いて、家の人たちがようやく“なにかが壊れてる”って気づくの」


座敷童子は、ちゃぶ台の上にお手玉をひとつ置いて、くるくると転がした。

座敷童子「だからね、ひかるちゃん、“泣くこと”は、敗北じゃないんだよ。悪いことでもないんだよ。

それは、“声にならない声”を伝える力。それをちゃんと受け止められる人だけが、ほんとうの意味で“やさしい人”になれる」


その言葉に、ひかるの胸の奥がちくりと痛んだ。

泣きたかったのに泣けなかった日。

泣いたとき、叱られてしまった記憶。

「泣く=弱い」と思い込んで、笑顔を貼り付けた自分。


ひかる「……わたしも、ほんとは泣きたかったのかもしれない」


ポツリとこぼれた言葉に、座敷童子は満足げに笑った。

座敷童子「じゃあ、ここで泣いていいよ。ここは“泣く子に寄り添う家”だから」

そう言って、彼女はひかるの隣にちょこんと座った。

外では、風がやさしく吹いていた。

それはまるで、“泣くことをゆるす風”だった。


その夜、ひかるは久しぶりに夢を見た。

夢の中で、自分が幼かった頃の姿になっていた。

そして、あの座敷童子と一緒に、ちゃぶ台を囲んで笑っていた。

泣き声も、笑い声も、全部ひとつの“声”として、そこにあった。



【第五話 巽:ろくろ首】── 長いものには巻かれろ


風が吹くたびに、首が少しづつ伸びる。

最初は不安定だった。けれどいつからか、それは“癖”になった。

「風が吹けば、わたしの首は伸びるの」


そう言って、目の前に現れたのは、細長い影のように立っていた”ろくろ首”だった。

その姿は奇怪というよりも、儚げだった。

風にたなびく髪、伸びた首の先から、ひかるをじっと見下ろしていた。


ろくろ首は、くすりと笑いながら、

ろくろ首「“長いものには巻かれろ”って言うわよね。でもね……巻かれるって、どういうことか知ってる?」

ひかるは答えられなかった。

ろくろ首は、するすると自らの首をのばしていく。

風に乗るように、高く、高く。


ろくろ首「最初は、逆らってみたのよ。言いたいことを言ってみたり、やりたいように動いてみたり。でもね、そのたびに“やめておけ”って言われるの。“空気を読め”とか、“長いものには巻かれとけ”って」

そういいながら、首は空に届きそうなほどに伸びていた。

でも、その声は、どこか地に沈んでいた。

ろくろ首「だから、巻かれてみたの。合わせて、黙って、笑って……そしたらね、首だけが伸びていったのよ。心は、置いてきぼりのままで」


その言葉に、ひかるの胸が締めつけられた。

彼女自身もそうしてきた。

波風を立てず、正しいように振る舞い、“賢い大人”として巻かれてきた。


ろくろ首「でもね、巻かれることは“生き延びる術”だった。

それは責められない。だけど──(ろくろ首は、すっと首を元の長さに戻した。)

本当は、自分の声を“内から聴く”ことのほうが、よっぽど勇気がいるのよ。

“流れに従うこと”と“自分を手放すこと”は違う。首を伸ばすのではなく、“胸の奥”を伸ばすこと。

ひかるちゃん、風は読みすぎると疲れるよ。風に吹かれても、自分の芯が折れなきゃ、それでいい」


そう言って、ろくろ首は風に乗るように消えていった。

その姿は、むしろしなやかで、美しかった。


その夜、ひかるは風の音を聴きながら、

“誰かに合わせて伸びた首”ではなく、

“自分の根に触れる声”を探そうと思った。



【第六話 艮:だいだらぼっち】──「動かぬものが支えるもの」


山道を歩きながら、ひかるはふと立ち止まった。

あまりに静かで、音がなかったからだ。

鳥も鳴かず、風すら止まっている。

まるで世界が、呼吸を忘れたかのようだった。

目の前には、大きな石、いや、巨岩のような影が見えた。

それは苔むし、木々に抱かれ、まるで“時”そのもののようにそこに在った。

と、その岩が、ほんの少しだけ、動いた。

「……来たのか、人の子よ」


低く、地の底から響くような声。

ゆっくりと立ち上がったそれは、

山そのものが人の形をとったような存在──”だいだらぼっち”だった。


だいだらぼっち「おまえは、焦っておるな」

その一言に、ひかるの胸がぎゅっと締めつけられながらも答えた。

ひかる「“石の上にも三年”……って、言うけど、待つって、止まってるってことじゃないですか?

動かないと、置いていかれる……」


だいだらぼっちは、何も言わず、

ゆっくりと、山のように腰を下ろした。その動きだけで、空気が揺れた。


だいだらぼっち「三年……いや、それ以上だ。わしは、ここに百年以上座っている。

誰も見向きもしない。だがな──動かずにいることで、この山は崩れず、この森は育っておる」


ひかる「……支えてる?」

だいだらぼっち「そう。動かぬ者が、土台になる。すぐに芽が出なくても、根は、土の中で静かに広がっている。“育っていない”のではない。“育っているのが見えない”だけだ」


ひかるは目を閉じた。

自分のなかの焦り、不安、「今のままではダメだ」という声──

それらが急に、小さくなった。


だいだらぼっち「止まっているように見えるものほど、実は、誰よりも深く、揺れているのだ。

おまえの中にも、“動かぬ意志”がある。今はまだ、それに気づいておらぬだけだ」

だいだらぼっちの言葉は、地のように重く、やさしかった。

彼は再び静かに座りなおした。

大地と一体化し、まるで風景そのものになっていくようだった。


その夜、ひかるは、何もせず、空に浮かんでいる月をじっと眺めていた。

いまは、根を張る時間なのだと──そう思えたから。



【第七話 坤:山姥】──「呪いと祈りのちがい」


山の夕暮れは早い。

光が薄れ、影が濃くなるその時間、

ひかるはぽつんとした庵を見つけた。

戸を開けたとたん、煙の香ばしい匂いと、ふくよかな声が響いた。

「よう来なさったね。冷えてるだろ。そこに座りなされ。なんにも出んが、湯だけはあるよ」

炉の前にいたのは、髪を白く振り乱した老婆──山姥だった。


でもその目は、底知れぬやさしさを湛えていた。

山姥「“情けは人の為ならず”って、最近は誤解されがちだがねぇ。

“人に情けをかけたら自分が損する”って思っとる若いのも多い……」


湯気の中、山姥はひかるの湯呑みにぽとりと薬草を落とした。

山姥「ほんとはな、こういう意味なんだよ。“人にかけた情けは、いずれ自分にかえってくる”ってことさ。でもな、それ、すこし違うんだよ」


ひかるは首を傾げた。

山姥は、炎を見つめながら静かに語った。

山姥「情けってのは、“返ってくる”から与えるもんじゃない。“返らなくても、祈れるか”なんだよ」

ひかる「……祈る?」

山姥「そう。“報われなくても、やる”。“誰にも気づかれなくても、見捨てない”。

それがほんとの情けってもんだよ」


ひかるは、自分のなかに浮かんできた顔を思い出した。

かつてやさしさを踏みにじられた相手、感謝もされず、傷つけられたまま終わった過去。


ひかる「わたし……あのとき、“してあげたのに”って思ってたかも」

山姥は、ふっと笑った。

山姥「“してあげたのに”っていう情けはな、裏返すと呪いになるんだよ。

だから、それを手放すんだ。祈りにするんだよ。“ただ、願う”。それでいい」


山姥の皺だらけの手が、ひかるの肩にふれた。

山姥「それができる者は、地とつながる。地は、返礼なんぞ求めないだろ。

それでもすべてのものを育ててる」

その言葉が、ひかるの中の固くなっていたものを、ゆっくりと溶かしていった。


その夜、ひかるは手紙を書いた。

もう会えない人に、”ありがとう”と書いた。

投函はしなかった。

けれど、それは“呪い”ではなく、“祈り”になっていた。



【第八話 震:雷獣】──「その涙は、芽吹きの音」


空が低く、雲が重たい夜だった。

雷鳴が遠くでうなり、空気がぴりぴりと震えていた。

ひかるは、森の奥にある小さな祠の前に立っていた。

何かが始まりそうな、でも終わるような気配。

息を飲んだそのとき、雷が空を裂いた。

閃光のなかに、獣のような影が現れた。


雷獣──


光を纏い、叫びを背負い、この世に隠された“声なき声”を引き裂くもの。

雷獣「泣いているか?」

それは問いかけではなく、胸の奥にずしんと響く宣告のようだった。


雷獣「おまえ、まだほんとうには泣いていないな。泣きたいのに、怒りたいのに、

押し込めたまま、“いい人”やってる」

雷獣の目は、雷そのものだった。

燃えるようにまっすぐで、熱く、でも、冷たい。


ひかる「……泣くのは、子どもみたいで恥ずかしくて……」

ひかるの声は、風に消えそうだった。

雷獣「そうだ。泣く子は子どもだ。でもな、“育つ”のは泣く子だけだ」


雷獣は、空に向かって咆哮した。

雷獣「涙は、魂の水だ。流すたびに、根が深くなる。怒りは、魂の雷だ。鳴るたびに、幹が太くなる。

「泣く子は育つ」──

それは、感情を表に出せる者だけが、自分の深みに根を張り、空に向かって伸びることができる、

という意味だった。

泣け、怒れ、叫べ‼ そうして、育て。おまえの中にある“いのち”を」

その声とともに、雷が真上で炸裂した。


ひかるは、抑えていた涙を堰き止められなくなった。

泣いた。

言葉も、理由もなく。

ただ、魂が震えて、揺れて、雨になってこぼれた。

雷獣は、やさしく言った。

雷獣「おまえは、いま、育っている。いのちを鳴らせ。声をあげろ。

それが、おまえが“生きている”ということだ」


その夜、雷が遠ざかり、星がひとつだけ顔を出した。

ひかるの頬には、涙のあとが光っていた。

でもその顔には、はじめて浮かんだ“魂の輪郭”が、静かににじんでいた。


八妖怪に出会った旅は、ひかるに“答え”をくれたわけではない。

でも、“問うことを怖れない心”と、“揺れても折れない芯”を残してくれた。

”ことわざ”とは、人の時代を超えて残った“魂の遺言”だ。

そして、妖怪たちはその遺言の奥に宿る“ほんとうの意味”を、そっと教えてくれた。

今日もまた、誰かがひとり泣いているかもしれない。

だけど、その涙は──きっとどこかで、魂の声を育てている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ