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第4話 幼魔女との出会い 4

 「さて、問題です!わたしがさっき使った魔法はなんでしょう!」


 先ほど襲撃された地点からしばらく離れたところで、アビィが突然出題した。これまでの会話の内容がこの国の状況やユーラスの給料についてだったので、あまりに急な出題にユーラスはいつものごとく困惑した。


 「一発で答えられたら、すごい魔法を授けましょう!わたしは人に魔法をあげることもできちゃいます!もし間違えたら、わたしに対して一生敬語でしか話せない魔法をかけちゃいます!!」


 「うわ、それは嫌だな…」


 確かにアビィは凄まじい魔法使いなのかもしれないが、圧倒的に幼い。ユーラスは一応大人だ。そんな大したプライドもないがさすがに幼魔女に対して一生敬語は…。ユーラスは必死に頭を回転し始めた。


 (巨漢の周りに武器は落ちてなかったし何か魔法が飛んでいくのが見えたわけでもない。巨漢がいた場所自体に魔法が仕掛けられていた?たとえば魔法陣とか?はっきり書かれていればわかったが、森の中で暗いし、巨漢も自分も気づかないということはありえそうだ。ほかにあり得ることは、いや突飛な魔法を考えようと思えばいくらでもある。これに賭ける) 

 

 ユーラスはアビィを真面目に見つめ、口を開く。


 「あの大男がいた位置に魔法がかかっていた。首を切り落とす魔法だ。君はそれを発動させる魔法を使った。どうだ!!」


 アビィはにこっと口角を上げた。眉は少し下がっていて困っているようだ。


 「うーん、半分正解?50点かな!あらかじめ魔法をかけておいて、あの時に私が発動させたっていうのはあってる。でもね、場所に魔法をかけたんじゃないよ」


 「あの大男にかけたのか」


 「そうそう!わたしの家の周りをうろちょろしてるんだよ!怖いからあらかじめかけておいたの。であの時に天国に導いてあげたってわけ!」


 「なんでもっと早く殺さなかった…」


 ユーラスの言葉にアビィが割り込む。


 「ドッキリだよ!サプライズ?とにかくわたしの力がいかに凄いか君にわかってほしかったんだよね!うまくいって何よりだよ。うんうん」


 再びユーラスが唖然とすると、アビィが手を叩く。

 

 「え?どうかしましたか?」 


 ユーラスはハッとする。敬語になっている。無意識のうちに敬語が口から漏れ出ていた。


 「半分正解で半分不正解だからご褒美も罰も一緒にあげる!といっても一生はかわいそうだから”旅の目的”が果たせたら魔法を解いてあげる。でも相当後のことだろうね~」


 「こ、こんなのあんまりです」


 「うんうん、助手っぽくなってきましたなぁ…。さて、ご褒美をあげましょう。手を出して」


 くよくよしていても仕方がないのでユーラスは従うことにした。アビィが処理?しやすいように、片膝をつき手を差し出した。


 「うんうん、よくできました!すぐ終わるからねー」


 アビィはユーラスの手を取り自身の手をかざしていた。5秒ほどでそれは終わった。


 「はい!君に魔法をあげました!」


 「どうもありがとうございます。アビィ様」


 「様までつけてくれるなんて成長したねぇ」


 もちろんユーラスの本心ではない。


 「君にあげた魔法はね、”小鳥に変身する魔法”だよ!どう!?すごくない?」


 「ええと、ありがとうございます。でもいつ使うのでしょうか?」


 「え、うーん。自由に空飛びたい時とか?…。うん、具体的な活用法は考えてなかったよ。まあこれからの旅は長いんだし、いい使い方がわかる時があるはずさ、助手よ!!」


 アビィはこの話題を無理やり明るくして終わらせようとした。しかし、アビィは気付いてしまった。


 「あ、そういえば君って魔法全然使えない人だよね?」

 

 「ええ、生まれてから一度も」

 

 「隠された才能があったりとか」


 「たぶんないと思います」

 

 「じゃあ、そもそも魔法を使えないか、使えたとしてもほんの数秒だね…」


 「敬語の縛りを食らったのにご褒美がこれですか…」


 「じゃあ魔法の特訓もこれからしていこう!!とにかく旅は長いから!大丈夫大丈夫!一緒に頑張ろう!!」


 必死にフォローするアビィ。

 対して、ユーラスのほうは不満げな顔だった。


 「ところで、”旅の目的”って何なんですか?何も目指さずぶらぶら放浪旅をするものだと思っていましたが」


 「助手よ、この度には明確な目標があるのだよ!わたしはこの世界をわたしで染める!!」


 「わたしで染める?」


 「全世界のみんなに新聖教に入ってもらう!!」


 アビィは立ち止まった。そしてユーラスのほうをまっすぐ見つめる。

 

 「本気で言ってます?」


 ユーラスは冗談だと捉えていた。彼女を目を見るまでは。


 「本気だよ。そして、わたしはそれを成し遂げるだけの力がある!」


 アビィが歩き出した。


 「それに、さっき良い助手を手に入れたしね。最後のピースがそろった」 


 突然褒められ、ユーラスはすこし恥ずかしいような気持になった。ただアビィの気持ちが、世界征服という目標があながちでまかせではないような気持もした。


 「さあ!ほら、見えてきたよ!助手よ!わたしたちの冒険の始まり!!ベルル村だよ!!」


 森の真ん中。木々に完全に包囲されているその村は、薄暗く旅の最初の村としては適さないかもしれない。しかし、ユーラスの気持ちは高ぶっていた。未知への冒険の予感がしたのだ。

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