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偏愛霊  作者: 結城 からく


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第82話 因果応報

 棺崎の明かした真実を聞いても、あまり驚きはなかった。

 なんとなく予想が付いていたからだ。

 監禁された少女達の名前がミヨコだった時点でそんな予感はしていた。

 ここで完全に無関係だと考える方が無理があるだろう。


 要所にヒントもあった。

 美夜子の霊が不自然なほどに強いのは、きっと蠱毒の呪いの影響だろう。

 三つの心霊スポットを選定したのも棺崎だ。

 新村家の地下に淀離協会の魔術道具があったのも納得である。

 何もかもが繋がっていたのだ。


「新村美夜子さんは、およそ十年前の蟲毒の巫女だ。儀式後、両親によって淀離協会から逃がされ、魔術で記憶を封印された。だから何も知らず過ごし、平凡な大学生になった」


 棺崎の口から美夜子の過去が語られる。

 彼女の目は俺の心を見透かしているようだった。


「そこからは君が知っている通りだね。妊娠した彼女は殺されて山に埋められた挙句、死体を淀離協会に持ち出されてしまった。新村美夜子さんの人生とは一体何なのだろうね」


「…………」


 俺は返す言葉を持たない。

 胸の中が鉛のように重く感じる。

 意識しなければその場に座り込んでしまいそうだった。

 そんな俺が辛うじて発言したのは、過去を聞いた上で疑問があったからだ。


「どうしてそこまで知っているんですか」


「彼女の両親とは古い仲なんだ。万が一の時を想定して依頼も受けていたのだよ。巫女の力を持つ美夜子が悪霊になったら祓ってほしい、とね」


 俺は新村家で見つけた写真を取り出す。

 なるほど、ずっと前から取り決めがあったのか。

 美夜子の両親は、娘がこうなることを予期していたらしい。

 同時に自分達が殺される未来にも勘付いていたのかもしれない。


「新村美夜子さんの死を察知した私は、すぐさま彼女の霊気を辿った。すると君に憑いていることが判明した」


 棺崎が一枚の広告チラシを見せてくる。

 安っぽいフォントで大きく「棺崎霊能探偵事務所」と書かれていた。


「私は自分の事務所のチラシを投函した。君が私のもとへ来るように誘導したのだよ。何も知らない君を利用して祓うためにね」


「最初から……すべてあなたの手のひらの上だったわけですか」


「騙してすまない。だけど君も私に嘘をついていた。だからお互い様さ」


 棺崎は平然と言う。

 チラシを仕舞った後、彼女は試すように訊いてきた。


「怒っているかな?」


「いえ、むしろスッキリしました。なんか色々と謎が解けたので……」


 自業自得。

 もしくは因果応報。

 俺には棺崎を糾弾する資格はなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新村美夜子さんの人生とは一体何なのだろうね これに言いたいことが集約されてた。
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