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偏愛霊  作者: 結城 からく


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第78話 乱入者

 道に誰かが倒れている。

 それはローブを着た男だった。

 のっぺりとした白い仮面を着けているので人相は不明だ。

 男は潰れた胴体から内臓を撒き散らして死んでいた。


 棺崎は車で死体を踏み越えながら言う。


「協会の人間だ。車に轢かれたようだね」


 本部に近付くほどローブと仮面の死体が増えていく。

 いずれも轢き潰されているか、銃弾を食らって死んでいた。


 途中までは車で進めたのだが、ひしゃげた金網が道を塞いでいたので仕方なく徒歩移動に切り替える。

 持てるだけの心霊グッズや呪具、魔術道具を鞄に詰め込み、片手には拳銃を持って歩く。


 車外は血の臭いが蔓延していた。

 あまりにも濃密で頭がくらくらとしてくる。

 どこもかしこも死体だらけで目茶苦茶だった。


(酷いな……どういう状況なんだ?)


 さすがに美夜子の攻撃とは違う気がする。

 悪霊の超常的な力ではなく、もっと原始的な暴力だ。

 そしてなんとなく既視感があった。


 答えを考えるうちに草木を抜けて淀離協会の本部が見えてきた。

 その外観を一言で表すなら、無骨なコンクリートの塔だ。

 華美な装飾は一切なく、要塞のような重苦しい佇まいをしている。


 そんな本部の入口には大型トラックが突っ込んでいた。

 トラックは溶接された鉄板で何重にも補強されており、入口のゲートを派手に粉砕している。

 大きなタイヤには血と人肉がへばり付いていた。

 道中の轢殺された死体はこのトラックの仕業だったらしい。

 中には誰も乗っていなかった。


 棺崎はトラックの側面をコツコツと叩いて感心する。


「自作の装甲車か。さすが安藤君だ。いい仕事をしてくれる」


「安藤さんが来てるんですか!?」


「ああ、来ているよ。新村家を出る段階で私が連絡したんだ。淀離協会の関与は確定したから先手を打っておいた」


 俺にとっては最高の朗報だった。

 安藤ほど心強い味方はいない。

 彼がどれだけやる気なのかは、目の前の改造トラックが物語っている。

 建物内から聞こえる銃声も彼のものだろう。


 この局面で安藤のサポートはありがたいが、少し引っかかる。

 棺崎は、新村家を出る段階で連絡したと言った。

 つまりその時点で淀離協会の本部に仕掛ける予定であり、山に美夜子の死体がないことも読んでいたことになる。

 俺の嘘を見抜いていなければ説明がつかない行動だった。

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― 新着の感想 ―
[一言] >トラックは溶接された鉄板で何重にも補強されており、入口のゲートを派手に粉砕している。  前作の破壊された『方舟』とは別物だろうが……参考にはしたんだろうな。
[良い点] 逆に隠せてたと思ってたことにびっくりだよ。 [気になる点] 大型トラック もしかしてこれって方舟…流石に厳しいか。横転炎上してたし
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