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偏愛霊  作者: 結城 からく


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第65話 探索

 棺崎が新村家のインターホンを連打する。

 いくら待っても応答はない。


「留守ですかね」


「車は停めてある。誰かいそうなものだがね。就寝中かな」


 棺崎は玄関扉を開けようとするが施錠されている。

 かなり遠慮なく音を立てているが、やはり誰も出てこなかった。

 ダメ押しにインターホンを何度か押した後、棺崎は肩をすくめて家の裏手に回る。


「手分けして入れそうな場所を探してみようか」


「不法侵入ですか」


「犯罪は嫌かね」


「今更でしょ」


「その通り」


 もう数え切れないほどの罪を犯してきた。

 良心なんてずっと麻痺している。

 自己保身を貫けるのが俺の長所なのだ。

 開き直っていこうじゃないか。


 侵入口を見つけたのは佐奈だった。

 庭にいた佐奈は窓を指差す。


「ここ見て。割れてるよ」


 窓の鍵付近に丸い穴がぽっかりと開いていた。

 顔を近付けた棺崎が分析する。


「泥棒が入ったようだ。穏やかじゃないね」


「……日を改めますか?」


「何を言っているんだ。さっさと確認するよ」


 先行する棺崎に続いて家の中へと侵入する。

 すぐに感じたのは、むせ返るような血の臭いだった。


(これはまさか……)


 俺は涙目になりつつ、スマホのライトで室内を照らす。

 リビングに血溜まりが広がっている。

 その中心に半裸の男が仰向けに倒れていた。


 男は凄まじい形相で死んでいる。

 顔に見覚えがある――美夜子の父親だ。

 胸と首に刺し傷があり、そこから流れた血が固まりかけていた。


 キッチンには美夜子の母親の死体があった。

 頭部が陥没し、背中が大きく裂けている。

 こっちの血も少し固まっていた。


 二人分の死体を観察した棺崎は、特に驚いた様子もなく述べる。


「霊の気配はない。窓の破損から分かる通り、人間に殺されたようだね」


「誰が殺したんですか」


「それは今から調査して突き止めよう。まだ犯人が残っているかもしれないからね」


 棺崎の推測にぞっとする。

 反射的に室内を見渡すも、それらしき人間はいなかった。

 犯人は既に出て行ったのか。

 或いは俺達の侵入を察知して隠れたのか。

 いずれにしても長居したくない場所には違いなかった。


 不安と緊張で呼吸が浅くなる。

 俺は絶えずスマホを動かして室内のあちこちを照らす。

 もう慣れたと思ったが、やはり人の死を目の当たりにすると動揺するらしい。

 落ち着き払っている棺崎と佐奈が異常なのだ。


 こんな時こそ安藤がいれば心強いのに。

 もう一度死体を見た俺は、血の臭いに顔を顰めた。

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