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偏愛霊  作者: 結城 からく


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第61話 悪化

 安藤と共に非常階段を下りていく。

 やはりエレベーターは故障中で使えなかった。

 安藤によると、どこかの階で死体が引っかかっているらしい。

 黒服の誰かが頭を挟んで自殺でもしたのだろう。


 階段を下りる途中、俺は安藤の後ろ姿に注目する。

 疲労や緊張は欠片も見られない。

 大量の人間を殺しておきながら安藤は自然体だった。


(正直、ヤクザよりも怖いんだよなぁ……)


 絶大な権力を有する須王は死んだ。

 あっけない最期だった。

 俺と対話していた時は無敵かのような風格があったのに、叩き潰されてしまった。

 それだけ安藤が圧倒的な暴力を持っていたということだろう。


 利害が一致したから良かったものの、下手をすれば俺も犠牲者の一人になっていたかもしれない。

 その事実にぞっとし、思わずどうでもいい質問を口に出してしまう。


「俺達って逮捕されないですよね? かなりヤバいことしちゃってますけど」


「警察はヤクザの内輪揉めと判断するでしょうから問題ありません」


「なるほど……」


 そこまで単純な話なのか。

 色々と調査が進めば、不自然な部分も出てきそうだが。

 何にしても今の俺にはどうすることもできないので考えるのをやめた。

 それより大きな問題がまだ残っている。


 俺と安藤は祟りビルの裏口から地上へ出ると、コインパーキングの車に戻った。

 停まっていたはずの佐奈の車はなくなっている。


「既に離脱済みだと連絡がありました。棺崎さんも同乗しています」


 俺の心を読んだように安藤が言う。

 彼はエンジンを掛けたが車を発進させようとしない。

 不思議に思った俺はやんわりと急かす。


「早く行かなくていいんですか」


「その前に後始末をします」


 安藤がスマホを操作する。

 数秒後、祟りビルが爆発した。

 いくつかのフロアが派手に炎上して徐々に倒壊していく。

 轟音と土煙に俺は絶句し、ただ眺めることしかできなかった。


「え…………」


「証拠隠滅です。それと新村さんへの攻撃ですね。霊にどこまで有効なのか不明ですが」


 崩れるビルの瓦礫がいきなり弾け飛ぶ。

 そこから這い出てきたのは美夜子だ。

 ただし外見が少し違う。


 黒髪の上には麦わら帽子のように大きな向日葵が咲き、グロテスクな臓腑のドレスを着ている。

 光る鎖は回転する複数の光輪になっていた。

 骨の槍が尻尾のようにのたうち回り、周囲に黒いドロドロを撒き散らしている。


 神々しくも、禍々しい。

 異形と化した美夜子は一歩ずつ近付いてくる。

 車が急発進した。

 サイドミラーを注視しつつ、安藤は静かに述べる。


「あれはどう判断すべきでしょう」


「み、美夜子が……禍舞明神の力を奪ったんです。とんでもなく強くなっています……」


 俺は自分の肩を抱く。

 笑ってしまうほど震えていた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ……うん、美夜子が勝つかもしれない事は予想の範疇だったけど……更に手に負えない存在になっちゃったぞ! どーすんだこれ。
[良い点] 心霊スポットめぐりが全部裏目になってて草。こいつどうやって倒すんだよ
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