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偏愛霊  作者: 結城 からく


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第53話 拘束

(あーあ、終わった)


 直感的に悟った俺は目を閉じる。

 ところが痛みはやってこない。

 頭を撃たれて即死したのか。


 不思議に思って目を開けると、黒いドロドロした手が視界を覆い尽くしていた。

 それらが幾重にも積み重なって壁を作り、黒服の銃撃を防いでくれたのである。

 壁は内側から膨らむことで形を維持していたが、ほどなくして溶けて崩れ去った。


(これは喰呪霊……)


 一斉射撃を止められた黒服達は戸惑っている。

 彼らの顔は焦りや恐怖に苛まれ……いや、須王だけが喜びと期待に満ちた表情を浮かべている。

 全員の視線が俺の背後に向けられていた。


 振り返ると美夜子が佇んでいた。

 美夜子は真顔で虚空を眺めている。

 垂れ下がった黒い髪が瞬時に伸びると、黒服達の手足や首に巻き付いた。

 そのまま一気に締め上げていく。


 苦しむ黒服の一人が銃を乱射した。

 壁や天井に穴を開いて血が滲み出してくる。

 待機する仲間に命中したらしい。


 数珠を持つ男の首が小枝のようにへし折られた。

 十字架を掲げる男は流れ弾で頭が破裂した。

 護符を握る男は泣きながらお経を唱えていたが、喰呪霊に包まれて全身がペースト状になってしまった。


 誰も彼もが平等に殺される。

 屈強なヤクザでも悪霊が相手では無力なのだ。

 くそ、役立たずめ。

 高圧的で偉そうなのに雑魚キャラみたいにどんどん死にやがって。

 せっかくここまで来たのが無駄になってしまうじゃないか。


 その時、床から発光する鎖が何本も飛び出した。

 高速で動く鎖は美夜子に絡み付いてガチガチに拘束する。

 猛威を振るっていた髪も、巻き付いた鎖の重みで床に固定される。

 美夜子の力がほぼ完全に封じられていた。


(すごいな……棺崎でも敵わないと判断したのに)


 さすが祟りビルを支配するヤクザだ。

 心霊関係の対策はバッチリらしい。

 部下を使い捨てにする冷酷さも含めて恐ろしい組織である。


 美夜子は真顔のまま固まっていた。

 拘束されていることに対するリアクションはない。

 ただじっと須王のことを見つめている。


 須王は拍手をしながら笑う。


「計画通りだね。これで強力な霊をゲットだ。感謝するよ、村木君」


「そ、それじゃあ約束の二億円を……」


「ん? ああ、すまないね。あれは嘘だ」


 後ろから両腕を掴まれる。

 血だらけの二人の黒服だった。

 美夜子に殺されかけながらもボスの命令に従っているのだ。

 とても忠実だなぁ、と俺は思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >とても忠実だなぁ、と俺は思った。 感心してる場合かよwww
[良い点] 二億くらい払ってやればいいのに…
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