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偏愛霊  作者: 結城 からく


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第43話 荒療治

 薄暗い室内から現れたのは褐色肌の男だった。

 プロレスラーみたいに筋骨隆々な体型でフライトジャケットを羽織っている。

 顔は無精髭を生やした悪人面だ。

 男は葉巻を吸いながら言った。


「棺崎。五分の遅刻だ」


「すまない、少し道に迷ってしまってね」


「……患者はそいつか」


「ああ、助けてあげてほしい」


 いきなり男に腕を掴まれた。

 かなり力が強くて痛い。

 抵抗したいが身体の感覚がおかしいので、そのまま乱暴に引きずられていく。


 俺は室内のブルーシートの上に寝かされた。

 床が硬くて冷たい。

 もっとちゃんとしたベッドとか手術台とかはないのか。

 闇医者だから設備も劣悪なのかもしれない。


 男はこちらに背を向けて何かをガサゴソと漁っている。

 見えている範囲の部屋はとにかく散らかっていた。

 整理整頓など一度もされていないのだろう。

 やがて男がこちらを向く。

 瞬きをしない目は血走っていた。


「安心しろ。荒療治だが死にはしねえからよ」


 男が俺の顔を掴んで固定する。

 もう一方の手は太い針をつまんでいた。


 まさか。

 おい嘘だろふざけんな。

 やめろやめてくれ。


 次の瞬間、激烈な痛みが右目を襲った。

 視界の半分が黒く染まり、俺は絶叫してのたうち回る。


「あああああぎぃいいいいああああああああああっ」


「暴れんな。右目から呪いを抜いているだけだ」


 刺された目から液体が垂れている。

 それがとてつもなく臭い。

 まるで生魚と牛乳を混ぜて炎天下で腐らせたような酷さだった。


 悶絶する俺の右手を男が掴む。

 今度は針ではなくナイフを持っていた。


「こっちもいっとくぞ」


 男が軽い動作でナイフを振るう。

 軌道上にあった俺の薬指があっけなく切断された。

 断面から黒い粘液が勢いよく溢れ出す。


「あがあああああああああっ」


「ん? 麻酔を忘れてたな。まあいいか。次は右足だ」


 男は同じ要領で足を掴んでナイフを振るう。

 もうどうなったか直視できない……したくなかった。

 しかし、足の指らしき物が床に転がっているのを見てしまい、俺は嘔吐する。

 恐怖と痛みで呼吸がおかしくなり、変な声が出ていた。


「ひいいい、ひっひっひっひっ……」


「よし、三箇所に穴を開けたぞ。放っておけば呪いはすべて排出されるだろう」


「だ、だれか……たすけて……」


「何を言ってやがる。小僧、お前を助けたのはこの俺だ」


 男は誇らしそうに言う。

 俺は堪らず意識を手放した。

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[良い点] わざわざ目玉を刺す必要性…
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