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偏愛霊  作者: 結城 からく


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第30話 縋り付く男

 翌朝、安藤は一人でチェックアウトした。

 銃撃で破損した車の処理のため、しばらく別行動を取るらしい。

 後でタイミングを見て合流するそうだ。


 安藤という刑事は色々と怪しいが、今のところは頼もしい味方だった

 無償で力を貸してくれるだけでも十分にありがたい。

 俺を殺そうとした追手も返り討ちにしてくれたのだから、文句など言ったら罰が当たる。

 ここは下手に詮索せず、素直に感謝するのが一番だろう。


 追手のスマホから得た情報だが、安藤はあまり教えてくれなかった。

 単に収穫が少なかったのか。

 意図的に隠しているのか。

 どちらなのかは判断が付かない。


 まあ、知ったところであまり意味はない。

 須王会に狙われている事実は変わらず、肝心の金も棺崎に支払ったので返せないのだから。

 棺崎も金を手放す気は一切ないらしい。

 ヤクザに狙われようとその守銭奴ぶりは揺るがなかった。


 支度を終えた俺と棺崎は呼び出したタクシーで移動を開始する。

 行き先は昨日の電話相手だ。

 二つ目の心霊スポットより先に、オプションアイテムを買う金を調達しなければならなかった。


 移動中、眠気が襲ってきて意識が朦朧とする。

 ベッドで横になったがあまり寝れなかったのだ。

 今の状況で心身が休まるはずもない。


 それなのに棺崎は元気だ。

 朝なんてマイペースに長風呂を満喫し、注文した料理を軽々と平らげていた。

 そういえば、風呂上がりのバスローブ姿はエロかったな。

 メリハリのある見事なプロポーションだった。


 なんとなく思い出に浸っていると棺崎と目が合ってしまった。


「何かね」


「いえ、別に」


「私に劣情を抱くのは構わないが、あまり露骨な目線を向けないでくれるかな」


 しっかりバレていた。

 俺は誤魔化すようにスマホの視線を落とす。

 現在の時刻は十一時二分。

 約束の時間には間に合いそうだ。

 地図アプリを確認していると、棺崎が俺に尋ねてきた。


「昨晩の電話相手は誰なのだね」


「えっと、まあ、知人です」


「何か含みがあるね。訳ありなのかな」


「そんなことないですよ……本当、ただの友達なので……」


 そのうちタクシーは目的のマンション前に着いた。

 料金を払って車を降り、エントランスへと移動する。

 棺崎は外観を見上げて感心した。


「へえ、良い家じゃないか」


 俺はエントランスで部屋番号を入力する。

 すぐに入り口の鍵が開いた。

 ただしインターホンは無言だった。


(怒ってるかなぁ……)


 夜中にいきなり無茶な要求したのだ。

 これはいきなり説教かもしれない。

 でも俺だってヤバい事態だから、ちゃんと話せば許してくれると思いたい。

 何にしても金だけは絶対に借りねばならなかった。


 頭を悩ませている間に部屋の前に到着した。

 表札には「飯島」の文字がある。

 俺は緊張しながらインターホンを押そうとする。

 ところがその前に扉が勢いよく開いた。


 現れたのはジャージ姿で眼鏡をかけた女だった。

 彼女こそ家主の飯島いいじま佐奈さなである。

 俺は愛想笑いで挨拶する。


「あっ、久しぶり。実は金を貸してほしくて……」


 佐奈が問答無用で蹴りを放つ。

 サンダルを履いた足が俺の股間にクリーンヒットした。

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[良い点] 第30話到達、お疲れ様です! [気になる点] >佐奈が問答無用で蹴りを放つ。 >サンダルを履いた足が俺の股間にクリーンヒットした。  ヒェッ……
[良い点] サンダルを履いた足が俺の股間にクリーンヒットした。 ぐおおおおおおおお
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